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オレの番に加護なんか与えたら本気で叩き斬ってやる

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朝になって陽の光が部屋に差し込んできて目を覚ますと、キューがまたオレより先に起きていた。

嫌な予感がして、聞いてみた。

『…なに?もしかしてまたクソギツネに攫われてたの?』

こくりと頷くキューに、自分が殺気立つのがわかった。

キューをラッコさん座りして穏やかな時間を過ごす今となっては、情け無い姿を見せたなと思うがその時には余裕がなかったのだ。

『大丈夫。もう必要以上に神隠ししないでって言ってある』

その言葉には少し安堵した。

本来なら、神隠しなんて絶対にするなと言いたい。

けれどキューの身にもし万が一にでも何かあった場合には、あのクソギツネの庇護下にあれば何か違うかもしれないから強くも言えない。

人間、いつ何があるかわからないから。

ただその後、クソギツネの用事はなんだったのか聞くと言い淀むキューに嫌な予感が加速した。

『…加護を与えて、愛し子に認定したかったんだって』

その言葉を聞いて血管が切れるかと思った。

『でも、今回はちゃんと聞いてくれたよ。キューもちゃんと断ったよ』

そんなキューのクソギツネを庇う言葉すら耳に入らない。

オレの次はキューとか、節操なしめ!オレはいい、でもキューにそんな酷いことはさせない!

そう思い刀を取り出すとキューが慌ててオレにしがみつく。

『大丈夫、兄様。キューちゃんと断ったもん』

『落ち着いて、ね?』

キューに言われて少し落ち着いた。

そこに、いつもの二人が駆け込んでくる。

『あっ…なんでもないよ。ね、兄様』

そうキューがフォローしてくれるから、それに甘えた。

二人はオレの手にある刀を見て何かを言いかけて、やめた。

この二人は賢いから助かる。

『…いえ、失礼致しました。御用の際はお呼びください』

オレのありがとうを合図に二人は部屋を出る。

とりあえずキューが加護を断ってくれたし、神隠しも必要最低限にするようにと言ってあるらしいので…一件落着かな。

先程までの出来事を思い出すのはやめて、腕のキューをぎゅっと抱きしめて温かな体温を感じることに集中する。

キューはそんな俺にくすくすと笑った。
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