42 / 104
彼女は旦那様のお友達とお話する
しおりを挟む
「えっ。えっと……」
「ええ」
「とりあえず……睨んじゃってごめんなさい……?」
そんなテレーズの様子に、もう耐えられないとアダラールは爆笑した。
「あはははははは!……あー、おかしい。ちょっとボーモン、こんなに可愛いお嫁さんが出来たならもっと早く紹介してよー!テレーズちゃん可愛い!」
アダラールは当たり前のようにテレーズに抱きつこうとして、ボーモンに首根っこ掴まれて止まる。
「人の妻に抱きつこうとするんじゃない」
「ふふっ!信じらんない!あの!あの女嫌いのボーモンが!うふふ!良いもの見られたわ!テレーズちゃん、先程の非礼は許してあげる!感謝してね!」
「は、はい!ありがとうございます!あ、私テレーズ・バスチアンです、よろしくお願いします!」
「よっろしくー!あー、本当に可愛い!剥製にして持って帰りたいくらい良い顔立ちよね!……ボーモンやめて、首しめないで、ちょっとした冗談じゃない!」
ボーモンは容赦なくアダラールの首をさらにきつくする。
「お前の冗談は不快だ」
「ごめんなさいー!テレーズちゃんとまだお話してないのー!テレーズちゃんとお話したら死ぬからそれまで待ってー!」
「いや死んじゃダメですよ!?ボーモン様もそろそろ許して差し上げてください!」
「……命拾いしたな」
「いや本当に貴方キャラ変わりすぎ……愛妻家なのね……」
愛妻家と言われて目が点になるテレーズとボーモン。
「あ、ありがとうございますアダラール様!」
テレーズは次第に頬が赤く染まる。もちろん本人に自覚はない。
「あ、愛妻家か。なるほど、悪くはない評判だ」
ボーモンも必死に取り繕っているが耳まで真っ赤なので意味がない。
「……ふふ。テレーズちゃん、貴女すごいのね」
「え?」
「こんなボーモンを見られたんだもの!私も何かお礼をしなくちゃ!そうねー。幸福の木を始めとする珍しい植物の詳しい生態の載った図鑑……なんてどうかしら?」
ウィンクを飛ばすアダラール。テレーズはぽろっと言った。
「あ、幸福の木は今自室で育てているので図鑑もらえるなら欲しいです!」
「……なんですって?」
アダラールの目付きが変わった。砂漠を遭難し続け、ようやくオアシスを見つけた人のような切羽詰まった、でも希望に満ちた瞳。テレーズとしては、ああ、何か事情がある人なんだなぁと漠然とした感想しか浮かばなかったが。
「ええ」
「とりあえず……睨んじゃってごめんなさい……?」
そんなテレーズの様子に、もう耐えられないとアダラールは爆笑した。
「あはははははは!……あー、おかしい。ちょっとボーモン、こんなに可愛いお嫁さんが出来たならもっと早く紹介してよー!テレーズちゃん可愛い!」
アダラールは当たり前のようにテレーズに抱きつこうとして、ボーモンに首根っこ掴まれて止まる。
「人の妻に抱きつこうとするんじゃない」
「ふふっ!信じらんない!あの!あの女嫌いのボーモンが!うふふ!良いもの見られたわ!テレーズちゃん、先程の非礼は許してあげる!感謝してね!」
「は、はい!ありがとうございます!あ、私テレーズ・バスチアンです、よろしくお願いします!」
「よっろしくー!あー、本当に可愛い!剥製にして持って帰りたいくらい良い顔立ちよね!……ボーモンやめて、首しめないで、ちょっとした冗談じゃない!」
ボーモンは容赦なくアダラールの首をさらにきつくする。
「お前の冗談は不快だ」
「ごめんなさいー!テレーズちゃんとまだお話してないのー!テレーズちゃんとお話したら死ぬからそれまで待ってー!」
「いや死んじゃダメですよ!?ボーモン様もそろそろ許して差し上げてください!」
「……命拾いしたな」
「いや本当に貴方キャラ変わりすぎ……愛妻家なのね……」
愛妻家と言われて目が点になるテレーズとボーモン。
「あ、ありがとうございますアダラール様!」
テレーズは次第に頬が赤く染まる。もちろん本人に自覚はない。
「あ、愛妻家か。なるほど、悪くはない評判だ」
ボーモンも必死に取り繕っているが耳まで真っ赤なので意味がない。
「……ふふ。テレーズちゃん、貴女すごいのね」
「え?」
「こんなボーモンを見られたんだもの!私も何かお礼をしなくちゃ!そうねー。幸福の木を始めとする珍しい植物の詳しい生態の載った図鑑……なんてどうかしら?」
ウィンクを飛ばすアダラール。テレーズはぽろっと言った。
「あ、幸福の木は今自室で育てているので図鑑もらえるなら欲しいです!」
「……なんですって?」
アダラールの目付きが変わった。砂漠を遭難し続け、ようやくオアシスを見つけた人のような切羽詰まった、でも希望に満ちた瞳。テレーズとしては、ああ、何か事情がある人なんだなぁと漠然とした感想しか浮かばなかったが。
14
お気に入りに追加
809
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】攻略を諦めたら騎士様に溺愛されました。悪役でも幸せになれますか?
うり北 うりこ
恋愛
メイリーンは、大好きな乙女ゲームに転生をした。しかも、ヒロインだ。これは、推しの王子様との恋愛も夢じゃない! そう意気込んで学園に入学してみれば、王子様は悪役令嬢のローズリンゼットに夢中。しかも、悪役令嬢はおかめのお面をつけている。
これは、巷で流行りの悪役令嬢が主人公、ヒロインが悪役展開なのでは?
命一番なので、攻略を諦めたら騎士様の溺愛が待っていた。
闇黒の悪役令嬢は溺愛される
葵川真衣
恋愛
公爵令嬢リアは十歳のときに、転生していることを知る。
今は二度目の人生だ。
十六歳の舞踏会、皇太子ジークハルトから、婚約破棄を突き付けられる。
記憶を得たリアは前世同様、世界を旅する決意をする。
前世の仲間と、冒険の日々を送ろう!
婚約破棄された後、すぐ帝都を出られるように、リアは旅の支度をし、舞踏会に向かった。
だが、その夜、前世と異なる出来事が起きて──!?
悪役令嬢、溺愛物語。
☆本編完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~
Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。
走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる