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逃がした魚は大きいだろう、ざまぁみろ

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シュシュとともに謁見の間でパラディースの国王に会う。シュシュは緊張しているようだが、あんな男のために不安になる必要などない。シュシュの手を握ってやる。シュシュはふんわりと笑ってくれた。可愛い。そうしていると、パラディースの国王が入ってきた。

「ご機嫌麗しゅう、皇帝陛下。メランコーリッシュ、久しいな」

「国王陛下においてはご機嫌麗しゅう」

「お、お久しぶりです、お父様」

シュシュは緊張しつつもパラディースの国王に向けて微笑んだ。そんな顔、あんな男に向けてやる必要はないのに。

「しばらく見ないうちにすっかり美しくなったな」

それはそうだ。極度の栄養失調から抜け出して、身体に肉もついた。今のシュシュはお前の元でないがしろにされていた頃と比べて魅力増し増しなのだ。もちろん、初めて会った時から愛おしかったのだが、やはり俺の元で今の健康体になってからの方がシュシュの魅力は花開いただろう。お前がもっと丁重にシュシュを扱っていたら、きっと引く手数多だったろうになぁ?悔しいだろう、国王。

「ありがとうございます、お父様にそう言っていただけて嬉しいです」

初めて父親と話すことが出来て嬉しそうなシュシュ。可愛らしいが、シュシュは優しすぎる。もっと恨み言を言ってもいいのに、純粋に父親を慕っている。

「メランコーリッシュ。皇帝陛下には大切にしていただいているか?」

「はい。とっても良くしていただいています。お父様は王妃様と仲良しですか?」

「うむ。王妃もお前に会いたがっている。お前さえ良ければ、会いに来るといいだろう。それとも、私が王妃をこちらに連れてくるか?」

「本当ですか?嬉しいです!ぜひお会いしたいです!」

「そうか。あいわかった。王妃に伝えておこう」

「お父様、お兄様やお姉様達はどうですか?お元気でしょうか?」

「ああ。メランコーリッシュのことをとても気にしていたぞ。今日も父上ばかりメランコーリッシュに会いに行けて狡いと喚いておったわ」

「まあ!嬉しいです。私もお兄様やお姉様達にお会いしたいです」

…嘘ばかり並べ立てて。あの王妃や腹違いの兄弟達がシュシュを邪険に思っているのは知っている。亜人族である俺を舐めているのも、その俺に嫁いだシュシュを嘲笑っているのもな。だが、純粋に信じているシュシュにそれを伝えるのも酷だろう。俺は口は挟まない。

「メランコーリッシュが皇帝陛下の元に行ってしまってから、お前の大切さが良くわかった。いつでも戻ってきていいんだからな」

「ふふ。お父様ったら」

…それはつまり、いつでもシュシュを自国に戻せるぞと俺を脅しているつもりか?ふざけるなよ。
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