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初顔合わせです!
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ご機嫌よう。リンネアル・サント・エルドラドです。今日はヴァイスハイト・ファイン・ハイリヒトゥーム第一王子殿下と初顔合わせです。緊張するー!
「は、初めてお目にかかります。ヴァイスハイト・ファイン・ハイリヒトゥームと申します。ティラン・フロワ・エルドラド国王陛下におかれましては、ご機嫌麗しく」
「堅苦しい挨拶はいい。これからも同盟国としてよろしく頼む」
「ありがたき幸せ!」
「ありがたき幸せなら、もう一つあるぞ。特大級のがな」
「え?」
「我が愚妹よ、いい加減恥ずかしがってないで玉座の後ろから出てこい」
「は、はい、ティラン兄様!」
ギチギチと音がしそうなほどガチガチに固まりつつもなんとかティラン兄様の横に立つ。
「は、はじめまして。リンネアル・サント・エルドラドです、えっと、よろしくお願いします!」
「こ、こちらこそはじめまして。僕はヴァイスハイト・ファイン・ハイリヒトゥーム。リンネアル・サント・エルドラド王女殿下におかれましては、ご機嫌麗しく」
お互いにめちゃくちゃ緊張しつつも、なんとか挨拶を交わす。
「多分報せは受けただろうがな。お前は今日から我が愚妹の婚約者だ。くれぐれも丁重に扱えよ?」
「っ!は、はい、もちろんでございます!」
「愚妹よ。ヴァイスに王城を案内してやれ」
「は、はい、ティラン兄様!」
こうして私達は、二人きりになった。
「リンネアル王女殿下」
「は、はい!ヴァイスハイト様!」
ひゃー、こんな美男子の隣に立つと緊張しちゃうよ。
「お互いの仲を深めるために、愛称で呼びあいませんか?」
「い、いいと思います!」
「あと、敬語もやめましょう」
「う、うん。…ヴァイス様」
「ええ、…リンネ」
「…」
「…」
き、気まずい。
「えっと…薔薇園に行ってみよっか」
「ああ。リンネは薔薇が好きかい?」
「とっても!可愛くて美しいもの!」
「そっか。僕の姫君は薔薇が好きなんだね」
ひゃー、僕の姫君とか!恥ずかしい!話題逸らそう!
「でもどちらかといえば百合の方が好きかな。白くて可愛くて綺麗」
「そうか。リンネは百合が好きなのか。覚えておくね」
にこにこと笑ってそういうヴァイス様。本物の王子様ってこんな感じなんだ。
「さ、着いたよ!」
「これは見事な薔薇園だね」
「香りもすごくいいよね!」
「そうだね。…リンネ、薔薇を一輪貰ってもいいかい?」
「うん、いいよ!ちょっと待ってね、棘を切って貰わなくちゃ。庭師のお爺ちゃーん」
「はいはい、なんですかな姫さま。…おや、これは失礼致しました。ハイリヒトゥームに栄光あれ」
「ああ、いや、気にしないでくれ。今の僕はハイリヒトゥームの王子ではなく、リンネの婚約者兼恋人だ」
「であればなおのこと丁重におもてなししませんとな」
「はは。それもそうか。ごめんごめん、本当に気にしないでくれ」
「ねえ、お爺ちゃん、この薔薇一輪ちょうだい!」
「姫さまは本当に薔薇が好きですなぁ。…はい、どうぞ。棘も切りましたよ」
「ありがとう!はい、ヴァイス様!」
「おや、王子殿下への贈り物でしたか。若いですなあ。それでは老いぼれはここで失礼致します」
「お爺ちゃんありがとー!」
「ありがとうございます、庭師さん」
お爺ちゃんは仕事に戻っていった。
「…リンネは、使用人にも別け隔てなく接するんだね」
「あ、は、はしたなくてすみません…」
「そんなことない」
「え?」
「それはとても、大切なことだよ。王家は、国民の力あってこそ成り立つのだから」
「ヴァイス様…」
よかった。思ってた以上に優しい人だった。
「…リンネは、国王陛下によく似ているね」
「え?ティラン兄様に?」
「国王陛下も、下々の民にとても良く接しているそうだよ。陛下の打ち立てた新しい施策も、国民達から多く支持されている。国王陛下は、僕の憧れなんだ」
そうだったんだ。
「リンネ…ちょっと失礼」
ヴァイス様は、先程の薔薇を私の髪に挿してくれます。
「うん、やっぱり似合う」
「ヴァイス様…」
「ふふ、リンネ…これは内緒の話なんだけど」
「?はい」
「国王陛下はね。僕が婚約者に決まった際に、リンネを泣かせるようなことがあったら同盟国でも許さないって釘を刺してきたそうだよ」
「ティラン兄様が?」
私のこと、それなりに大切に思ってくれてるんだ。嬉しい…!
「僕は国王陛下の気持ちがわかるな」
「え?」
「こんなに素直で可愛い人、他にいないもの」
ヴァイス様…?
「実はね、僕、釣書を見たとき、リンネに一目惚れしちゃったんだ」
「…!」
うそ!本当に!?嬉しい…!
「だから、リンネが僕を選んでくれて嬉しい」
「ヴァイス様…」
「僕の姫君。僕は君を一生をかけて愛することを誓います」
跪き、私の手を取って手の甲にキスを落とすヴァイス様。
「…!嬉しい!ヴァイス様、私も、一生をかけて貴方を愛することを誓います!」
「ふふ。両思いだね」
「はい、両思いです!」
ヴァイス様を婚約者に選んで良かったです!
「は、初めてお目にかかります。ヴァイスハイト・ファイン・ハイリヒトゥームと申します。ティラン・フロワ・エルドラド国王陛下におかれましては、ご機嫌麗しく」
「堅苦しい挨拶はいい。これからも同盟国としてよろしく頼む」
「ありがたき幸せ!」
「ありがたき幸せなら、もう一つあるぞ。特大級のがな」
「え?」
「我が愚妹よ、いい加減恥ずかしがってないで玉座の後ろから出てこい」
「は、はい、ティラン兄様!」
ギチギチと音がしそうなほどガチガチに固まりつつもなんとかティラン兄様の横に立つ。
「は、はじめまして。リンネアル・サント・エルドラドです、えっと、よろしくお願いします!」
「こ、こちらこそはじめまして。僕はヴァイスハイト・ファイン・ハイリヒトゥーム。リンネアル・サント・エルドラド王女殿下におかれましては、ご機嫌麗しく」
お互いにめちゃくちゃ緊張しつつも、なんとか挨拶を交わす。
「多分報せは受けただろうがな。お前は今日から我が愚妹の婚約者だ。くれぐれも丁重に扱えよ?」
「っ!は、はい、もちろんでございます!」
「愚妹よ。ヴァイスに王城を案内してやれ」
「は、はい、ティラン兄様!」
こうして私達は、二人きりになった。
「リンネアル王女殿下」
「は、はい!ヴァイスハイト様!」
ひゃー、こんな美男子の隣に立つと緊張しちゃうよ。
「お互いの仲を深めるために、愛称で呼びあいませんか?」
「い、いいと思います!」
「あと、敬語もやめましょう」
「う、うん。…ヴァイス様」
「ええ、…リンネ」
「…」
「…」
き、気まずい。
「えっと…薔薇園に行ってみよっか」
「ああ。リンネは薔薇が好きかい?」
「とっても!可愛くて美しいもの!」
「そっか。僕の姫君は薔薇が好きなんだね」
ひゃー、僕の姫君とか!恥ずかしい!話題逸らそう!
「でもどちらかといえば百合の方が好きかな。白くて可愛くて綺麗」
「そうか。リンネは百合が好きなのか。覚えておくね」
にこにこと笑ってそういうヴァイス様。本物の王子様ってこんな感じなんだ。
「さ、着いたよ!」
「これは見事な薔薇園だね」
「香りもすごくいいよね!」
「そうだね。…リンネ、薔薇を一輪貰ってもいいかい?」
「うん、いいよ!ちょっと待ってね、棘を切って貰わなくちゃ。庭師のお爺ちゃーん」
「はいはい、なんですかな姫さま。…おや、これは失礼致しました。ハイリヒトゥームに栄光あれ」
「ああ、いや、気にしないでくれ。今の僕はハイリヒトゥームの王子ではなく、リンネの婚約者兼恋人だ」
「であればなおのこと丁重におもてなししませんとな」
「はは。それもそうか。ごめんごめん、本当に気にしないでくれ」
「ねえ、お爺ちゃん、この薔薇一輪ちょうだい!」
「姫さまは本当に薔薇が好きですなぁ。…はい、どうぞ。棘も切りましたよ」
「ありがとう!はい、ヴァイス様!」
「おや、王子殿下への贈り物でしたか。若いですなあ。それでは老いぼれはここで失礼致します」
「お爺ちゃんありがとー!」
「ありがとうございます、庭師さん」
お爺ちゃんは仕事に戻っていった。
「…リンネは、使用人にも別け隔てなく接するんだね」
「あ、は、はしたなくてすみません…」
「そんなことない」
「え?」
「それはとても、大切なことだよ。王家は、国民の力あってこそ成り立つのだから」
「ヴァイス様…」
よかった。思ってた以上に優しい人だった。
「…リンネは、国王陛下によく似ているね」
「え?ティラン兄様に?」
「国王陛下も、下々の民にとても良く接しているそうだよ。陛下の打ち立てた新しい施策も、国民達から多く支持されている。国王陛下は、僕の憧れなんだ」
そうだったんだ。
「リンネ…ちょっと失礼」
ヴァイス様は、先程の薔薇を私の髪に挿してくれます。
「うん、やっぱり似合う」
「ヴァイス様…」
「ふふ、リンネ…これは内緒の話なんだけど」
「?はい」
「国王陛下はね。僕が婚約者に決まった際に、リンネを泣かせるようなことがあったら同盟国でも許さないって釘を刺してきたそうだよ」
「ティラン兄様が?」
私のこと、それなりに大切に思ってくれてるんだ。嬉しい…!
「僕は国王陛下の気持ちがわかるな」
「え?」
「こんなに素直で可愛い人、他にいないもの」
ヴァイス様…?
「実はね、僕、釣書を見たとき、リンネに一目惚れしちゃったんだ」
「…!」
うそ!本当に!?嬉しい…!
「だから、リンネが僕を選んでくれて嬉しい」
「ヴァイス様…」
「僕の姫君。僕は君を一生をかけて愛することを誓います」
跪き、私の手を取って手の甲にキスを落とすヴァイス様。
「…!嬉しい!ヴァイス様、私も、一生をかけて貴方を愛することを誓います!」
「ふふ。両思いだね」
「はい、両思いです!」
ヴァイス様を婚約者に選んで良かったです!
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