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ブルローネとフローリア
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私はブルローネ・レゴラメント。…本名は、ブルローネ・ティターニア。パラディーゾ学園の若き新任の教師にして、妖精の住む第三世界のティターニア国の第三王子。
失われた亡国、ティターニア。ある日突然姿を消した、妖精の国。ティターニアが第三世界に移ったのは、人間が妖精の鱗粉を求めて乱獲を犯したため。でも、私達ティターニアの民は決して人間を見捨たりはしない。過去には手を取り合って生きてきた種族なのだから。だから、人間がもう二度と同じ間違いを犯さないように、鱗粉を定期的に提供したり、ちょっとだけ天候を操ることで人間に手を貸したりしている。人間は昔自らが犯した過ちを認め、反省し、ティターニアからの使者を丁重に扱うようになった。しかし、見かけだけ丁重に扱って、裏で他の魔族を乱獲されては堪らない。私達にとっては他の魔族も仲間なのだから。そこでティターニアは、使者をこっそりと送り出し、誰にもわからないように人間達を見張らせるようになった。今年から三年間…ちょうど生徒達が卒業するまでの間、私はティターニアからの使者として人間達に手を貸す。その後はおそらくティターニア国の貴族の令息達が使者として送られるのだろう。
私は新任の教師だというのに…いや、だからこそか?生徒会執行部の連中の世話も任されている。が、その連中がまた面白い。特に、ジェンティーレ・プリンチペッサ・アポカリッセ王女殿下。彼女は特別だ。なんせ、いつの間にやら私の正体に気がついていたのだから!
他の連中にも結局はばれたが、まあみんな秘密にしてくれるようなので問題ない。あいにく、夏休みに入ってしまったので連中とは離れ離れだが、『合宿』という名の口実を使って会う約束もしている。
「だからな!お前にもあいつらを紹介したいんだよ、フローリア!」
「でも、勝手に第二世界に行っていいのかしら?」
「私が両親から外界許可もぎ取ってきたから大丈夫だぜ!」
「相変わらず行動力がありますわね、貴方…」
こいつはフローリア・ディヴィナツィオーネ。俺の片思いの相手。ティターニアの男爵令嬢。片思いとは言ったが、多分本当は両思い。身分の差故に結ばれることは難しいけれど、俺はフローリアを諦めきれずにティターニアの第三王子でありながら未だ婚約者を決めていない。ようはフローリアと結婚すると両親に駄々を捏ねている。両親も最近は諦めムードで、もしかしたら結婚出来るかもしれないところまで来た。やったぜ。
「わかりましたわ。なら、貴方の『婚約者』として紹介して下さるなら合宿への招待をお受け致しますわ」
「…!フローリア!」
思わず彼女を抱きしめる。
「おーけーおーけー!絶対に両親から婚約をもぎ取ってきてやるぜ!」
「では、時間もあまりないのでしょう?王宮に戻りなさいな」
フローリアに背を押されて追い出される。フローリアが遂に私への想いを認めてくれたんだ!これに応えられなきゃ男じゃないからな!頑張るぜ!
失われた亡国、ティターニア。ある日突然姿を消した、妖精の国。ティターニアが第三世界に移ったのは、人間が妖精の鱗粉を求めて乱獲を犯したため。でも、私達ティターニアの民は決して人間を見捨たりはしない。過去には手を取り合って生きてきた種族なのだから。だから、人間がもう二度と同じ間違いを犯さないように、鱗粉を定期的に提供したり、ちょっとだけ天候を操ることで人間に手を貸したりしている。人間は昔自らが犯した過ちを認め、反省し、ティターニアからの使者を丁重に扱うようになった。しかし、見かけだけ丁重に扱って、裏で他の魔族を乱獲されては堪らない。私達にとっては他の魔族も仲間なのだから。そこでティターニアは、使者をこっそりと送り出し、誰にもわからないように人間達を見張らせるようになった。今年から三年間…ちょうど生徒達が卒業するまでの間、私はティターニアからの使者として人間達に手を貸す。その後はおそらくティターニア国の貴族の令息達が使者として送られるのだろう。
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こいつはフローリア・ディヴィナツィオーネ。俺の片思いの相手。ティターニアの男爵令嬢。片思いとは言ったが、多分本当は両思い。身分の差故に結ばれることは難しいけれど、俺はフローリアを諦めきれずにティターニアの第三王子でありながら未だ婚約者を決めていない。ようはフローリアと結婚すると両親に駄々を捏ねている。両親も最近は諦めムードで、もしかしたら結婚出来るかもしれないところまで来た。やったぜ。
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「では、時間もあまりないのでしょう?王宮に戻りなさいな」
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