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彼女は着物を献上する

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テレーズはさっそく女王陛下に会う約束を取り付けて、着物を献上しに行った。

「テレーズ、よく来ましたね」

「女王陛下!お会いできて嬉しいです!」

「私も嬉しいですよ。今日はどうしても献上したいものがあるとか」

「はい、こちらです!」

テレーズは使用人達にお願いして、ずらりと女王陛下に献上する分の着物を並べた。

「こちら、着物という名前の新しい衣服です!是非着てみてください!着付け役も呼んであります!マルカさん!」

「は、はいぃ!」

マルカは女王陛下との謁見が決まったこの日までに、テレーズで散々練習して着物の着付けを身につけた。その本領発揮である。

「まあまあ。テレーズからの献上品とあれば、着ないわけにはいきませんね」

女王陛下も言葉の割にはノリノリで着てみる。そして鏡に映る自分を見て、思わず声をあげた。

「まあ……!」

「女王陛下、とってもお似合いです!」

女王陛下はこれに感動していくつか他にも着物を試着するが、どれも美しい。女王陛下は着物を気に入ったようだ。

「デザイナーが誰だかわかりますか?これは、お抱えのデザイナーにしなければいけません」

「高藤凛さんです」

「タカトウ・リンですか」

「高藤が家名で、名前が凛さんです」

「リン・タカトウ。なるほど、調べてみましょう。ありがとう、テレーズ。素晴らしい献上品です。夫の分も作らせなければいけませんね。きっと似合います」

女王陛下はすっかりとご満悦である。

「あの、女王陛下に献上して、私の分も確保して、あとマドロン様にも差し上げたいと思ってまして」

「良いですよ。大切なお友達ですものね」

「ありがとうございます、女王陛下!」

こうして女王陛下との謁見は無事終了。次はマドロンを屋敷に招いた。

「テレーズ様!お招きありがとうございます!」

「マドロン様こそ来てくださってありがとうございます!着物という新しい衣服がありまして、今日はそれを着てみていただきたいんです」

「着物、ですか?わかりました!」

マドロンはテレーズに勧められるがまま、着物に袖を通してみた。鏡に映る自分の姿に、感動した様子のマドロンは声も出ない。テレーズはそんなマドロンにさらに衝撃を与えた。

「こちらに用意した分は全部マドロン様とお姉様方へのお土産です!是非受け取ってください!」

「え?ええええええ!?」

ということで、マドロンの帰りの馬車は物凄い重量になったがなんとか家路に着いた。マドロンは使用人達に協力してもらい屋敷に着物を運び、自分のお気に入りは確保しておきつつ姉に他の着物をプレゼントする。姉達はその着物を買い占めたというテレーズのセンスの良さを褒め称え、テレーズにお礼の品を後日送っていた。
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