77 / 108
兄様に女を献上しようとする教徒が増えた
しおりを挟む
さてさて、兄様は心に決めた人がいる様子。
でも残念ながらそんなことは知らない教徒たちなので、今日も余計なお世話を焼いてくる。
「ゴッドリープ様、そろそろご結婚も考えませんと」
「オレにはまだ早いよ」
「せめて婚約だけでも」
「くどい。必要ないと言ってるだろう」
冷え冷えな空気に耐えられず、兄様にしがみつく。
「兄様、それよりキューとお茶にしよう?」
「いいね、行こう」
兄様は優しくて寛大だけど、このことに関しては断固拒否を貫いている。
心に決めた人がいるのだから当たり前だけど、みんな知らないからちょっと可哀想。
いつ発表するのかなと思うけど、兄様には兄様の考えがあるのだろうから何も言えない。
けれど、そうこうしているうちに教徒たちがさらに燃え上がってしまった。
「今日はゴッドリープ様に献上したいものがありまして」
「おや、なにかな」
「娘を差し出したいと思います」
「…へぇ?」
「ゴッドリープ様、これからよろしくお願いします」
貴族の教徒が、お布施をたくさんして兄様に会いに来た。
と思ったら、娘を差し出したいと言う。
娘さんもすっかり貰われる気でいるらしい。
ちょっと気になって、隣の部屋から壁に耳を当てて盗み聞きしてみたけれどこれは修羅場になりそうな…。
「悪いけど、オレはその子は要らないなぁ」
「え」
「な、なぜでしょうか」
「何度も言っているけれど、オレに結婚はまだ早い。婚約者も自分で選んで発表するから」
「ですが、出自もわからない娘を側に置いているのでしょう?ならば私だって…」
あ、地雷踏んだ。
「…キューを貶めるつもりなら許さないよ」
「そ、そのようなことは決して…申し訳ありません!ほら、謝らんか!」
「ご、ごめんなさい!」
「キューを悲しませたらただじゃおかないからね。…話はそれだけかな?」
「は、はい!失礼致します!御目通りありがとうございました、申し訳ございませんでした!ほら、行くぞ!」
あらら、逃げるように帰ってしまった。
その後兄様に見つからないようそそくさと部屋を出て退散する。
隣の部屋だしバレていないだろうと高を括っていつものように部屋で待機。
ちゃんと今も続いてる自然ふれあい体験用の花も用意してある。
「キュー、ただいま」
「兄様、おかえりなさい」
「うん。ところでキュー、さっきオレがいた部屋の隣にいたでしょう」
ありゃまバレた。
「兄様するどい」
「キューのことならなんでもわかるからね。兄様だもの」
「兄様すごい」
「あはは、冗談だよ。たまたまキューの謎行動を見ていた教徒たちが教えてくれただけ」
くすくす笑いながら私の髪を梳く兄様。
みんな秘密にしてくれたらいいのに。
…なんて言えるくらい、教徒たちと仲良くできてるのはいいことだよね。
でも残念ながらそんなことは知らない教徒たちなので、今日も余計なお世話を焼いてくる。
「ゴッドリープ様、そろそろご結婚も考えませんと」
「オレにはまだ早いよ」
「せめて婚約だけでも」
「くどい。必要ないと言ってるだろう」
冷え冷えな空気に耐えられず、兄様にしがみつく。
「兄様、それよりキューとお茶にしよう?」
「いいね、行こう」
兄様は優しくて寛大だけど、このことに関しては断固拒否を貫いている。
心に決めた人がいるのだから当たり前だけど、みんな知らないからちょっと可哀想。
いつ発表するのかなと思うけど、兄様には兄様の考えがあるのだろうから何も言えない。
けれど、そうこうしているうちに教徒たちがさらに燃え上がってしまった。
「今日はゴッドリープ様に献上したいものがありまして」
「おや、なにかな」
「娘を差し出したいと思います」
「…へぇ?」
「ゴッドリープ様、これからよろしくお願いします」
貴族の教徒が、お布施をたくさんして兄様に会いに来た。
と思ったら、娘を差し出したいと言う。
娘さんもすっかり貰われる気でいるらしい。
ちょっと気になって、隣の部屋から壁に耳を当てて盗み聞きしてみたけれどこれは修羅場になりそうな…。
「悪いけど、オレはその子は要らないなぁ」
「え」
「な、なぜでしょうか」
「何度も言っているけれど、オレに結婚はまだ早い。婚約者も自分で選んで発表するから」
「ですが、出自もわからない娘を側に置いているのでしょう?ならば私だって…」
あ、地雷踏んだ。
「…キューを貶めるつもりなら許さないよ」
「そ、そのようなことは決して…申し訳ありません!ほら、謝らんか!」
「ご、ごめんなさい!」
「キューを悲しませたらただじゃおかないからね。…話はそれだけかな?」
「は、はい!失礼致します!御目通りありがとうございました、申し訳ございませんでした!ほら、行くぞ!」
あらら、逃げるように帰ってしまった。
その後兄様に見つからないようそそくさと部屋を出て退散する。
隣の部屋だしバレていないだろうと高を括っていつものように部屋で待機。
ちゃんと今も続いてる自然ふれあい体験用の花も用意してある。
「キュー、ただいま」
「兄様、おかえりなさい」
「うん。ところでキュー、さっきオレがいた部屋の隣にいたでしょう」
ありゃまバレた。
「兄様するどい」
「キューのことならなんでもわかるからね。兄様だもの」
「兄様すごい」
「あはは、冗談だよ。たまたまキューの謎行動を見ていた教徒たちが教えてくれただけ」
くすくす笑いながら私の髪を梳く兄様。
みんな秘密にしてくれたらいいのに。
…なんて言えるくらい、教徒たちと仲良くできてるのはいいことだよね。
656
お気に入りに追加
1,838
あなたにおすすめの小説

拾った宰相閣下に溺愛されまして。~残念イケメンの執着が重すぎます!
枢 呂紅
恋愛
「わたしにだって、限界があるんですよ……」
そんな風に泣きながら、べろべろに酔いつぶれて行き倒れていたイケメンを拾ってしまったフィアナ。そのまま道端に放っておくのも忍びなくて、仏心をみせて拾ってやったのがすべての間違いの始まりだった――。
「天使で、女神で、マイスウィートハニーなフィアナさん。どうか私の愛を受け入れてください!」
「気持ち悪いし重いんで絶対嫌です」
外見だけは最強だが中身は残念なイケメン宰相と、そんな宰相に好かれてしまった庶民ムスメの、温度差しかない身分差×年の差溺愛ストーリー、ここに開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ
水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。
それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。
黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。
叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。
ですが、私は知らなかった。
黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。
残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました
かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中!
そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……?
可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです!
そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!?
イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!!
毎日17時と19時に更新します。
全12話完結+番外編
「小説家になろう」でも掲載しています。

悪女役らしく離婚を迫ろうとしたのに、夫の反応がおかしい
廻り
恋愛
王太子妃シャルロット20歳は、前世の記憶が蘇る。
ここは小説の世界で、シャルロットは王太子とヒロインの恋路を邪魔する『悪女役』。
『断罪される運命』から逃れたいが、夫は離婚に応じる気がない。
ならばと、シャルロットは別居を始める。
『夫が離婚に応じたくなる計画』を思いついたシャルロットは、それを実行することに。
夫がヒロインと出会うまで、タイムリミットは一年。
それまでに離婚に応じさせたいシャルロットと、なぜか様子がおかしい夫の話。

行き遅れにされた女騎士団長はやんごとなきお方に愛される
めもぐあい
恋愛
「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」
ーーおーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!!
テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士。
『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を、他の師団長達が作っていたらしく、お陰で恋愛経験0。
新人訓練に潜入していた、王弟のマクシムに外堀を埋められ、いつの間にか女性騎士団の団長に祭り上げられ、マクシムとは公認の仲に。
アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛されている話。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~
咲桜りおな
恋愛
前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。
ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。
いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!
そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。
結構、ところどころでイチャラブしております。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。
この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。
番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。
「小説家になろう」でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる