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二人でこそこそ話

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「で?アニエスにはどこまで話してるの?」

にっこり笑ってアリスティドが聞く。

「どこまでとは?」

「親のこと」

…痛いところを突いてくる男だ。

「俺が実の親じゃないのは知っている」

「へぇ、それなのにあんなに懐かれてるんだ」

「親子なんだ、当たり前だろう」

ふん、と鼻で笑う。

「ふふ、そうだねぇ。実の親は教えてないの?」

「弟だと正直に伝えてある」

「駆け落ちの話は?母が平民なのは?」

「…伝えた」

「驚いた。結構正直に話したね」

幼い子供が相手なのに、と責めるニュアンスが伝わってくる。

「…そのせいで寝込んで熱を出して、根源に接続したらしい」

「うわぁ」

ドン引きされるが、必要なことだと思って話したんだ。いずれ知ることになるし、早いうちがいいと思った。

とはいえ、そんな言い訳をする気にもならない。いっそ責められた方がマシだ。

あの頃の俺は、アニエスが自分の中で大切な存在になるのを怖がって突き放していた。

結果、アニエスをたくさん傷つけただろう。

…責められて当然だ。

「…ま、貴族として跡継ぎにきちんと現実を見せるのはアリだと思うよ?」

「それにしてはジト目で見てくるじゃないか」

「あまりにも可哀想なことをするからさ。僕も正直人のことは言えない人間だけど…ねぇ?」

アニエスを気に入ったらしいアリスティドは、俺の行動を苦々しく思うらしい。

「…まあ、今は大切にしているようだしいいけど」

そう言って深いため息を吐くアリスティドは、次の瞬間俺の頭を撫でた。

「は?なんのつもりだ?」

「君もよく頑張ってるよ。偉い偉い」

「は???」

なんだこいつ。

「…アニエスがそばにいてよかったね」

「それはそうだが、どういう意味だ」

「前見た時より顔色が良くなった」

…ああ、あの時は弱っているところを見られたからな。

おかげで助けられもしたが。

「…そうだな」

「ま、僕もアニエスもいるんだから気負わずにね」

「わかってる」

まったく、世話焼きなジジイだ。
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