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ちょっと過保護なヴァレール様

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「けれど、大人に戻ったシャルにも耳と尻尾が残るのは予想外だったな」

「それは…はい、わたくしもですわ」

ちょっと気恥ずかしい。

獣人は神聖視されているとはいえ、耳と尻尾が残るのは気持ちとか色々バレバレになるし照れてしまう。

「わたくし、このままで大丈夫かしら…」

「心配だね」

「そうですわね、王太子妃となった時のお仕事とかを考えると…」

「うん、外交の際に可愛いシャルに魅了される男性が続出しそうで不安だ」

「え?」

ヴァレール様を見れば真剣な表情。

「ヴァレール様、心配するところが違うのでは…?」

「なにも違わないよ、シャルがとても心配だ」

「そういう意味なら、わたくしは大丈夫ですわ。だってわたくし、ヴァレール様に一筋ですもの」

わたくしがそう言えば、ヴァレール様はわたくしを抱きしめた。

「ヴァレール様?」

「可愛すぎる…」

「え」

「シャル、やっぱりシャルが可愛すぎて心配だ。でも可愛いシャルを堪能していたいから獣人化が解けるのももったいない気がする。どうしようか」

「どうしようかとおっしゃいましても…」

ヴァレール様ったら、心配の方向が斜め上ですわ。

「シャル、知らない人について行ったらダメだよ」

「しませんわ」

「何かあったらすぐに僕に知らせて」

「もちろんですわ」

「あまり可愛いところをほかの人に見せないでね」

もう、ヴァレール様が過保護すぎますわ!

「ヴァレール様ったら、もうわたくし子供モードではありませんわ!」

「でも可愛すぎるところは変わらないよね」

「ええ…」

ヴァレール様ったら、本気でおっしゃっていますわ。

「ああ、四六時中一緒にいられればいいのに」

「ヴァレール様にはお仕事がありますし、わたくしも魔力石の備蓄が必要ですから難しいですわ。暗躍する闇の組織との対峙に向けて準備のためにも魔力石の備蓄は大切ですわ」

「そうだよね…」

ああ、ヴァレール様が目に見えて落ち込んでしまいましたわ!?

「で、でもヴァレール様!わたくし大丈夫ですわ!ヴァレール様のくださったこのネックレスを大切にしますわ!このネックレスをヴァレール様だと思って!」

「シャル!やっぱり可愛すぎる!なんで大人に戻って美しくなってもなおそんなに可愛いんだ!」

またぎゅうぎゅうと抱きしめられましたわ。

「シャル、魔力石の備蓄も大切だけれど、無理はしないでね」

「もちろんですわ!無理のない程度に頑張りますわね」

「うん、そうしてくれ。聖女兼僕の婚約者ということでなにかと負担をかけてしまうけれど、どうかこれからは自分を大切にしてね」

「ええ、もちろんですわ」

大好きなヴァレール様にそう言われるならば、ますます無理はしない程度に頑張らなければなりませんわね。

ヴァレール様を安心させて差し上げなければ。
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