君が僕に心をくれるなら僕は君に全てをあげよう

下菊みこと

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マンション

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「こんにちは、先程お電話した巫です」

「こんにちは、本日はよろしくお願い致します。早速ですが、なにか物件に条件はありますか?」

不動産屋さんに着くと、さっそく物件についての話が始まった。

「条件はこんな感じの物件がいいんですが」

条件をまとめた紙を渡す。

といってもそんなに条件は多くない。

子供連れでオーケーで、防音もしっかりしていて、目立ったご近所トラブルとかが起きてないところ。

賃貸マンションで費用は高すぎなければ大丈夫。出来ればすぐに入居できるところ。

小学校に近いとなおよし。

「ふむふむ。この条件でしたらここはどうでしょうか。全ての条件をクリアしています。それこそ今日契約してしまえば、明日から入居可能ですよ」

「え、本当ですか?」

「はい。新築の物件で、入居者募集中なので」

破格の物件だ。

全ての条件をクリアしている上にすぐに入居可能だなんて。

「費用はいくらですか?」

「こちらになります」

敷金礼金と家賃は、やはり新築ということもあり割高。

しかし条件面を考えればむしろお安いくらいには感じる。

「では、一度見学させてもらうことってできますか?出来れば今日にでも」

「一応大家さんに確認しますね」

一度席を離れた彼女はすぐに戻ってきた。

「大丈夫だそうです。今から行きましょうか」

そしてマンションの空き部屋を見学させてもらった。

中は当たり前だが清潔で、広さも十分。

住むのに問題はなさそうだ。

「コトハ、ここ気に入った?」

「うん、ここに住む!」

「ふふ、そっか。じゃあそうしようね」

コトハも気に入ったらしいので、また不動産屋さんに舞い戻り契約する。

「明日には引越ししてもいいんですよね?」

「はい、もちろんです。こちらが鍵です」

「ありがとうございます」

明日の昼には引越ししよう。

あと、本当に必要なものとコトハの思い出の品しか持ってきてないから家具家電も揃えないと。

「ありがとうございました!」

「ありがとうございました」

そしてぬいぐるみを一生懸命抱きしめているコトハに確認する。

「今から家具と家電も買いに行こうと思うんだけど、大丈夫?」

「うん、大丈夫!」

そして家具家電も揃えた。

明日の昼に僕らの契約した部屋に届く予定。

「これで生活基盤も整いそうだね、コトハ」

「安心?」

「安心だよ」

「よかった!」

ぬいぐるみを抱えてにこっと笑うコトハが可愛くて仕方がない。

その後はホテルに戻って、コトハとゆっくり過ごした。

コトハはよほどぬいぐるみを気に入ったようで、抱きしめて離さない。

そんなコトハも愛おしい。
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