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知らない人

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そうして楽しくマミちゃんと帰っていたら、知らない人に話しかけられた。

「おい、君」

「え、はい」

思わず止まってしまう。

「コトハちゃん、知ってる人?」

「知らない人…」

コトハちゃんはすかさず防犯ブザーをポケットから取り出した。

けれど知らないおじさんは怯まない。

そして言った。

「君、とんでもなく強大で悪いモノに取り憑かれているだろう」

「え…」

「…ナギさんのこと、ですか。おじさんも見える人ですか」

マミちゃんはおじさんを見据える。

「少しずつイイモノに変質しているとはいえ、幼い君がそばにいるには危険に変わりない。悪い事は言わないからお祓いをしよう」

お祓いって、兄様を私から引き離すってこと?

「そ、そんなの嫌です、必要ないです!」

「ナギさんはコトハちゃんを大切にしているので、危険はないはずです。必要ありません」

「君たちは幼いから、危険性がわからないだけだ。おいで。お祓いしてあげよう」

おじさんが私の腕を引っ張る。

その瞬間だった。

ビー!!!

ビー!!!

けたたましい音がなる。

「コトハちゃんから離れろ!」

「マミちゃん!」

マミちゃんが防犯ブザーを鳴らす。

人が集まって、おじさんは逃げた。

「…コトハ!」

そして兄様も遅れて駆けつけてくれた。

「来るのが遅くなってごめんね、邪魔が入って…」

「ううん、いいの」

兄様に抱きつく。

兄様に抱きしめ返されて、安心した。

その後おじさんのことを周りの大人にマミちゃんが説明してくれて、聞き取りとかはされたけど無事に家に帰れた。

マミちゃんに兄様と一緒にお礼を言って、三人で一緒に帰った。

「もう、あのおじさんに会わずに済めばいいな」

「コトハ…ごめんね、守れなくて」

「ううん、いいの。それより、兄様は大丈夫?」

「え?」

「あのおじさん、お祓いがどうこう言ってたから」

私がそう言うと、兄様は笑った。

「大丈夫。あの程度の男に祓える僕じゃないよ」

「そっか」

「ただ、さっきみたいにコトハ近付けなくされる可能性はあるね」

そう言って兄様は唇を噛む。

「少しの間とはいえ、コトハに干渉できなくされたのはムカつくな…」

「兄様…」

「まあでも、大丈夫。コトハは僕が守るよ」

誰に誤解されようが邪魔されようが関係ない。

そう言い切る兄様にちょっと安心する。

兄様は私にとってのヒーローみたいな人だ。

私の絶対の味方。

兄様がいてくれてよかった。
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