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覚悟を決めます

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「私が岩瀬家の長女であることとか、君尋さんと婚約していることとか、会社の皆様に伝えてもいいと思いますか?」

「うん?伝えるも伝えないも姫乃の自由だぞ?」

「そう…ですか」

やっぱり自分で決めるべきことだよね…。君尋さんに甘え過ぎなのかな。

「なんだなんだ?どうした?何が不安だ?」

「えっと…隠しておいてあとでバレた時に顰蹙を買うのと、言う必要に迫られているわけでもないのに自分からこんな話をするのと、どちらがマシかなぁと思って…」

「あー、まあ、俺たちの立場上嫉妬やら僻みやらは日常茶飯事だからなぁ。何か理由があるわけでもなしにそんな話をしても顰蹙を買うし、かといって言わなくてもバレた時にまた顰蹙を買うんだよなぁ…」

「ですよね…」

「…でも、姫乃は今の仕事が好きなんだろ?」

「?はい、とても」

「それって、先輩や上司に恵まれているからこそだよな?」

「…はい、そうです」

「ならいっそ、言ってしまってもいいんじゃないか?」

「…そうですか?」

「だって、少なくとも姫乃にとっては悪いやつらじゃないんだろう?信用してやってもいいと思うがな」

「…信用」

そうだ。私、職場の皆様にとても良くしてもらっていたのに、なんでこんなに警戒しているんだろう。皆、とっても良い方ばかりで、今まで会った人達とは全然違うのに。

「そう…ですよね。よし、決めました」

「お、どうするんだ?」

「覚悟を決めます。皆様に打ち明けます。あとで後悔する前に」

「そうか。姫乃は強いな」

「君尋さんのおかげです。勇気を出せずにグズグズしていた私の背中を押してくれて、ありがとうございました」

「いやいや。まだそれで状況がどっちに転ぶかもわからないんだ。お礼は後にとっておいてくれ」

「ふふ、はい」

「…まあでも、姫乃なら大丈夫だと思うがな」

「え?」

「君はとても魅力的だから。少なくとも俺なら妬みや僻みより君への気持ちの方が勝るな」

「君尋さん…本当にありがとうございます」

「いやいや。なにも。とりあえず、今日はもう寝よう。そんな覚悟を決めて、一人で寝るのは心細いだろう?俺と一緒に寝ると良い」

「え?そんな、今日もいいんですか?」

「ああ。その分今度の休み、お礼に俺に付き合ってくれ」

「もちろんです…!ありがとうございます、君尋さん」

「ん、どういたしまして」

ということで私と君尋さんは、今日も君尋さんのお部屋で、えっちはせずに、仲良く君尋さんの腕枕で眠りました。おかげで熟睡できました。
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