悪役令嬢が王太子に掛けられた魅了の呪いを解いて、そのせいで幼児化した結果

下菊みこと

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彼女のその後

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結局あれから、エマ様は聖魔力を奪われ続けその苦痛に心を壊したらしい。

けれどその甲斐あって、聖魔力を使った魅了の呪いの対抗策ができた。

ヴァレール様や王族の方々、ヴァレール様の妃となるわたくしも魅了避けのアミュレットを身につけることになりましたわ。

「このようなものがあれば、もう同じ悲劇は繰り返されませんね」

「よかったね」

「エマ様は聖魔力を奪われる苦痛に耐えかねて、心を壊したと聞きましたけれど…」

「そうだね。けれど彼女は王太子に毒牙を向けたのだから、こうなるのも仕方がないさ」

「そうですわね…」

これは、次世代の聖魔力保持者への牽制でもある。

こんなことを仕出かしたらどうなるかというみせしめ。

だから仕方がないのだろう。

なにより彼女は面会時、反省の色が見えなかった。

彼女には必要な罰だったのかもしれない。

「今後彼女はどのように?」

「これからも聖魔力を奪われ続けるのが彼女への罰だ。奪った聖魔力は、国の結界や国民への加護に当てられる」

「まあ…」

つまり彼女が元気に聖魔力を生み出し続ける間は、わたくしの聖女としての仕事は楽になるということだろう。

「よかったね、シャル」

「よかった…のでしょうか」

エマ様に非があるとはいえ可哀想に思う。

でも、国のことやわたくしの将来の負担を考えればたしかに悪い話ではないのだけど。

エマ様も、悪事を働かず聖女となればこんな思いはせずに済んだのに。

本当に、可哀想な方だ。

「優しい君には少し酷な話だったかな」

「いえ、聞かせていただけて良かったです」

「それならいいのだけど」

心配そうになさるヴァレール様に、とびきりの笑顔を向ける。

「わたくしは、ヴァレール様にそんな風に気にかけていただけて幸せですわ!」

「…ふふ、もう。シャル、愛してるよ」

「わたくしもですわ!」

ぎゅっと抱きしめ合う。

わたくしはエマ様に同情するよりヴァレール様を大切にする方が大事ですわ。

ヴァレール様が心配してくださるのなら、余計な心配をさせないためにもエマ様のことは忘れますわ。

非情でごめんなさい。

けれどもわたくし、どうしてもヴァレール様が大切なんですの。
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