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六歳になりました!

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ご機嫌よう。リンネアル・サント・エルドラドです。ようやく六歳になりました。

目も自由に見えるようになったし、立てるようにも歩けるようにもなりました。もちろんお話だって出来ます。文字や絵も書けるようになりました。

さて、これまでの六年間、無理矢理王位についたティラン・フロワ・エルドラド兄様は、しかし私にはちゃんと乳母も専属侍女もつけてくれて、さらにまだ幼いというのに家庭教師までつけてくれました。家庭教師の先生には天才だと褒められてます。中身が中学生なだけだけれども。…そして、ティラン兄様が私の宮に来ることはなくて放置されましたが。

政は今のところ上手く行っているようで、市井の人々はむしろティラン兄様が王位継承してくれてよかったと言っているらしいです。おべっか使っているだけかも知れないけど。

そんなこんなでまあ気紛れで命を助けてもらったのはいいんですけど媚を売る隙も時間もありません。困った。

と、思っていたのですが。

「おーい、愚妹。遊びに来てやったぞ」

突然ティラン兄様が私の宮に遊びに来てくれました。

「…!?ど、どうかされましたか?あ、ご機嫌よう!」

「ふっ…ふふ、必死かよ。安心しろ、殺さないって。ご機嫌よう」

ぽんぽんと私の頭を軽く撫でるティラン兄様。

「お前がようやく帝王学と魔法学を習い始めたって聞いてな」

「あ、は、はい…」

「…嬉しくないのか?」

「も、もちろん嬉しいです!ティラン兄様の髪の毛、白銀できらきらしてて綺麗!目の色もアメジストみたいですごく素敵!ティラン兄様大好きです!」

「そうだろうそうだろう」

ティラン兄様は上機嫌。うーん。単純。

「お前、六歳にしては天才だって家庭教師から報告が上がってるぞ」

そう言いながらぽんぽんと私の頭を軽く撫でるティラン兄様。

「わあい、嬉しいなあ!」

「それで。…聞かないのか?」

「何を?」

「王族虐殺事件」

「…!」

一気に空気が冷たく、重苦しくなる。…でも、別に聞いても怒らなさそうだし、聞いておいた方が後々役に立つかも。

「聞いていいなら聞きたいなぁ」

「そうか」

ー…

ティラン兄様によると。この国では王位継承権は白銀の髪とアメジストの瞳によって決まるらしいです。白銀の髪であればあるほど精霊の加護を受け、アメジストの瞳であればあるほど魔力が高いというのが理由で、より白銀の髪であり、よりアメジストの瞳であることが王位継承に最も重要な資質なのです。

で、ティラン兄様は王の側妃の子で、しかも第二王子でありながら一番輝く白銀の髪と、深いアメジストの瞳を持っていたため、厄介者扱いを受けていたようです。ティラン兄様のお母様はお産の時に亡くなっていて、平民の方だったのでティラン兄様には後ろ盾すらなかったようです。

ということで、正妃…私のママの子である第一王子を王太子にするため、ティラン兄様は離宮に隔離されていたそうですが、私を出産したのを機についにママとパパがティラン兄様を暗殺しようとしたようで。それに気付いたティラン兄様が先手を取って大虐殺を行ったということらしいです。ティラン兄様は魔力もエルドラド一で、精霊の加護を受けているので簡単だったみたいです。

…あれ、ママとパパは自業自得なのでは?まあ、お兄様やお姉様方には可哀想なことでしたが。

でも、話を聞く限り、お兄様やお姉様方も妾腹のお兄様を見下していたらしいですしそれも自業自得なのかな。

で、私を気紛れで助けてくれたのは、私が母に似て白銀ではなくブロンドの髪であり、アメジストの瞳ではなく碧瞳だからだそうです。…ついでに、もしもママやパパ、お兄様やお姉様方が生きていたら、私が白銀の髪とアメジストの瞳を持たないことを理由として虐げられていた可能性もあるとか。

セーフ!

「ま、そういうことだからお前が王位継承なんて出来ないから」

「よっしゃあ!」

「なんで喜ぶんだよ、普通悲しむだろ」

「だってこれで殺されずに済むし、ティラン兄様にも嫌われずに済むでしょう?」

こてんとあざとく首を傾げてみせる。ティラン兄様は私の頭を軽く撫でる。

「ま、まあ…嫌いにはならないよ。お前が裏切らない限り」

「わーい!兄様大好きー!」

兄様に抱きつく。兄様は抱きとめてくれた。

「…まったく。可愛い妹君だこと」

「なにかいった?」

「なんにも?それより、これから一緒にお茶会でもどうだ?」

「!ぜひとも!」

こうして私達は、二人きりのお茶会を開くことにしました。
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