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はじめまして、異世界

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目が覚める。

なんだ助かったのか、と思った。

だが、一瞬で違和感に気づいた。

『ここは…病院じゃない?』

やはりというか、声も出ない。

起き上がって状況を確認しようとしたが、起き上がれない。

なんとかしてジタバタ暴れて気付く。

…手足が短い。

『えー…?』

これはアレだろうか。

流行りの、転生というもの?

夢か何かかな、それが一番現実的だと思うんだけど…なんとなく現実味がある気がして。

私が夢を見るときは大抵色がどこか大袈裟に表現されるのだけど、この世界は優しいパステル系の色もあるからそれで夢だと思わないのかもしれない。

『困ったなぁ』

本当に転生したのだとして、どんな世界なのだろう。

お受験お受験で、娯楽にもロクに触れてこなかった私。

家を出てからもお金は貯蓄していたし、散財用のお金は専ら豪華なご飯を食べまくることに費やしていたのでファンタジー分野はなかなかに不得手なんだけど。

『とりあえず二度寝しよう。起きても状況が変わらなければ現実を見よう』

私はもう一度眠りについた。















『…結果、多分おそらく現実だなぁこれ』

二度寝から目覚めても、現状は変わらない。

ということで、はじめまして異世界。

で、なんとか詳細を把握しようと考えて身の回りのお世話をしてくれる人のセリフを一生懸命に拾った。

結果わかったことと言えば、最悪な状況だけ。

『私、忌み子扱いされてるんですけどー』

曰く、この世界では珍しい黒髪に生まれた。

曰く、この世界でも珍しい瞳を持っている…具体的に言うなら、左目は珍しいアースアイで右目は黄金色。

曰く、色味だけでなく顔立ちも親に似ていない。

『だからって化け物扱いはないわー』

前世の親と別の意味でクソ。

とはいえやっと生まれた我が子が常人ならざる見た目なら引くのもちょっとわかってしまう。

『まあねえ、お互い不幸だよねぇ』

しかも、忌み子扱いはすれどネグレクトは今のところ受けていない。

それどころか、多分おそらく良い家柄なのだろうけど乳母までつけてくれた。

幸いにして乳母はまだ私の味方だ。いつ手のひらを返してもおかしくはない状況だけれど、味方がいるのはありがたい。

『…はやく成長したいな』

赤子の身は、不便だし辛い。

ああ、神様。

私は愛を教えてくださいと乞い願いましたでしょうに。

声にならなかったからダメだったのか。

無宗教なのがよくなかった?

『いずれにせよ、こんなのあんまりだー』

抗議の声は当然のように、赤ん坊のバブバブ声に変換されてしまった。
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