73 / 103
有象無象にエレナを取られてたまるか
しおりを挟む
エレナのダンスパーティーのパートナーになることが決まってから、僕はエレナと何回もダンスの練習を積み重ねた。
エレナはダンスがとても上手で、僕達は練習だというのにすごく楽しくて時間を忘れて踊り続けた。
そして、ダンスパーティーでエレナが着るドレスと装飾品とダンスシューズを贈る。
当日のメイクや髪型も準備したかったが、それは遠慮された。ちょっと残念。
そして迎えた当日。きっちりと準備をして、かっこよく正装に着替えてエレナを迎えに行く。そして僕は現れたエレナに思わず見惚れてしまった。
ー…美しい。
やっと意識が現実に戻ってくると、僕は微笑んで控えめにエレナの頭を撫でる。そして、マックスに促されて馬車に三人で乗り込む。
マックスにも結婚を促すが、マックスは頑なに拒否。そしてさらっとエレナにアピールする僕。
顔を赤くして僕から逃げるように視線を彷徨わせるエレナが可愛い。そんなエレナを見つめる僕にマックスは何かを悟ったらしく驚いた表情を見せて、微笑んだ。
入場すると、先に入場していた奴らが一斉にこちらを向く。噂話をしながらエレナを値踏みしているらしい。
ふとエレナが僕を見上げた。おそらく噂話の出所が僕かなと気付いたんだろう。にこりと微笑んでごまかす。
そしてエレナとファーストダンスを踊る。世界が今、この瞬間だけを切り取られているような不思議な感覚。
ただエレナだけを見つめて、ダンスだけに集中する。その短い時間が永遠に続く錯覚を受けた。
けれど、時は誰にでも平等にやってくるもの。ファーストダンスは終了して、僕はエレナと一緒にマックスの元へ戻る。
お兄様は踊り疲れただろう僕達のために、シャンパンを貰っておいてくれた。エレナと共にシャンパンを飲んで喉を潤す。
ほっと一息をついて三人で話していたところで、エレナのクラスメイトが近寄ってきて、そのままエレナにダンスのお誘いをする。
…させないよ?
「ごめんね。この子は僕だけの特別な人なんだ。他を当たってくれるかな」
僕はそう言って、エレナを抱き寄せる。
「く、クリス様!」
「し、失礼しました!」
その様子を見ていた貴族女性達の、きゃーきゃーという黄色い声があちこちから聞こえる。マックスは頭を抱えていた。
「ごめんね、エレナ。君を他の男に取られるのは僕には我慢ならないみたいだ」
エレナの頬にキスをすれば、それを見てさらに会場中から大歓声。マックスは困り果てた様子でため息。仕方ないじゃん。エレナが可愛いんだもの。
すごい騒ぎになったが、大人しくしていれば騒ぎにも収まって、いつもの二人とも合流した。
マックスと彼女達は和気藹々とした雰囲気。僕は除け者かな?その後いつも通りわちゃわちゃと騒いだ。やっぱり楽しいな、この二人。
エレナはダンスがとても上手で、僕達は練習だというのにすごく楽しくて時間を忘れて踊り続けた。
そして、ダンスパーティーでエレナが着るドレスと装飾品とダンスシューズを贈る。
当日のメイクや髪型も準備したかったが、それは遠慮された。ちょっと残念。
そして迎えた当日。きっちりと準備をして、かっこよく正装に着替えてエレナを迎えに行く。そして僕は現れたエレナに思わず見惚れてしまった。
ー…美しい。
やっと意識が現実に戻ってくると、僕は微笑んで控えめにエレナの頭を撫でる。そして、マックスに促されて馬車に三人で乗り込む。
マックスにも結婚を促すが、マックスは頑なに拒否。そしてさらっとエレナにアピールする僕。
顔を赤くして僕から逃げるように視線を彷徨わせるエレナが可愛い。そんなエレナを見つめる僕にマックスは何かを悟ったらしく驚いた表情を見せて、微笑んだ。
入場すると、先に入場していた奴らが一斉にこちらを向く。噂話をしながらエレナを値踏みしているらしい。
ふとエレナが僕を見上げた。おそらく噂話の出所が僕かなと気付いたんだろう。にこりと微笑んでごまかす。
そしてエレナとファーストダンスを踊る。世界が今、この瞬間だけを切り取られているような不思議な感覚。
ただエレナだけを見つめて、ダンスだけに集中する。その短い時間が永遠に続く錯覚を受けた。
けれど、時は誰にでも平等にやってくるもの。ファーストダンスは終了して、僕はエレナと一緒にマックスの元へ戻る。
お兄様は踊り疲れただろう僕達のために、シャンパンを貰っておいてくれた。エレナと共にシャンパンを飲んで喉を潤す。
ほっと一息をついて三人で話していたところで、エレナのクラスメイトが近寄ってきて、そのままエレナにダンスのお誘いをする。
…させないよ?
「ごめんね。この子は僕だけの特別な人なんだ。他を当たってくれるかな」
僕はそう言って、エレナを抱き寄せる。
「く、クリス様!」
「し、失礼しました!」
その様子を見ていた貴族女性達の、きゃーきゃーという黄色い声があちこちから聞こえる。マックスは頭を抱えていた。
「ごめんね、エレナ。君を他の男に取られるのは僕には我慢ならないみたいだ」
エレナの頬にキスをすれば、それを見てさらに会場中から大歓声。マックスは困り果てた様子でため息。仕方ないじゃん。エレナが可愛いんだもの。
すごい騒ぎになったが、大人しくしていれば騒ぎにも収まって、いつもの二人とも合流した。
マックスと彼女達は和気藹々とした雰囲気。僕は除け者かな?その後いつも通りわちゃわちゃと騒いだ。やっぱり楽しいな、この二人。
22
お気に入りに追加
3,308
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ決定】無敵のシスコン三兄弟は、断罪を力技で回避する。
櫻野くるみ
恋愛
地味な侯爵令嬢のエミリーには、「麗しのシスコン三兄弟」と呼ばれる兄たちと弟がいる。
才能溢れる彼らがエミリーを溺愛していることは有名なのにも関わらず、エミリーのポンコツ婚約者は夜会で婚約破棄と断罪を目論む……。
敵にもならないポンコツな婚約者相手に、力技であっという間に断罪を回避した上、断罪返しまで行い、重すぎる溺愛を見せつける三兄弟のお話。
新たな婚約者候補も…。
ざまぁは少しだけです。
短編
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
突然の契約結婚は……楽、でした。
しゃーりん
恋愛
幼い頃は病弱で、今は元気だと言うのに過保護な両親のせいで婚約者がいないまま18歳になり学園を卒業したサラーナは、両親から突然嫁ぐように言われた。
両親からは名前だけの妻だから心配ないと言われ、サラーナを嫌っていた弟からは穴埋めの金のための結婚だと笑われた。訳も分からず訪れた嫁ぎ先で、この結婚が契約結婚であることを知る。
夫となるゲオルドには恋人がいたからだ。
そして契約内容を知り、『いいんじゃない?』と思うお話です。
わたしのことはお気になさらず、どうぞ、元の恋人とよりを戻してください。
ふまさ
恋愛
「あたし、気付いたの。やっぱりリッキーしかいないって。リッキーだけを愛しているって」
人気のない校舎裏。熱っぽい双眸で訴えかけたのは、子爵令嬢のパティだ。正面には、伯爵令息のリッキーがいる。
「学園に通いはじめてすぐに他の令息に熱をあげて、ぼくを捨てたのは、きみじゃないか」
「捨てたなんて……だって、子爵令嬢のあたしが、侯爵令息様に逆らえるはずないじゃない……だから、あたし」
一歩近付くパティに、リッキーが一歩、後退る。明らかな動揺が見えた。
「そ、そんな顔しても無駄だよ。きみから侯爵令息に言い寄っていたことも、その侯爵令息に最近婚約者ができたことも、ぼくだってちゃんと知ってるんだからな。あてがはずれて、仕方なくぼくのところに戻って来たんだろ?!」
「……そんな、ひどい」
しくしくと、パティは泣き出した。リッキーが、うっと怯む。
「ど、どちらにせよ、もう遅いよ。ぼくには婚約者がいる。きみだって知ってるだろ?」
「あたしが好きなら、そんなもの、解消すればいいじゃない!」
パティが叫ぶ。無茶苦茶だわ、と胸中で呟いたのは、二人からは死角になるところで聞き耳を立てていた伯爵令嬢のシャノン──リッキーの婚約者だった。
昔からパティが大好きだったリッキーもさすがに呆れているのでは、と考えていたシャノンだったが──。
「……そんなにぼくのこと、好きなの?」
予想もしないリッキーの質問に、シャノンは目を丸くした。対してパティは、目を輝かせた。
「好き! 大好き!」
リッキーは「そ、そっか……」と、満更でもない様子だ。それは、パティも感じたのだろう。
「リッキー。ねえ、どうなの? 返事は?」
パティが詰め寄る。悩んだすえのリッキーの答えは、
「……少し、考える時間がほしい」
だった。
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる