上 下
31 / 51

プレゼント

しおりを挟む
二人きりのお誕生日会をした次の日、コトハはいつも通りに登校する。

『おはよう!マミちゃん!』

『おはよう、コトハちゃん』

コトハはすっかりと仲良くなったマミに話しかける。

そんなコトハに、マミはどこかそわそわした様子だ。

『…マミちゃん、どうかした?』

『あのね、コトハちゃん。お誕生日おめでとう!』

マミは後ろ手に隠していた、誕生日プレゼントをコトハに渡す。

『え、ありがとう!すごく嬉しい!』

ぱっと笑うコトハにマミは目に見えて安心した表情。

『開けてみてもいい?』

『うん!』

コトハは丁寧に包み紙を開ける。

中から出てきたのは、なにかの飾りのついた髪留め。

そして飾りになっている石には、破魔の力が込められていた。

…別に、僕には効かないけど。

だって今の僕は祟り神としての本質は変わらないけれど、コトハのための守り神でもあるからね。

『これ…』

『破魔の力がこもったお守りの石を、髪留めに加工してもらったの。お祖父ちゃんが職人さんで、お祖母ちゃんが拝み屋さんなんだ』

『そうなんだ!』

『うん、だからお祖母ちゃんはナギさんのことも勘付いてるよ。でも完全に悪いモノではないし、むしろコトハちゃんがずっと信じる心を捧げていればいずれ本質すら変化するだろうって。だからコトハちゃんがこの髪留めをつけても影響はないらしいよ』

『難しいことはわからないけど、良かった!』

…なるほど、なるほど。

まあ、僕はコトハとずっといるつもりだし。

コトハの僕への信じる心は日に日に強くなる一方だし。

マミのお祖母ちゃんの言うように、祟り神としての本質すら変わる日は案外早く来るのかもしれないね?

拝み屋さんが言うなら間違いないだろう…うん、それならその方が嬉しくはある。

『さっそくつけてみてもいい?』

『うん、いいよ!』

『どうかな?』

『すごく可愛いよ、コトハちゃん!』

『ありがとう!』

破魔の効果はもちろんのこと、見た目も洗練された髪留め。

コトハによく似合っている。

悔しいが、プレゼントのセンスがとてもいい。

『大切にするね!』

『うん!』

まあ、コトハもすごく嬉しそうだしいいか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ゆるふわな可愛い系男子の旦那様は怒らせてはいけません

下菊みこと
恋愛
年下のゆるふわ可愛い系男子な旦那様と、そんな旦那様に愛されて心を癒した奥様のイチャイチャのお話。 旦那様はちょっとだけ裏表が激しいけど愛情は本物です。 ご都合主義の短いSSで、ちょっとだけざまぁもあるかも? 小説家になろう様でも投稿しています。

神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました

下菊みこと
恋愛
突然通り魔に殺されたと思ったら望んでもないのに記憶を持ったまま転生してしまう主人公。転生したは良いが見目が怪しいと実親に捨てられて、代わりにその怪しい見た目から宗教の教徒を名乗る人たちに拾ってもらう。 そこには自分と同い年で、神の子と崇められる兄がいた。 自分ははっきりと神の子なんかじゃないと拒否したので助かったが、兄は大人たちの期待に応えようと頑張っている。 そんな兄に気を遣っていたら、いつのまにやらかなり溺愛、執着されていたお話。 小説家になろう様でも投稿しています。 勝手ながら、タイトルとあらすじなんか違うなと思ってちょっと変えました。

妻と夫と元妻と

キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では? わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。 数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。 しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。 そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。 まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。 なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。 そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて……… 相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。 不治の誤字脱字病患者の作品です。 作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。 性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。 小説家になろうさんでも投稿します。

悪役令嬢を彼の側から見た話

下菊みこと
恋愛
本来悪役令嬢である彼女を溺愛しまくる彼のお話。 普段穏やかだが敵に回すと面倒くさいエリート男子による、溺愛甘々な御都合主義のハッピーエンド。 小説家になろう様でも投稿しています。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

五年目の浮気、七年目の破局。その後のわたし。

あとさん♪
恋愛
大恋愛での結婚後、まるまる七年経った某日。 夫は愛人を連れて帰宅した。(その愛人は妊娠中) 笑顔で愛人をわたしに紹介する夫。 え。この人、こんな人だったの(愕然) やだやだ、気持ち悪い。離婚一択! ※全15話。完結保証。 ※『愚かな夫とそれを見限る妻』というコンセプトで書いた第四弾。 今回の夫婦は子無し。騎士爵(ほぼ平民)。 第一弾『妻の死を人伝てに聞きました。』 第二弾『そういうとこだぞ』 第三弾『妻の死で思い知らされました。』 それぞれ因果関係のない独立したお話です。合わせてお楽しみくださると一興かと。 ※この話は小説家になろうにも投稿しています。 ※2024.03.28 15話冒頭部分を加筆修正しました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

処理中です...