89 / 98
わあ、典型的なダメなタイプの聖女様だぁ…
しおりを挟む
今日は、教皇猊下からの依頼で中央教会の聖女さまのお話係になるために来た。
そのため、パパやアリス先生は付いてきていない。
緊張しつつ、聖女さまの待つ部屋に入室した。
「…」
「はじめまして、聖女さま」
何故かぽかんとした顔でこちらを見つめる聖女さまに声をかける。
「え、ま、待って。次期侯爵さまは?」
「あ、それ私です。父の後を継ぐ予定なんです」
「はぁ!?女のくせに!?」
女のくせにと言われてカチンときたが、言われ慣れてるといえば言われ慣れているので無理をしてニコッと笑った。
「はい、次期女侯爵ですね」
「何よそれ!?狂犬って呼ばれてるイケメンの父親そっくりって聞いたけど!?」
「…そっくりですよ?幼い頃は始祖である大賢人たるアリス先生や、父と瓜二つと言われていたくらいです。今だって父やアリス先生の女版ってレベルでそっくりですし」
「はぁ!?女版って…騙したわね!」
「騙すって…」
なるほど、どうやら彼女も典型的な面食いらしい。
それも私より厄介なタイプの性格との合わせ技。
そして地位や権力やお金のある男性が好きとみた。
で、私が侯爵家の『御令息』だと思ってウキウキしていたわけだ。
実際には『御令嬢』でがっかりして、逆ギレをかましていると。
「アンタなんてお呼びじゃないのよ!今すぐイケメンな貴公子さまと交代しなさいよ!」
わあ、物語でみたような典型的なダメなタイプの聖女様だぁ…ざまぁされるタイプだぁ…。
関わりたくないけど普段良くしてくれる教皇猊下のお願いだしなぁ…。
「とりあえず落ち着いてください。楽しくお話しませんか?」
「地位や権力やお金を元から持つような胸糞悪い女なんかと話すことなんかないわよ!」
荒んでるなぁ。
どんな生育歴でここまで自己中心的な聖女さまが生まれたんだろう。
むしろ何故この子が聖女さまに選ばれたんだろう。
謎だ。
いやでも、聖女さまに選ばれたくらいだから性根は腐ってないのかも。ちょっと荒んでるだけで。
「そう仰らずに、どうか私と仲良くなっていただけませんか?」
「嫌、絶対に嫌。アンタなんかとなんで仲良くならないといけないのよ。この嘘つき」
「嘘つきも何も、初対面なのですが」
「次期侯爵さまがお話相手になってくれるって言われたら、普通期待するでしょ!?」
「そうは仰いましても」
まあたしかに私たちの年齢なら貴公子との恋愛に夢を見る気持ちもわかるけど。
「帰って!」
「んー…」
別に私としては正直帰りたい。
美少女は好きだがここまで捻くれていてはどうしようもない。
でも教皇猊下からの依頼だしなぁ。
そのため、パパやアリス先生は付いてきていない。
緊張しつつ、聖女さまの待つ部屋に入室した。
「…」
「はじめまして、聖女さま」
何故かぽかんとした顔でこちらを見つめる聖女さまに声をかける。
「え、ま、待って。次期侯爵さまは?」
「あ、それ私です。父の後を継ぐ予定なんです」
「はぁ!?女のくせに!?」
女のくせにと言われてカチンときたが、言われ慣れてるといえば言われ慣れているので無理をしてニコッと笑った。
「はい、次期女侯爵ですね」
「何よそれ!?狂犬って呼ばれてるイケメンの父親そっくりって聞いたけど!?」
「…そっくりですよ?幼い頃は始祖である大賢人たるアリス先生や、父と瓜二つと言われていたくらいです。今だって父やアリス先生の女版ってレベルでそっくりですし」
「はぁ!?女版って…騙したわね!」
「騙すって…」
なるほど、どうやら彼女も典型的な面食いらしい。
それも私より厄介なタイプの性格との合わせ技。
そして地位や権力やお金のある男性が好きとみた。
で、私が侯爵家の『御令息』だと思ってウキウキしていたわけだ。
実際には『御令嬢』でがっかりして、逆ギレをかましていると。
「アンタなんてお呼びじゃないのよ!今すぐイケメンな貴公子さまと交代しなさいよ!」
わあ、物語でみたような典型的なダメなタイプの聖女様だぁ…ざまぁされるタイプだぁ…。
関わりたくないけど普段良くしてくれる教皇猊下のお願いだしなぁ…。
「とりあえず落ち着いてください。楽しくお話しませんか?」
「地位や権力やお金を元から持つような胸糞悪い女なんかと話すことなんかないわよ!」
荒んでるなぁ。
どんな生育歴でここまで自己中心的な聖女さまが生まれたんだろう。
むしろ何故この子が聖女さまに選ばれたんだろう。
謎だ。
いやでも、聖女さまに選ばれたくらいだから性根は腐ってないのかも。ちょっと荒んでるだけで。
「そう仰らずに、どうか私と仲良くなっていただけませんか?」
「嫌、絶対に嫌。アンタなんかとなんで仲良くならないといけないのよ。この嘘つき」
「嘘つきも何も、初対面なのですが」
「次期侯爵さまがお話相手になってくれるって言われたら、普通期待するでしょ!?」
「そうは仰いましても」
まあたしかに私たちの年齢なら貴公子との恋愛に夢を見る気持ちもわかるけど。
「帰って!」
「んー…」
別に私としては正直帰りたい。
美少女は好きだがここまで捻くれていてはどうしようもない。
でも教皇猊下からの依頼だしなぁ。
341
お気に入りに追加
2,036
あなたにおすすめの小説
神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました
下菊みこと
恋愛
突然通り魔に殺されたと思ったら望んでもないのに記憶を持ったまま転生してしまう主人公。転生したは良いが見目が怪しいと実親に捨てられて、代わりにその怪しい見た目から宗教の教徒を名乗る人たちに拾ってもらう。
そこには自分と同い年で、神の子と崇められる兄がいた。
自分ははっきりと神の子なんかじゃないと拒否したので助かったが、兄は大人たちの期待に応えようと頑張っている。
そんな兄に気を遣っていたら、いつのまにやらかなり溺愛、執着されていたお話。
小説家になろう様でも投稿しています。
勝手ながら、タイトルとあらすじなんか違うなと思ってちょっと変えました。
【書籍化進行中】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
恋愛
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
前世の記憶がうっすら残る私が転生したのは、貧乏伯爵家の長女。父親に頼まれ、公爵家の圧力と財力に負けた我が家は私を売った。
悲壮感漂う状況のようだが、契約婚は悪くない。実家の借金を返し、可愛い継子を愛でながら、旦那様は元気で留守が最高! と日常を謳歌する。旦那様に放置された妻ですが、息子や使用人と快適ライフを追求する。
逞しく生きる私に、旦那様が距離を詰めてきて? 本気の恋愛や溺愛はお断りです!!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2024/09/07……カクヨム、恋愛週間 4位
2024/09/02……小説家になろう、総合連載 2位
2024/09/02……小説家になろう、週間恋愛 2位
2024/08/28……小説家になろう、日間恋愛連載 1位
2024/08/24……アルファポリス 女性向けHOT 8位
2024/08/16……エブリスタ 恋愛ファンタジー 1位
2024/08/14……連載開始
至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます
下菊みこと
恋愛
至って普通の女子高生でありながら事故に巻き込まれ(というか自分から首を突っ込み)転生した天宮めぐ。転生した先はよく知った大好きな恋愛小説の世界。でも主人公ではなくほぼ登場しない脇役姫に転生してしまった。姉姫は優しくて朗らかで誰からも愛されて、両親である国王、王妃に愛され貴公子達からもモテモテ。一方自分は妾の子で陰鬱で誰からも愛されておらず王位継承権もあってないに等しいお姫様になる予定。こんな待遇満足できるか!羨ましさこそあれど恨みはない姉姫さまを守りつつ、目指せ隣国の王太子ルート!小説家になろう様でも「主人公気質なわけでもなく恋愛フラグもなければ死亡フラグに満ち溢れているわけでもない至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます」というタイトルで掲載しています。
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
異世界で悪役令嬢として生きる事になったけど、前世の記憶を持ったまま、自分らしく過ごして良いらしい
千晶もーこ
恋愛
あの世に行ったら、番人とうずくまる少女に出会った。少女は辛い人生を歩んできて、魂が疲弊していた。それを知った番人は私に言った。
「あの子が繰り返している人生を、あなたの人生に変えてください。」
「………はぁああああ?辛そうな人生と分かってて生きろと?それも、繰り返すかもしれないのに?」
でも、お願いされたら断れない性分の私…。
異世界で自分が悪役令嬢だと知らずに過ごす私と、それによって変わっていく周りの人達の物語。そして、その物語の後の話。
※この話は、小説家になろう様へも掲載しています
どうせ運命の番に出会う婚約者に捨てられる運命なら、最高に良い男に育ててから捨てられてやろうってお話
下菊みこと
恋愛
運命の番に出会って自分を捨てるだろう婚約者を、とびきりの良い男に育てて捨てられに行く気満々の悪役令嬢のお話。
御都合主義のハッピーエンド。
小説家になろう様でも投稿しています。
転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【だって、私はただのモブですから】
10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした――
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる