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ハロウィーン

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「百合、今日はハロウィーンですよ」

「あら」

「仮装グッズを買ってきたので、お互いに着替えましょう」

「ふふ、はい」

わくわくした様子の辰巳さんに急かされて、部屋に戻り仮装に身を包む。

私は魔女の衣装だった。

ベタだが可愛らしさ溢れるデザインの魔女衣装に、辰巳さんの気合を感じる。

「辰巳さん、着替えましたよ」

「僕も着替えが終わったところです」

辰巳さんの仮装は狼男。

ベタだが、かなりこだわりを感じるデザイン。

「では、髪型も整えて化粧も施しましょう」

「はい」

辰巳さんにセットしてもらう。

途端に、とても可愛らしくなった。

「では、百合。トリックオアトリート」

「ふふ、どうぞ」

一応辰巳さんのために、甘いお菓子は用意してあった。

辰巳さんに渡すと、嬉しそうな残念そうな表情。

「ありがとうございます。悪戯もしてみたかったのですがね」

「ふふ、そうですか」

「ああほら、百合も言うことがあるでしょう?」

「ああ、そうですね」

辰巳さんに魔法の呪文を唱える。

「トリックオアトリート」

「ふふ、お菓子はあげませんよ」

「え」

「なので悪戯してください」

突然のお誘いにどうしようか迷ったが、どうせなら盛大に悪戯をしようと思い立つ。

背伸びをして、辰巳さんの首の後ろに手を回して、辰巳さんの頬にキスをした。

「…ふふ、悪戯しちゃいました」

「思ったより刺激的な悪戯ですね」

「えへへ」

まあ、こんな悪戯もいいだろう。

「…では、驚かせてくれたお礼にお菓子をあげます」

「結局くれるんですか」

「ええ、もちろん」

そして二人でお菓子を食べながら、二人きりのハロウィーンを満喫した。
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