上 下
37 / 51

花火大会

しおりを挟む
「ねえねえ、兄様」

「どうしたの?」

「今日の夜花火大会があるの、マミちゃんと見に行ってもいい?」

「ダメですか?」

二人がおねだりポーズで聞いてくるが、先に確認。

「マミはお祖父さんとお祖母さんには許可とった?」

「はい、ナギさんが一緒ならいいそうです」

「兄様と三人で行きたいの、お願い!」

可愛いコトハにそこまで頼まれたら断るわけにもいかない。

「わかった、いいよ」

「!」

「やった!」

手を取り合ってきゃっきゃと騒ぐコトハとマミ。

「ねえねえ兄様、浴衣着たい!」

「お祖父ちゃんとお祖母ちゃんが浴衣を三つ貸してくれたんです、ほらこれ」

中には子供用の女の子ものの浴衣二つと、僕に貸してくれたのか大人の男性用の浴衣。

「みんなでおめかししていこう!」

「楽しみだね」

「ね!」

楽しそうにはしゃぐ二人。

保護者としてしっかり見守ってあげないとね。











二人がしっかり今日の分の宿題を終わらせて、みんなでお昼ご飯も食べてお昼寝もして、その後はすごろく遊びやトランプで楽しんだ。

そして夕方になり、二人に浴衣を着せる。

もちろん自分もせっかく貸していただけたから、着た。

「はい、二人とも可愛いよ」

「兄様もかっこいい!」

「ナギさん、似合ってます」

「ふふ、ありがとう」

一応迷子防止の為のお呪いを二人に掛けてから、出発する。

花火を見られる湖の近くでは出店もあって、コトハとマミにチョコバナナやかき氷などをねだられる。

もちろん買ってあげた。

二人とももきゅもきゅ食べていて可愛らしい。

「さあ、座って花火を見られる席があっちにあるから、そこでみようか」

「うん!」

「楽しみだね、コトハちゃん」

「ね、マミちゃん!」

有料の席と無料の席があって、有料の席を選んだ。

有料の席もけっこういっぱいいっぱいだったけど、なんとか三人一緒に見られる席を確保。

「そろそろ始まるよ」

「うん…わぁ!」

花火大会が始まった。

夜空に咲く大輪の花はとても美しく色鮮やかだ。

「綺麗だね!」

「すごく綺麗!」

「美しいね」

どんどん登っては咲く花火に感動する二人。

そんな幼い二人に癒される。

これが二人にとって、いい思い出になってくれたらいい。

いつか懐かしいねと語り合えたら、それはとても幸せなことだ。

そう思って、僕も夜空に咲く花を見上げた。













「楽しかったねー!」

「ねー!」

二人がきゃっきゃと騒ぐ。

花火大会が終わってもなお感動に浸る二人だが、そろそろ帰らなければならない。

「コトハ、マミを送って家に帰ろう」

「うん!マミちゃん、いこう!」

「うん!」

マミを家に送り、お祖母さんと軽く挨拶をして帰る。

「楽しかったなぁ、楽しかったなぁ!」

マミと別れてもなお楽しかったと繰り返すコトハ。

「来年も三人で行こうね!」

「そうだね」

このままずっと、毎年三人で見に行けたら…それも素敵だなんて思った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

美人すぎる姉ばかりの姉妹のモブ末っ子ですが、イケメン公爵令息は、私がお気に入りのようで。

天災
恋愛
 美人な姉ばかりの姉妹の末っ子である私、イラノは、モブな性格である。  とある日、公爵令息の誕生日パーティーにて、私はとある事件に遭う!?

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

×一夜の過ち→◎毎晩大正解!

名乃坂
恋愛
一夜の過ちを犯した相手が不幸にもたまたまヤンデレストーカー男だったヒロインのお話です。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

王太子殿下が好きすぎてつきまとっていたら嫌われてしまったようなので、聖女もいることだし悪役令嬢の私は退散することにしました。

みゅー
恋愛
 王太子殿下が好きすぎるキャロライン。好きだけど嫌われたくはない。そんな彼女の日課は、王太子殿下を見つめること。  いつも王太子殿下の行く先々に出没して王太子殿下を見つめていたが、ついにそんな生活が終わるときが来る。  聖女が現れたのだ。そして、さらにショックなことに、自分が乙女ゲームの世界に転生していてそこで悪役令嬢だったことを思い出す。  王太子殿下に嫌われたくはないキャロラインは、王太子殿下の前から姿を消すことにした。そんなお話です。  ちょっと切ないお話です。

ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません

下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。 旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。 ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも? 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...