5 / 108
明らかにヤバい人達だが、無事に拾われた
しおりを挟む
前世と今世ともに無宗教ではあった。
けれど別に、宗教にさして差別意識もなかった。
それでも、異常な様子を見てしまうと絶句してしまう。
所謂ドン引きというやつで、実際私の今世の両親は私に対してこんな感情だったのだろうと今になって理解が深まった。
だって考えても見てほしい。
「とりあえず土下座を辞めてもらっていいですか…?」
良い歳をした大人たちが、私に向かって急に土下座するんだもの。
いくらなんでも行き過ぎた行為だと思うのだ。
そして全員が同じような服を着ていること、ここで会ったことを考えれば当然彼らはパラディース教とやらの教徒だと理解出来るわけで。
…宗教って、怖いなぁ。
そもそも何故私は土下座されているのか。
「我々は不敬にもあなた様を横切ってしまったことに対して、謝罪しなければならないのです!あなた様の許しがあるまで土下座せねばなりません!」
怖いなぁ、理屈がわからないよ。
「…許します、なので顔を上げて身体を起こしてください」
「なんとお優しい!さすがは天主さまと同じ色を宿していらっしゃるお方だ」
どういうことなんでしょうか。
天主さまとはなんぞや。
「ところで、あなた様は何故このような場所に?いや、その前にお名前は?」
「何故…」
捨てられたから、とは答えにくい。
ああ、そもそも彼らに保護されるのが今の一番の目標ではあるのだ。
適当に合わせて、猫も被っておこう。
「…キューは、キューケンです」
「おお、透き通ったようなお声だ」
「キューは、この先にあるパラディース教に入信しにきました」
「…!なんと、これは目出度い!!!」
パラディース教の教徒である彼らは、盛大に喜ぶ。
「であれば、キューケンさま。どうか私の背中にお乗りください。おぶって連れて行って差し上げます」
「ありがとう。キュー疲れてたの」
…我ながら下手な猫かぶりだとは思うが、幼女の話し方などトント判らないので許してほしい。
屋敷から出ていないので、幼女と知り合う機会もなかったのだ。
「…キュー、重くない?」
「いえいえ、お気になさらないでください。寝てしまっても構いませんよ」
そのお言葉に甘えて、ぐっすり眠らせてもらう。
だって、疲れてしまっていたから。
乳母に捨てられたのは、私が思うより私にとってショックだったらしかった。
けれど別に、宗教にさして差別意識もなかった。
それでも、異常な様子を見てしまうと絶句してしまう。
所謂ドン引きというやつで、実際私の今世の両親は私に対してこんな感情だったのだろうと今になって理解が深まった。
だって考えても見てほしい。
「とりあえず土下座を辞めてもらっていいですか…?」
良い歳をした大人たちが、私に向かって急に土下座するんだもの。
いくらなんでも行き過ぎた行為だと思うのだ。
そして全員が同じような服を着ていること、ここで会ったことを考えれば当然彼らはパラディース教とやらの教徒だと理解出来るわけで。
…宗教って、怖いなぁ。
そもそも何故私は土下座されているのか。
「我々は不敬にもあなた様を横切ってしまったことに対して、謝罪しなければならないのです!あなた様の許しがあるまで土下座せねばなりません!」
怖いなぁ、理屈がわからないよ。
「…許します、なので顔を上げて身体を起こしてください」
「なんとお優しい!さすがは天主さまと同じ色を宿していらっしゃるお方だ」
どういうことなんでしょうか。
天主さまとはなんぞや。
「ところで、あなた様は何故このような場所に?いや、その前にお名前は?」
「何故…」
捨てられたから、とは答えにくい。
ああ、そもそも彼らに保護されるのが今の一番の目標ではあるのだ。
適当に合わせて、猫も被っておこう。
「…キューは、キューケンです」
「おお、透き通ったようなお声だ」
「キューは、この先にあるパラディース教に入信しにきました」
「…!なんと、これは目出度い!!!」
パラディース教の教徒である彼らは、盛大に喜ぶ。
「であれば、キューケンさま。どうか私の背中にお乗りください。おぶって連れて行って差し上げます」
「ありがとう。キュー疲れてたの」
…我ながら下手な猫かぶりだとは思うが、幼女の話し方などトント判らないので許してほしい。
屋敷から出ていないので、幼女と知り合う機会もなかったのだ。
「…キュー、重くない?」
「いえいえ、お気になさらないでください。寝てしまっても構いませんよ」
そのお言葉に甘えて、ぐっすり眠らせてもらう。
だって、疲れてしまっていたから。
乳母に捨てられたのは、私が思うより私にとってショックだったらしかった。
227
お気に入りに追加
1,826
あなたにおすすめの小説
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
破滅ルートを全力で回避したら、攻略対象に溺愛されました
平山和人
恋愛
転生したと気付いた時から、乙女ゲームの世界で破滅ルートを回避するために、攻略対象者との接点を全力で避けていた。
王太子の求婚を全力で辞退し、宰相の息子の売り込みを全力で拒否し、騎士団長の威圧を全力で受け流し、攻略対象に顔さえ見せず、隣国に留学した。
ヒロインと王太子が婚約したと聞いた私はすぐさま帰国し、隠居生活を送ろうと心に決めていた。
しかし、そんな私に転生者だったヒロインが接触してくる。逆ハールートを送るためには私が悪役令嬢である必要があるらしい。
ヒロインはあの手この手で私を陥れようとしてくるが、私はそのたびに回避し続ける。私は無事平穏な生活を送れるのだろうか?
告白さえできずに失恋したので、酒場でやけ酒しています。目が覚めたら、なぜか夜会の前夜に戻っていました。
石河 翠
恋愛
ほんのり想いを寄せていたイケメン文官に、告白する間もなく失恋した主人公。その夜、彼女は親友の魔導士にくだを巻きながら、酒場でやけ酒をしていた。見事に酔いつぶれる彼女。
いつもならば二日酔いとともに目が覚めるはずが、不思議なほど爽やかな気持ちで起き上がる。なんと彼女は、失恋する前の日の晩に戻ってきていたのだ。
前回の失敗をすべて回避すれば、好きなひとと付き合うこともできるはず。そう考えて動き始める彼女だったが……。
ちょっとがさつだけれどまっすぐで優しいヒロインと、そんな彼女のことを一途に思っていた魔導士の恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
美形王子様が私を離してくれません!?虐げられた伯爵令嬢が前世の知識を使ってみんなを幸せにしようとしたら、溺愛の沼に嵌りました
葵 遥菜
恋愛
道端で急に前世を思い出した私はアイリーン・グレン。
前世は両親を亡くして児童養護施設で育った。だから、今世はたとえ伯爵家の本邸から距離のある「離れ」に住んでいても、両親が揃っていて、綺麗なお姉様もいてとっても幸せ!
だけど……そのぬりかべ、もとい厚化粧はなんですか? せっかくの美貌が台無しです。前世美容部員の名にかけて、そのぬりかべ、破壊させていただきます!
「女の子たちが幸せに笑ってくれるのが私の一番の幸せなの!」
ーーすると、家族が円満になっちゃった!? 美形王子様が迫ってきた!?
私はただ、この世界のすべての女性を幸せにしたかっただけなのにーー!
※約六万字で完結するので、長編というより中編です。
※他サイトにも投稿しています。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~
咲桜りおな
恋愛
前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。
ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。
いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!
そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。
結構、ところどころでイチャラブしております。
◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆
前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。
この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。
番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。
「小説家になろう」でも公開しています。
婚約破棄された地味姫令嬢は獣人騎士団のブラッシング係に任命される
安眠にどね
恋愛
社交界で『地味姫』と嘲笑されている主人公、オルテシア・ケルンベルマは、ある日婚約破棄をされたことによって前世の記憶を取り戻す。
婚約破棄をされた直後、王城内で一匹の虎に出会う。婚約破棄と前世の記憶と取り戻すという二つのショックで呆然としていたオルテシアは、虎の求めるままブラッシングをしていた。その虎は、実は獣人が獣の姿になった状態だったのだ。虎の獣人であるアルディ・ザルミールに気に入られて、オルテシアは獣人が多く所属する第二騎士団のブラッシング係として働くことになり――!?
【第16回恋愛小説大賞 奨励賞受賞。ありがとうございました!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる