悪役令嬢が王太子に掛けられた魅了の呪いを解いて、そのせいで幼児化した結果

下菊みこと

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お兄様の婚約者

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わたくしが正式に聖女に選ばれてから数日後、お兄様の婚約者がお祝いに来てくださった。

「シャル、久しいですね」

「お義姉様、お久しぶりですわ」

お兄様の婚約者であるお義姉様は、わたくしが幼児化していた間何回も会いに来てくださった優しい方。

そして、クールビューティな雰囲気の素敵な方でもある。

「元の身体に戻って良かったですね」

「はい、その節はお世話になりました」

「いえ、良いのです。幼いシャルも可愛らしかったですから」

「ふふ、お義姉様ったら」

お義姉様はわたくしに甘い。

でも幼児化していた時のお義姉様はもっと甘かった。














『シャル』

『お義姉様!来てくださったのですね!』

『本当に小さくなってしまったのですね。よく頑張りましたね、シャル』

走ってお義姉様に抱きつきに行ったわたくしを、軽く受け止めてくださったお義姉様。

そんなお義姉様に頭を撫でて褒めてもらえてご機嫌になる幼いわたくし。

『シャル、お土産を持ってきましたよ』

『お土産?』

『わたくしのお気に入りのお茶とお菓子です』

『わぁ、ありがとうございます!お義姉様大好きです!』

『ふふ、小さなシャルも可愛らしいですね』

お義姉様は細い腕で優しくわたくしを抱き上げて、中庭に向かう。

『こんなに可愛い妹がいれば、ジズがシスコンになるのもわかりますね』

『あ、お義姉様、もしかして嫌な思いを…』

『いえ?わたくしもジズに負けず劣らずシャルを愛していますから』

『お義姉様ったら』

こんなことを言うお義姉様だけど、一番愛しているのはもちろんお兄様。

お兄様もお義姉様を愛しているから、まさに相思相愛だ。

『…アデール!』

『ジズ』

『シャルと一緒だったんだな。幼児化したシャルも可愛らしいだろ?』

『ええ、本当に可愛いですね』

『小さなシャルと戯れるアデールも可愛いな』

『またそんなことを言って…』

頬を染めて顔を背けるお義姉様。

可愛いお義姉様の一面に思わず微笑んでしまう。

幼いわたくしはストレートに言った。

『お義姉様とお兄様は相変わらずラブラブですわね!』

『うん、そうだよ』

『ジズ!』

『だって本当のことだろう?』

『それはそうですが…恥ずかしいです』

自分の髪を指先でくるくると弄びつつ恥じらうお義姉様は本当に可愛らしかった。

『アデールは本当に可愛いなぁ』

『ジズ!』

ラブラブいちゃいちゃするお義姉様とお兄様に、幼いわたくしはなんとなく嬉しい気分になった。
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