17 / 27
ためらいのパヴァーヌ
2
しおりを挟む「さ、さくりに聞いたんですけど。彼の気持ちが分かったって本当ですか?」
杏奈の中にあった響生のイメージが、怪しい質屋のオタク店長から、怪しい質屋の信用できるイケメン店長へ昇格されたらしい。
それを察したのか、響生は微苦笑を浮かべ、オルゴールの蓋を開けた。
内蓋も開け、中に収まっているオルゴールを杏奈に見せる。
「回しすぎたせいだと思いますが、ネジが折れていました。そこを修復して、あとは汚れも多くついていたので洗浄を。曲名は仰っていたとおり《亡き王女のためのパヴァーヌ》です。三十弁のものとは、また素晴らしい」
「三十弁って凄いの?」
さくりの質問に、響生は頷く。
「一般的に雑貨屋などで売っているタイプは十八弁。弁というのは振動板の歯の数で、単純に言えば“音の数”だよ。
ほら見て、この櫛みたいなやつが弁。多くなればなるほど音楽が豊かになる。三十弁は十八の約倍だから、音だけじゃなく演奏時間も倍だ」
「へぇ。そうなのか」
「当然、値段も高価になる。オークションに出品したら、マニアからきっといい値がつくよ」
「えっ、見つけた先輩の彼氏すごいじゃないですか!」
「う、うん……」
杏奈は戸惑っていたが、どこか嬉しそうで。さくりもホッとする。でも、そうなってくると、いよいよ気になるのは彼氏の心。
骨董品だから壊れていた可能性はある。しかし、壊れた品をわざわざ買うか? その場で音を確かめるとかしなかったのか?
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
だって俺は猫だから
山田あとり
ライト文芸
俺、猫のコタロウ。
人間の女のマナと暮らしてる。
マナは俺といるとフニャフニャなんだけど、仕事に行く時は頑張ってるんだ。なのに俺は何もしてやれない。
ま、してやる気もないけどさ。
だって、マナは俺のしもべだろ?
せいぜい働いて、俺にカリカリと猫缶を貢ぐのだ!
ところが、どうもマナの職場で何やらあったみたいなんだよな……。
仕方がないから話を聞くぐらいはサービスしよう。それ以上は知らん。
――だって、俺は猫だからな。
全10話、1万字ほどです。
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【完結】復讐は計画的に~不貞の子を身籠った彼女と殿下の子を身籠った私
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
公爵令嬢であるミリアは、スイッチ国王太子であるウィリアムズ殿下と婚約していた。
10年に及ぶ王太子妃教育も終え、学園卒業と同時に結婚予定であったが、卒業パーティーで婚約破棄を言い渡されてしまう。
婚約者の彼の隣にいたのは、同じ公爵令嬢であるマーガレット様。
その場で、マーガレット様との婚約と、マーガレット様が懐妊したことが公表される。
それだけでも驚くミリアだったが、追い討ちをかけるように不貞の疑いまでかけられてしまいーーーー?
【作者よりみなさまへ】
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
思い出を売った女
志波 連
ライト文芸
結婚して三年、あれほど愛していると言っていた夫の浮気を知った裕子。
それでもいつかは戻って来ることを信じて耐えることを決意するも、浮気相手からの執拗な嫌がらせに心が折れてしまい、離婚届を置いて姿を消した。
浮気を後悔した孝志は裕子を探すが、痕跡さえ見つけられない。
浮気相手が妊娠し、子供のために再婚したが上手くいくはずもなかった。
全てに疲弊した孝志は故郷に戻る。
ある日、子供を連れて出掛けた海辺の公園でかつての妻に再会する。
あの頃のように明るい笑顔を浮かべる裕子に、孝志は二度目の一目惚れをした。
R15は保険です
他サイトでも公開しています
表紙は写真ACより引用しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる