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お兄様とのティータイム
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今日は、お兄様に誘われて中庭でティータイムを過ごすことになりました。天気も良く心地良い風が気持ち良いです。美しく咲く中庭の花達が風にそよそよと吹かれてとても可愛らしいです。
「お兄様、お誘いくださりありがとうございます」
「いや、私が可愛い妹と時間を過ごしたかったんだ。こちらこそ来てくれてありがとう」
「もう、お兄様ったら」
「はは。今日はガトーショコラを作らせた。よかったら二人でたくさん食べてしまおう」
「まあ!素敵!」
「エレナは昔からチョコレートが好きだったからな。今も好きか?」
「もちろんです!覚えていてくださったのですね!」
「ああ。可愛いお前のことだからな」
にこにこと微笑むお兄様にほっとします。やっぱりお兄様は何も変わっていないのです。昔から変わらない、優しいお兄様です。それがとても嬉しい…。お兄様は頭を撫でてくれます。やはりその手にびくりと反応してしまいますが、お兄様は何も言わず撫でてくれます。
中庭に設置されたテーブルにはガトーショコラ。椅子に座るとナタリーが紅茶を淹れてくれます。ナタリーの淹れてくれる紅茶はとても美味しくて、用意されたガトーショコラに紅茶が良く合います。とても好きな味でした。聞けば、お兄様と遊んでいた頃に良く出されていたガトーショコラのレシピだそうです。また嬉しい気持ちになりました。
「あの頃は私ったらお兄様をよくお誘いして、木登りなんてしてましたね」
「ああ。器用に登っていくから感心したものだ。負けず嫌いな私もすぐに覚えて、二人して高い木に登るものだからエレナの母君がおろおろしていたな」
「お母様ったら私達が木登りを覚えた最初の頃は、パニックになったのか身体が丈夫でもないのに自分まで登って来ようとして、こちらがはらはらしましたよね」
「あれにはまいったな。さすがエレナの母君だけはある」
「ふふ。でも、とっても楽しかったです」
「ああ。私もだ。エレナとエレナの母君の笑顔が、あの頃の私にはとても…」
「…お兄様?」
「いや…ありがとう、エレナ。エレナがいたから、私はここまで頑張れた」
「それは私の方です!お兄様との思い出のおかげで、私は別邸でもなんとか生きることが出来たのです。お兄様のおかげで、私はここまで頑張れたのです!」
「そうか。俺の存在がエレナの助けになったなら嬉しい。大好きだ、エレナ」
「私もお兄様が大好きです!」
何故かこの後近くに控えていたナタリーが涙を流し、焦ってそちらを振り返ればお兄様の護衛の騎士達も涙目でさらに焦りました。が、お兄様はあれは悲しい涙じゃないから放っておけと言うのでそっとしておくことにしました。
「お兄様、お誘いくださりありがとうございます」
「いや、私が可愛い妹と時間を過ごしたかったんだ。こちらこそ来てくれてありがとう」
「もう、お兄様ったら」
「はは。今日はガトーショコラを作らせた。よかったら二人でたくさん食べてしまおう」
「まあ!素敵!」
「エレナは昔からチョコレートが好きだったからな。今も好きか?」
「もちろんです!覚えていてくださったのですね!」
「ああ。可愛いお前のことだからな」
にこにこと微笑むお兄様にほっとします。やっぱりお兄様は何も変わっていないのです。昔から変わらない、優しいお兄様です。それがとても嬉しい…。お兄様は頭を撫でてくれます。やはりその手にびくりと反応してしまいますが、お兄様は何も言わず撫でてくれます。
中庭に設置されたテーブルにはガトーショコラ。椅子に座るとナタリーが紅茶を淹れてくれます。ナタリーの淹れてくれる紅茶はとても美味しくて、用意されたガトーショコラに紅茶が良く合います。とても好きな味でした。聞けば、お兄様と遊んでいた頃に良く出されていたガトーショコラのレシピだそうです。また嬉しい気持ちになりました。
「あの頃は私ったらお兄様をよくお誘いして、木登りなんてしてましたね」
「ああ。器用に登っていくから感心したものだ。負けず嫌いな私もすぐに覚えて、二人して高い木に登るものだからエレナの母君がおろおろしていたな」
「お母様ったら私達が木登りを覚えた最初の頃は、パニックになったのか身体が丈夫でもないのに自分まで登って来ようとして、こちらがはらはらしましたよね」
「あれにはまいったな。さすがエレナの母君だけはある」
「ふふ。でも、とっても楽しかったです」
「ああ。私もだ。エレナとエレナの母君の笑顔が、あの頃の私にはとても…」
「…お兄様?」
「いや…ありがとう、エレナ。エレナがいたから、私はここまで頑張れた」
「それは私の方です!お兄様との思い出のおかげで、私は別邸でもなんとか生きることが出来たのです。お兄様のおかげで、私はここまで頑張れたのです!」
「そうか。俺の存在がエレナの助けになったなら嬉しい。大好きだ、エレナ」
「私もお兄様が大好きです!」
何故かこの後近くに控えていたナタリーが涙を流し、焦ってそちらを振り返ればお兄様の護衛の騎士達も涙目でさらに焦りました。が、お兄様はあれは悲しい涙じゃないから放っておけと言うのでそっとしておくことにしました。
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