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メロン

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「ねえ、百合」

「はい?」

「大家さんから大玉のメロンをいただいてしまいました。お礼は何がいいですかね?」

「大家さんはきんぴら大福がお好きですから、それを持って行きましょうか」

「ええ、ですがその前に、このメロンを食してしまいましょうか」

辰巳さんが手刀を落とせば、メロンは真っ二つになった。

「わぁ」

「スプーンを持ってきますね」

真っ二つになったメロンは熟れていて美味しそう。

「はい、スプーンですよ」

「ありがとうございます、辰巳さん」

「ええ、ではいただきます」

「いただきます」

メロンを食べる。

甘い。

「甘いですね、辰巳さん」

「ええ、とても甘いです。美味しいですね、百合」

「美味しいですね」

辰巳さんは私をニコニコと笑顔で見つめる。

なんとなく気恥ずかしくなる。

「な、なんか照れちゃいます」

「ふふ、美味しそうに食べる百合があまりにも可愛いからですよ」

「も、もう…そんなことばかり言うんですから」

辰巳さんは罪作りな人だ。

「百合、いっぱい食べてもっと大きくなってくださいね」

「え?」

「そんな君を美味しく食べてあげますから」

優しい目でそんなことを言われると、その矛盾で思わず笑ってしまう。

「ふふふ、はい。いっぱい食べますね」

「ええ、そうしてください」

甘い。

甘いのはメロンだろうか、辰巳さんだろうか?

「しかしこれはいいメロンですね」

「大玉で食べられるところも多くて、甘くて美味しくて…大家さんの地元のメロンですかね」

「実家から届いたんですかね」

いいメロンをもらったので、後日二人できんぴら大福をたくさん持っていった。

こちらとしてはメロンをもらえて大喜びだったが、大家さんもきんぴら大福にとても喜んでくれたのでよかった。
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