36 / 88
食欲
しおりを挟む
食欲というのは人間にとって重要なものだ。
今日も今日とてマミとともに宿題をこなつつ勉強を教えてあげていたコトハ。
数時間ほどみっちりお勉強を頑張った二人のために、夏でも食欲が湧くモノを食べさせたい。
そこで僕は考えに考えて…辛いものを作ることにした。
「はい、二人ともおまたせ。辛味噌ラーメンだよ」
「わあ!美味しそう!」
「けっこう辛いんですか?」
「いや、二人のために辛さはマイルドにしてあるよ。食べやすい辛さだと思う」
「マミちゃん、食べよ食べよ!」
三人でラーメンに手を合わせる。
「いただきます」
「いただきます!」
「いただきます」
辛さはマイルドで、深みのある味わいの味噌ラーメン。
チャーシューも自家製だ。
今晩はコトハさえ良ければチャーシュー丼にするのもアリかと画策していたり。
「どうかな、美味しい?」
「美味しい!すごく美味しい!」
良かった。
昨日の夜からチャーシューをこっそり仕込んでいた甲斐があった。
「すごく美味しいです、ナギさん」
「ふふ、二人ともよく噛んで味わって食べるんだよ」
「はーい!」
「はい」
もきゅもきゅ食べる姿も可愛い。
コトハは本当にいい子だな。
もちろんマミもね。
「宿題、今日の分も終わったんだよね?」
「うん!計画通り進んでるよ!」
「なら、食べ終わって一休みしたら少しシエスタしようか」
「え?」
「みんなでお昼寝しよう」
コトハがパッと笑顔になる。
マミも嫌がる様子はない。
なのでしっかり食べて、少しゆったりと雑談をしてから三人でゆったりとお昼寝タイムと洒落込んだ。
「ふう、お腹いっぱい食べてからのお昼寝タイムはいいねぇ」
「食べてすぐはあれですけど、少し雑談タイムも交えましたしね」
「夏休みってみんなでずっと一緒にいられていいね!兄様とマミちゃんとお昼寝できるなんて、最高!」
きゃっきゃと騒ぐコトハを真ん中に、広いベッドで三人で横になるだけ。
それだけのことだけど、なんとなく幸せな心地になる。
人の子の一生なんてあっという間だけど、できることならこのままずっと見守っていられたら…。
「コトハ、長生きするんだよ」
「え、うん」
「マミもね」
「もちろんです」
どうしたって僕は置いていかれる。
けれど、それまでの時間を出来る限り引き伸ばしたい。
そう願うのはわがままだろうか。
今日も今日とてマミとともに宿題をこなつつ勉強を教えてあげていたコトハ。
数時間ほどみっちりお勉強を頑張った二人のために、夏でも食欲が湧くモノを食べさせたい。
そこで僕は考えに考えて…辛いものを作ることにした。
「はい、二人ともおまたせ。辛味噌ラーメンだよ」
「わあ!美味しそう!」
「けっこう辛いんですか?」
「いや、二人のために辛さはマイルドにしてあるよ。食べやすい辛さだと思う」
「マミちゃん、食べよ食べよ!」
三人でラーメンに手を合わせる。
「いただきます」
「いただきます!」
「いただきます」
辛さはマイルドで、深みのある味わいの味噌ラーメン。
チャーシューも自家製だ。
今晩はコトハさえ良ければチャーシュー丼にするのもアリかと画策していたり。
「どうかな、美味しい?」
「美味しい!すごく美味しい!」
良かった。
昨日の夜からチャーシューをこっそり仕込んでいた甲斐があった。
「すごく美味しいです、ナギさん」
「ふふ、二人ともよく噛んで味わって食べるんだよ」
「はーい!」
「はい」
もきゅもきゅ食べる姿も可愛い。
コトハは本当にいい子だな。
もちろんマミもね。
「宿題、今日の分も終わったんだよね?」
「うん!計画通り進んでるよ!」
「なら、食べ終わって一休みしたら少しシエスタしようか」
「え?」
「みんなでお昼寝しよう」
コトハがパッと笑顔になる。
マミも嫌がる様子はない。
なのでしっかり食べて、少しゆったりと雑談をしてから三人でゆったりとお昼寝タイムと洒落込んだ。
「ふう、お腹いっぱい食べてからのお昼寝タイムはいいねぇ」
「食べてすぐはあれですけど、少し雑談タイムも交えましたしね」
「夏休みってみんなでずっと一緒にいられていいね!兄様とマミちゃんとお昼寝できるなんて、最高!」
きゃっきゃと騒ぐコトハを真ん中に、広いベッドで三人で横になるだけ。
それだけのことだけど、なんとなく幸せな心地になる。
人の子の一生なんてあっという間だけど、できることならこのままずっと見守っていられたら…。
「コトハ、長生きするんだよ」
「え、うん」
「マミもね」
「もちろんです」
どうしたって僕は置いていかれる。
けれど、それまでの時間を出来る限り引き伸ばしたい。
そう願うのはわがままだろうか。
52
お気に入りに追加
301
あなたにおすすめの小説

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。

【完結】美しい人。
❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」
「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」
「ねえ、返事は。」
「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」
彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。
櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。
夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。
ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。
あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ?
子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。
「わたくしが代表して修道院へ参ります!」
野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。
この娘、誰!?
王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。
主人公は猫を被っているだけでお転婆です。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる