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うちの性別変換事情と弟の恋

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フレデリーク・クロード・オニクス。辺境伯家の長女。

一緒に生まれた双子のアルヴィア・エリー・オニクスという弟がいる。

けれどぼくは男の子のような名前を名付けられ男の子のように育てられ、弟は女の子のような名前を名付けられ女の子のように育てられている。

これは我がオニクス辺境伯家の独特の風習であり、双子が生まれた場合厄除けとして本来の性別と逆の扱いを受けるのだ。

双子が不吉の象徴とされた頃の名残りらしい。

「とはいえ、中身は本来の性別と変わらないしそれを責められることもないけれど」

ちなみに成人してからは本来の性別として扱われるようになる。

性別変換がネックなので、婚約者を決めるのは成人後ということになる。

まあ別にぼくも弟も反発もないし不満もないからいいけれど…外野はがっつりうるさい。

我が家の風習を知らないためか、本当は女のくせにとか男のくせにとか言ってくる連中は多い。

説明してもなおうるさいから、貴族の子女なんてろくでもないと自分を棚上げして見下していた。

「けれど、あの子だけは違った」

アニエス・ベルト・アメティスト。

冷徹な狂犬として有名なジャック・ギー・アメティストの一人娘。

どうやら実際には親戚筋の養子らしいとか色々噂はあるけれど。

とにかく、そんなアニエスちゃんのお友達になってこいとある日急に言われて送り出されてアニエスちゃんと出会った。

アニエスちゃんは今まで会ってきた誰とも違った。

『すきー!!!』

『可愛い上に属性てんこ盛りとか最高の双子だよー!!!控えめに言って好き!!!とっても大好き!!!』

『だって好きなんだもん!』

その君の言葉に、ぼくや弟がどれだけ救われたか君は知らないだろう。

知らなくていい。

ただ、そんな君に弟が惹かれるのは仕方がないことで…。

「弟の恋は、どうなるかなぁ」

あのロックくんも見ている限りアニエスちゃんに惚れているらしい。

弟を応援してあげたいが、そもそも侯爵様がアニエスちゃんの相手を決めるつもりなら仮に恋愛関係に発展しても無駄。

でもやっぱり応援してあげたいのが姉心。

「とはいえアニエスちゃんは可愛いから、他にも狙う連中は今後出てくるだろうし。アニエスちゃんが他に取られる前に振り向いてもらえたらいいけれど」

先に出会っているロックくんも手強そうだしね。

ぼくの目からみても良い子だから。

これからどうなるかなぁ。

「弟がアニエスちゃんと結ばれたら、アニエスちゃんが義妹になるから大歓迎なんだけどね」

そうなってくれたらいいのになと願う。
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