妾の子として虐げられていた私が、爵位を継いだお兄様から溺愛されるだけ

下菊みこと

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魔力封じの手錠をかけられ倉庫に閉じ込められました

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今日も今日とて学園でティナ様とジェシー様と楽しく過ごして、放課後にクリス様と皇宮に向かおうと思っていたのですが。

「エレオノール様、ちょっといいかしら?」

「はい、なんですか?」

「ご相談があって…人に聞かれたくないことですので、体育館の倉庫まで来てくださいます?今日は幸い、どの部活動もお休みですし」

「わかりました。構いませんよ」

クリス様のクラスメイトの方三人にお願いされたので、少し寄り道していくことになりました。特に親しいわけではない顔を知っている程度の方々なので、ちょっと意外ですが頼られたなら頑張りたいです。

「では、クリス様にお伝えしてから行きますのでちょっと待っていてくださいね」

「大丈夫ですわ。私達がクリス様にお伝えしてありますので。クリス様も快く許可をくださいましたわ」

「そうなのですか?では行きましょうか」

ということで、相談が終わったらすぐ帰れるよう鞄を持って、四人で体育館の倉庫までやってきました。

「それで、ご相談というのは…」

「エレオノール様、ごめんなさい!」

二人にいきなり抱きつかれて、もう一人に手錠をかけられてしまいマットに突き飛ばされました。

「私達男爵家の人間では、公爵令嬢であるオデット様の命令には逆らえないのですわ!」

「どうかお許しください!」

「ごめんなさい!」

そう言って三人は倉庫の鍵を閉めて出て行ってしまわれました。

「…えっと、どうしましょう?」

この状況では何もできることがありません。手錠をかけられていますし、その状態でマットに突き飛ばされたので起き上がるのも困難です。

「…とりあえず、起き上がりましょうか」

マットの上でゴロンゴロンと身体を動かして、どうにか無理のない体勢で上半身を起き上がらせます。

「疲れました…」

しかしなんとか起き上がることが出来たのは良かったです。

「次は何をしましょうか?」

体育館の倉庫には窓がなく、体育館には今誰もいないので脱出や助けを求めることは難しいです。幸い換気扇はあるので空気はまあ大丈夫でしょう…多分。

「とりあえず換気扇をつけますか」

手錠は背中ではなく前の方でかけられているので、スイッチを押したり目の前のものを弄るくらいは出来ます。スイッチを押せば換気扇が回る音。よかった、大丈夫そうです。

「あと出来ることは何でしょうか?」

…明日の朝、運動系の部活の方々が体育館に来てくださるのを待つしかないですかね。運が良ければクリス様やお兄様が来てくださると思うのですが。

「…とりあえず、体力を温存しましょうか」

ということで少し眠ることにします。なんだかすごい疲労感を感じるからです。倉庫の中は非常に暗いので、寝ようと思えばいくらでも寝られます。

「お休みなさい」

目が覚めたら朝で、運動系の部活の方々か来てるといいなぁと思います。

ー…ぐっすり眠って起きました。

願いも虚しく、目が覚めても外から運動系の部活の朝練の音などは聞こえません。

仕方がないのでもう一度寝ようと思いますがなかなか寝つけません。さっきまで寝てましたしね。仕方がないか。

「うーん。あと出来ること…」

とりあえず治癒魔法で疲れた身体を癒しましょう。

「…あれ?」

おかしいです。治癒魔法が発動しません。

「…え、なんでですか?」

何回やってもダメです。どうしましょう?

「試しに結界を張ってみましょうか」

…やはりだめです。

「…魔法学は全然わからないのですが、もしかしてこの手錠魔力封じのものですか?」

だとしたら困りました。とりあえずしばらくは大丈夫だと思いますが、魔力膨張症のリスクが高いです。とりあえず身体がほわほわし始めたら皇帝陛下のくださった薬を飲みましょう。少しでも生き残る確率を上げたいです。

「まあ、いくらなんでもそんなに急激に魔力膨張症になることは無いと思うのですが」

前回魔力膨張症になった時は何日か保ってましたしね。

「うーん。水と飲み物とお手洗いはどうしましょう?」

とりあえず持ってきた鞄の中を確かめます。あ、水筒の果実水はまだ残ってますね。一応何かあった時のために果実水の入った水筒を二本持ってきてあります。一本はまだ開けてなかったので一晩はなんとかなりそうです。

「携帯食料と携帯トイレは持ってきてあるでしょうか?」

準備は全部ナタリーにお任せしているので、何があって何がないかわからないので鞄の中を漁ります。

「…あった!携帯食料!」

チョコレートとアーモンドなどで作られた、甘くてカロリー過多なお菓子を見つけました。なんだかんだでお腹にもたまりますし、なんとか空腹は紛らわせられそうです。

「あとは携帯トイレなのですが…」

何かないかと鞄をひっくり返して探すと、猫砂入りの防水加工が施された大きな袋が出てきます。

「さすがはナタリー。用意周到ですね」

これでなんの心配もなくとりあえず一晩はなんとかなりそうです。

「あ、ブランケット」

鞄に中身を戻していると、ブランケットが目に入りました。マットで寝るときにブランケットも掛けて寝ましょう。

「魔力膨張症、ならないでくれると助かるのですが…」

病気って、このタイミングで!?ということが多いので、とても怖いです。

「先程の三人は大丈夫でしょうか?」

私だったら罪悪感に苛まれてどうすればいいかわからなくなりそうですが、あの三人が後悔に打ちひしがれることがないか心配です。公爵令嬢のオデット様の命令とのことですし、あの三人が悪いわけでもないですから。

「明日の朝には脱出して、私は大丈夫だから気にしなくて良いと言って差し上げないと…」

彼女達が不憫です。オデット様とやらも、直接私に文句を言いに来ればいいのに何故あの三人を巻き込んでしまうのでしょうか?よろしくない思考だと思います。
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