5 / 27
お兄様
しおりを挟む
「魔法使いさん、どうして他の人に魔法使いさんが見えてるの?」
「それはね、お姫様。僕がお姫様の正式な後見人になったからだよ」
「後見人?」
「僕はそれなりにお金もあって、地位も実績もこの数日でしっかりと手に入れたからね。君のことを任せてもらえたよ」
「へー」
そんなもんか、と思う。
「魔法使いさん、そのたくさんの本は何?」
「お姫様に後見人が出来たからね。もうお姫様は放置してもらえないんだよ。だからたくさんお勉強しよう。今までしてきたことと大して変わらないけどね、覚える範囲が増えるだけで」
「ふーん」
お勉強は普通の子は嫌いらしいが、私は楽しいので好き。
「じゃあやろう、魔法使いさん」
「おや、やる気だね」
「魔法使いさんのお勉強は楽しい」
文字を書くのも言葉を話すのも、算数だってすごく楽しかった。
「ふふ、いいね。なら始めよう」
そしてお勉強が始まった。
朝からお勉強して、さっきまでたくさんのことを教えてもらった。楽しかった。今はというと、お昼ご飯の時間。
「魔法使いさん、ありがとう。楽しい」
「そう。よかった」
にっこり笑って頭を撫でてくれる魔法使いさん。
「お昼ご飯の後、お昼寝を挟んでから会わせたい人がいるんだ」
「うん、わかった」
「会ってくれるんだね」
「魔法使いさんの推薦なら大丈夫」
ということで、いつも通り二人でお昼ご飯を完食して二人でお昼寝をした。いつもと違うのは他の人に魔法使いさんが見えてることくらい。
起きたら会わせたい人とやらのためにおめかしして準備。
そして魔法使いさんから、その人が私の腹違いの兄だと教わった。
「…はじめまして」
「初めまして、僕はヴェルテュと申します。よろしくお願いしますね、妹さん」
妹さん、か。名前はやっぱり秘密みたい。
「えっと、お兄さん」
「お兄様って呼んでください」
「…お兄様?」
「うん、いい子」
お兄様はなんだか、とても穏やかな人だ。魔法使いさんの次くらい、私に優しい。
「それはね、お姫様。僕がお姫様の正式な後見人になったからだよ」
「後見人?」
「僕はそれなりにお金もあって、地位も実績もこの数日でしっかりと手に入れたからね。君のことを任せてもらえたよ」
「へー」
そんなもんか、と思う。
「魔法使いさん、そのたくさんの本は何?」
「お姫様に後見人が出来たからね。もうお姫様は放置してもらえないんだよ。だからたくさんお勉強しよう。今までしてきたことと大して変わらないけどね、覚える範囲が増えるだけで」
「ふーん」
お勉強は普通の子は嫌いらしいが、私は楽しいので好き。
「じゃあやろう、魔法使いさん」
「おや、やる気だね」
「魔法使いさんのお勉強は楽しい」
文字を書くのも言葉を話すのも、算数だってすごく楽しかった。
「ふふ、いいね。なら始めよう」
そしてお勉強が始まった。
朝からお勉強して、さっきまでたくさんのことを教えてもらった。楽しかった。今はというと、お昼ご飯の時間。
「魔法使いさん、ありがとう。楽しい」
「そう。よかった」
にっこり笑って頭を撫でてくれる魔法使いさん。
「お昼ご飯の後、お昼寝を挟んでから会わせたい人がいるんだ」
「うん、わかった」
「会ってくれるんだね」
「魔法使いさんの推薦なら大丈夫」
ということで、いつも通り二人でお昼ご飯を完食して二人でお昼寝をした。いつもと違うのは他の人に魔法使いさんが見えてることくらい。
起きたら会わせたい人とやらのためにおめかしして準備。
そして魔法使いさんから、その人が私の腹違いの兄だと教わった。
「…はじめまして」
「初めまして、僕はヴェルテュと申します。よろしくお願いしますね、妹さん」
妹さん、か。名前はやっぱり秘密みたい。
「えっと、お兄さん」
「お兄様って呼んでください」
「…お兄様?」
「うん、いい子」
お兄様はなんだか、とても穏やかな人だ。魔法使いさんの次くらい、私に優しい。
44
お気に入りに追加
201
あなたにおすすめの小説
ただの新米騎士なのに、竜王陛下から妃として所望されています
柳葉うら
恋愛
北の砦で新米騎士をしているウェンディの相棒は美しい雄の黒竜のオブシディアン。
領主のアデルバートから譲り受けたその竜はウェンディを主人として認めておらず、背中に乗せてくれない。
しかしある日、砦に現れた刺客からオブシディアンを守ったウェンディは、武器に使われていた毒で生死を彷徨う。
幸にも目覚めたウェンディの前に現れたのは――竜王を名乗る美丈夫だった。
「命をかけ、勇気を振り絞って助けてくれたあなたを妃として迎える」
「お、畏れ多いので結構です!」
「それではあなたの忠実なしもべとして仕えよう」
「もっと重い提案がきた?!」
果たしてウェンディは竜王の求婚を断れるだろうか(※断れません。溺愛されて押されます)。
さくっとお読みいただけますと嬉しいです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~
石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。
食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。
そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。
しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。
何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。
扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる