君が僕に心をくれるなら僕は君に全てをあげよう

下菊みこと

文字の大きさ
上 下
19 / 88

友達

しおりを挟む
コトハは給食の時間、みんなと談笑しながらお昼を食べていた。

『コトハちゃんって食べ方綺麗だね』

『そうかな?お兄さんが教えてくれたからかな』

コトハは最初食事のマナーが苦手だったが、僕が根気強く教え続けたら自然と綺麗な食べ方になった。

『そうなんだ。コトハちゃんはお勉強も得意だよね』

『そうかな』

『うん、授業中に先生に指されてもハキハキ答えて正解してたし』

『お兄さんが勉強も見てくれてるからね』

『コトハちゃんのお兄さん本当にすごーい!』

本当にすごいのはコトハだけどね。

覚えは悪いがきちんと理解すれば自分の中に知識を吸収できる。

子供なんてみんなそうかもしれないけど、見守り教えるこちらとしては教え甲斐がある。

『ねえねえコトハちゃん、お昼休みは一緒に遊ぼうよ』

『いいよ』

『じゃあ鬼ごっこしようね!』

『うん!』

しっかりと食べて、お片付けが終わるとそのままお昼休み。

コトハはクラスメイトたちと鬼ごっこをして遊び始めた。

コトハは田舎育ち。

前の村の中では運動神経は普通程度だったが、都会に出ればかなり運動神経が良い方になる。

足がとてもはやいコトハを見て、クラスメイトたちは沸き立つ。

『わあ、コトハちゃんすごーい!』

『はやーい!』

『コトハちゃんはスポーツ万能だね!』

『ふふ、そんなことないよー』

褒められて照れるコトハ。

楽しそうでなによりだ。

その後もコトハはクラスメイトたちに囲まれて楽しく過ごした。

午後三時ごろに学校に迎えに行くと、コトハはまだクラスメイトたちに囲まれていた。

クラスメイトの女子たちは、コトハを迎えにきた僕を見てまたまた沸き立つ。

「え、コトハちゃんのお兄さん!?」

「本当にめちゃくちゃイケメンだー!」

「むしろ美形だー!」

「ふふ、お褒めの言葉をありがとう」

「声もイケボだー!」

きゃっきゃと沸き立つ彼女たちに微笑み、そしてコトハに手を差し伸べた。

「さあ、帰ろうか」

「うん!」

コトハは迷わず僕の手を取る。

クラスメイトたちに手を振ってバイバイして、僕と家路につく。

「今日、学校はどうだった?」

知らないフリをして聞けば、コトハは笑顔で答えてくれる。

「お友達がたくさんできたよ!」

「それは良かった」

「食べ方も褒めてもらえたの!」

「それはすごいね」

「兄様のおかげだよ!」

本当にコトハは可愛い。

「コトハの頑張りの成果だよ」

「ふふ。あとお勉強も成果が出てるみたい!授業の内容ちゃんとわかったよ!こんなの初めて!」

「それは良かった」

「あとね、知らなかったんだけど私って運動は得意みたい!」

「さすがはコトハ」

楽しそうに話すコトハに安心する。

ここでの生活は、コトハも上手くやれそうだ。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

【完結】美しい人。

❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」 「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」 「ねえ、返事は。」 「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」 彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。

ずっと温めてきた恋心が一瞬で砕け散った話

下菊みこと
恋愛
ヤンデレのリハビリ。 小説家になろう様でも投稿しています。

愛されない女

詩織
恋愛
私から付き合ってと言って付き合いはじめた2人。それをいいことに彼は好き放題。やっぱり愛されてないんだなと…

女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です

くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」 身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。 期間は卒業まで。 彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。

逆ハーレムの構成員になった後最終的に選ばれなかった男と結婚したら、人生薔薇色になりました。

下菊みこと
恋愛
逆ハーレム構成員のその後に寄り添う女性のお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

悪役令嬢に仕立て上げられたので領地に引きこもります

下菊みこと
恋愛
ギフトを駆使して領地経営! 小説家になろう様でも投稿しています。

死のうと思って家出したら、なんか幸せになったお話

下菊みこと
恋愛
ドアマットヒロインが幸せになるだけ。 ざまぁはほんのり、ほんのちょっぴり。 ご都合主義のハッピーエンド。 小説家になろう様でも投稿しています。

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話

処理中です...