上 下
16 / 55

俺の運命の番が可愛すぎて困る

しおりを挟む
今日はシュシュがロロと一緒に刺繍をしていたところにナートが突撃したらしい。それを聞いて俺は真っ先にまたロロとナートが喧嘩しているのか…と思ったが、どうやら先日の喧嘩の仲直りをしたらしい。ロロにしては珍しく素直だなと感心していたが、どうやらシュシュが仲を取り持ってくれたらしい。ロロはシュシュが大好きだから、言うことを聞きやすかったんだろう。それに、なんだかんだでロロとナートは運命の番だしな。

「シュシュ」

「はい、ニタ」

「今日はせっかく刺繍を頑張っていたのに、ロロとナートが邪魔をして悪かったな」

「いえいえそんな…邪魔なんかじゃないですよ!賑やかで楽しかったです」

「そうか、それならよかった。二人の仲を取り持ってくれて助かった。あの二人の喧嘩が拗れると、途端にナートが使い物にならなくなって政務に差し障りが出るからな。ありがとう」

「そうなのですね。お役に立ててなによりです。ラットフィナート様は本当にプーロ様のことが大好きなのですね」

「ああ、運命の番だしな」

そこまで言ってふと思い立ち、俺はシュシュの髪を一房とってキスを落とす。

「!?えっ、ニタ!?」

「俺も、ナートのロロへの想いに負けないくらい、いや、それ以上に、シュシュを愛してる」

「えっえっ…は、はい」

顔を真っ赤にするシュシュ。初心な反応が可愛い。

「この俺がこんなにシュシュを愛してるんだ。シュシュも、早く俺を愛してくれ」

「あ、は、はい、頑張ります…」

さらに顔を赤くして縮こまるシュシュ。

「大好きだぞ、シュシュ」

「わ、私…」

「うん」

「私、正直恋愛感情がどういったものかはわからないのですが…」

「うん」

「ニタと一緒にいると、安心します。ニタに連れ出してもらって、ここに来てよかったです」

「そうか」

「はい、な、なので…その…」

「ああ」

「愛してるとか、大好きだとかは、言えませんが…信頼、しています、ニタ」

…自分で、顔が真っ赤になるのがわかる。やばい、最上の言葉をいただいてしまった。嬉しい。

「…ニタ?」

「あ、いや…そう言ってもらえて、嬉しい。ありがとう、シュシュ」

思わず手で顔を覆い、顔をシュシュから背けてしまったが、なんとか返事を返す。それからシュシュをちらりと伺うと、シュシュはこれ以上ないほどの満面の笑みを浮かべて、はい、と一言だけ返してくれた。…天使。

「あ、そうだ。ハンカチの刺繍、終わりましたので受け取ってください」

「ありがとう、大事に使う」

「はい!」

俺の運命の番が、可愛すぎて困るんだが。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

待ち遠しかった卒業パーティー

しゃーりん
恋愛
侯爵令嬢アンネットは、暴力を振るう父、母亡き後に父の後妻になった継母からの虐め、嘘をついてアンネットの婚約者である第四王子シューベルを誘惑した異母姉を卒業パーティーを利用して断罪する予定だった。 しかし、その前にアンネットはシューベルから婚約破棄を言い渡された。 それによってシューベルも一緒にパーティーで断罪されるというお話です。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

私をもう愛していないなら。

水垣するめ
恋愛
 その衝撃的な場面を見たのは、何気ない日の夕方だった。  空は赤く染まって、街の建物を照らしていた。  私は実家の伯爵家からの呼び出しを受けて、その帰路についている時だった。  街中を、私の夫であるアイクが歩いていた。  見知った女性と一緒に。  私の友人である、男爵家ジェーン・バーカーと。 「え?」  思わず私は声をあげた。  なぜ二人が一緒に歩いているのだろう。  二人に接点は無いはずだ。  会ったのだって、私がジェーンをお茶会で家に呼んだ時に、一度顔を合わせただけだ。  それが、何故?  ジェーンと歩くアイクは、どこかいつもよりも楽しげな表情を浮かべてながら、ジェーンと言葉を交わしていた。  結婚してから一年経って、次第に見なくなった顔だ。  私の胸の内に不安が湧いてくる。 (駄目よ。簡単に夫を疑うなんて。きっと二人はいつの間にか友人になっただけ──)  その瞬間。  二人は手を繋いで。  キスをした。 「──」  言葉にならない声が漏れた。  胸の中の不安は確かな形となって、目の前に現れた。  ──アイクは浮気していた。

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!

ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、 1年以内に妊娠そして出産。 跡継ぎを産んで女主人以上の 役割を果たしていたし、 円満だと思っていた。 夫の本音を聞くまでは。 そして息子が他人に思えた。 いてもいなくてもいい存在?萎んだ花? 分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。 * 作り話です * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

国王陛下は婚約破棄された令嬢に愛をささやく

ヒンメル
恋愛
公爵家嫡男と婚約中の公爵令嬢オフィーリア・ノーリッシュ。学園の卒業パーティーで婚約破棄を言い渡される。そこに助け舟が現れ……。   初投稿なので、おかしい所があったら、(打たれ弱いので)優しく教えてください。よろしくお願いします。 ※本編はR15ではありません。番外編の中でR15になるものに★を付けています。  番外編でBLっぽい表現があるものにはタイトルに表示していますので、苦手な方は回避してください。  BL色の強い番外編はこれとは別に独立させています。  「婚約破棄したら隊長(♂)に愛をささやかれました」  (https://www.alphapolis.co.jp/novel/221439569/974304595) ※表現や内容を修正中です。予告なく、若干内容が変わっていくことがあります。(大筋は変わっていません。) ※完結済にした後も読んでいただいてありがとうございます。  完結後もお気に入り登録をして頂けて嬉しいです。(増える度に小躍りしてしまいます←小物感出てますが……) ※小説家になろう様でも公開中です。

処理中です...