神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました

下菊みこと

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兄様は私を甘やかしたいらしい

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兄様は、ムーンリットとの件以降前にも増して私を甘やかしたがるようになった。

積極的に私の頭をナデナデしてくれるし、私をぎゅっと抱きしめる回数も増えた。

一緒に行動する時は常に手を繋ぎたがるし、してほしいことはないかとしきりに聞いてくる。

多分おそらくきっと、一瞬で兄様に止められたとはいえ下手に敬語を使ってしまったからなんか違和感がすごかったんだろう。

幼女キューケンちゃんの言動ではなくて、不安にさせたのだろうな…うん。

「兄様」

「うん?」

「重い」

なので、原因を作ったのはおそらく私だ。

だから、兄様の甘やかしという名目の甘えも積極的に受け入れている。

今も、兄様は絶賛私を後ろから抱っこしている。

ラッコさん座りだ。

それはいいのだが、顎を頭に乗せてくるのは重いからやめて。

「おや、不満かい?」

「顎重い」

「兄様はキューにくっついていたいのに」

とうとう甘やかすという名目すら捨てて甘えてくるほどになったか。

甘やかして受け入れすぎたか。

別にいいけど。

「キューも兄様とくっついていたいけど、重いの!」

「ちぇっ…じゃあ顎だけね。はい」

顎を頭から離してくれる。

頭が軽くなった。

でもその分私のお腹に回されていた兄様の腕がぎゅっと強く巻きつく。

「ぐえっ」

「ぎゅー」

「兄様、力強い」

「いいじゃない」

「良くない」

過激なスキンシップ。

でも、嫌じゃない。

見える位置にいる教徒たちも、微笑ましげに見つめてくる。

「じゃあ、少しだけ緩めてあげる」

優しい。

緩んだ腕にほっとする。

そのまま兄様に背中を預ける。

「あれ、身体を預けてくれるの?」

「兄様に疲れさせられたから」

「えー、オレのせいかい?」

「他に誰がいるの」

私がそう言えば、兄様は笑う。

「ふふ、確かにキューを疲れさせられるのなんてオレだけか」

「そうだよ。だってキューは、兄様の妹だもん」

私がそう言えば、ふと見上げた先の兄様は目をパチクリする。

「おや。特別扱いの自覚はあるのかい?」

「あるよ。兄様は特別だから、兄様の妹も特別なんでしょう?」

「はは、やっぱりオレの妹は賢いっ!」

嬉しそうな兄様。

見守っている教徒たちも半ば傲慢な私の言葉にすら文句もないらしく、やはり微笑ましげ。

まあ、宗教系…というかもはや宗教の総本山だから仕方ないとはいえ、やっぱり歪んでるんだろうな、色々。

ああまあ、別に全ての宗教がそうとは言わないけどさ。

でもいいかと思う私は、元々おかしいのかここに染まってきてるのか…あるいは兄様が大好き過ぎるのか。

「兄様」

「ん?」

「キューは、兄様が大好き」

「はは、オレもだよ」

ずっとこのままでもいいくらい、この状況に精神的に満たされてるのもきっとおかしいんだろうな。
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