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彼女は旦那様を取られてヤキモチを妬く

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「お久しぶりです、ボーモン殿!テレーズも久しぶり!」

「お兄様、お久しぶりです!」

会って早々テレーズに向かって腕を広げるフロラン。テレーズはその腕の中に飛び込んだ。

「元気にしていたかい?兄上たちからボーモン殿に大切にされているようだと聞いていたけれど、お兄様はテレーズが心配だよ。使用人たちとは上手くいっている?何か不自由はないかな?テレーズは少しお転婆さんだから、誤解されたりしていない?」

早口でまくし立てるフロランに、テレーズはお兄様は相変わらずだと微笑んだ。

「もう。大丈夫ですよ、お兄様!ボーモン様から十分すぎるほど幸せにしていただけています!職員さん……じゃなくて、使用人たちも優しくしてくれていますよ」

「そっか。テレーズが早速スタンピードで能力を使ったと聞いた時は青ざめてしまったけど、大切にされているのなら良かった」

「今は公爵邸にいる時のように、毎日少しずつ魔封じの網を編んでいるので次のスタンピードには間に合いそうです。もう無茶はせずに済むよう気をつけますね」

「それなら安心だ」

テレーズとフロランの様子を見て、ボーモンも微笑んだ。そんなボーモンにフロランは話しかける。

「改めてお久しぶりです、ボーモン殿。妹がお世話になっています」

「こちらこそお久しぶりです、フロラン殿。テレーズからよく可愛がってもらったと聞いていますよ」

「あはは。これはお恥ずかしい。テレーズは末っ子でしかも妹なので、つい構ってしまいます」

「無邪気でお転婆さんですから余計にですよね」

「そうなんですよ!わかってくださいますか?」

テレーズはボーモンとフロランがすっかりと仲良くなったのに驚いた。元々人当たりの良い兄だが、ボーモンに対してはなんとなくよそよそしかった気がするのだが。

「以前はテレーズを取られてしまうと面白くなかったですが、こうして幸せそうにしているテレーズを見ると嫁に出して正解だったと思いました。テレーズを幸せにしてくださって、本当に感謝しかありません」

「フロランお兄様……」

兄の優しさに感謝するテレーズ。ボーモンもそんなフロランにさらに好感を持つ。

「こちらこそ、テレーズをこんなに大切に思っていただけてとても有り難い。テレーズには何不自由ない暮らしをと思ってはいますが、もしもの時はテレーズをお願いします」

「もちろんです。天災や魔獣のスタンピードばかりは人の手には余りますから。ボーモン殿も何かあればウチを頼ってくださいね」

「これはありがとうございます。是非ともお願いしたい」

こうして仲を深めた二人。テレーズはこの後、ボーモンがフロランばかりを構うのでヤキモチを妬いて頬を膨らませた。それを見たボーモンとフロランから逆に困るほどに構われることとなる。
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