ねえ、君は生きたいですか?死にたいですか?

下菊みこと

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カカカカカ

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「カカカカカ」

「…うーん」

辰巳さんが出かけている間に、怪異に遭遇した。

怪異はお面のような姿。

口だけ動かしてカカカカカと鳴く。

果たしてどう対処するべきだろうか。

とりあえず、破魔の力があると辰巳さんが言っていたいつものパワーストーンを握りしめる。

「カカカカカ」

「…そうだ」

私を食べても美味しいかはわからない。

美味しい食べ物をあげれば満足するかもしれないとサラミを出してあげた。

「カカカカカ」

怪異はそれを見て、食べ始めた。

辰巳さん曰く餌付けはしちゃいけないらしいが、自分の身を守るためだから仕方がないだろう。

食べられるよりは食べ物を与える方がマシだ。

だって私は、辰巳さんにこそ食べられたいのだから。

「カカカカカ」

サラミを全部食べ終わった怪異。

特に動く様子もない。

「ただいま、百合」

「おかえりなさい、辰巳さん」

「…おや」

辰巳さんは怪異を見つけて止まった。

怪異は俊敏に逃げようとしたがダメだった。

「お前、僕の百合を狙いましたね?」

辰巳さんが指を鳴らす。

お面の怪異は爆散した。

それを辰巳さんはガムテープで破片一つ残さずぐるぐる巻きにして捨てた。

「百合、無事で良かった」

「そんなに危なかったんですか?」

「それなりに危険な妖でした。僕が帰ってくるまでよく耐えましたね」

どうやら今回の判断は間違っていなかったらしい。

良かった。
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