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ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。

第96話 正妻戦争終結…?

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前回のダイケンジャ!

おっさんが仲間になった。
クソイケメンの少年が仲間になった。
敵には逃げられた。
性奴隷が一人増えた。

以上。回想終わり。

……。どうしてこうなった……。

流石に全裸の上に俺のジャケットだけってのは、俺にとっても色々と破壊力が高過ぎたので服を用意しようと言い出したのがきっかけだった。

俺が彼女に服を用意しようと言ったら、皇女殿下が一言。

「体系的に私の母の服がとても合いそうですね。
母の普段着の中からお好きなものを1つ持って行ってくださいませ♪」

などと言い出した。恐れ多い話である。

なので俺はその提案をやんわりと断り、彼女を城に置いて服だけ買いに行こうとしたのだが…。

「自分の奴隷を他人に押し付けながら、正妻候補と二人でデートですか…。そうですか…。私は悲しいです…。」

と言われ…。

「ご主人様…。たしかにお姉さんの言う通りだ。
オレもお姉さんの立場だったら同じことを思うかもしれない…。とりあえず外に連れ出すための服だけでも用意すべきなんじゃないか?」

と言われた為に今に至る。

そう、今俺の目の前では…。
ドール屋さんのお姉さん&女性メンバーだけのファッションショーが繰り広げられていた。

「なぁ…。俺この場に居る必要あったかな…?
目の前で生着替えってのは色々と…ねぇ…?」
「良いじゃないか良いじゃないか♪君の可愛い新しい奴隷なんだからさ。プフッ…!」
「今笑ったろ!?楽しんでるな!?さては魔女さんあなたこの状況を楽しんでるな!?ちくしょう!元はと言えば貴方のミスなのに!!」
「いやぁ、あれはミスじゃないよー事故だよー。」

まさか、心の声で動きは読めていたがあえて事故に乗ったのではあるまいなこの女…。

あ、目を逸らした。さては確信犯だなオメー。

「魔女さんとしては良いのか?ライバル増やしちゃって…。争奪されてる側が言うのも変だけど。」
「んー、まぁ諦めきってるわけじゃないけど少なくとも、こう言う状況にした方が彼女も人生に悲観せず済むようにはなったと思わないかい?」
「…。強引すぎるだろ…。」
「まぁねぇ~♪」

元々、お人形さんのように綺麗で整った顔立ちのドール屋さん。
そして、皇女殿下のお母様、即ち女王様が城下にお出かけする際に着ていたそれはもうロイヤルでセレブリティな私服。

これを着こなせるのはそれはそれは…と思っていたがなかなかどうして美しい。

可愛さにベクトル全振りが盗賊ちゃんなら、ドール屋さんは美しさにベクトルを全振りした感じだ。

まつ毛も髪もほんと綺麗な金髪だよな…。

肌も真っ白だし。

「まるでお母様が帰ってきたような美しさです…。
よくお似合いですね。」
「そんな…。恐れ多いです…。前皇女様みたいだなどと…それはあまりにも勿体無いお言葉です。」

と言って、今度はドール屋さんが普段着ていたような、白色のワンピースにお召し替えされている。
白色がほんとよく似合う…。

女王様スタイルなボンテージ状態だったスパイダーモードは実にエロかったが、やはりドール屋さんは白がいちばんだな!
もしくは薄い水色だ!うむ!

「なぁなぁ、ご主人様。正直に言って良いか?」
「お、おう…。なんだ…?」
「ドール屋のおねぇさんって…心も含めて一番美しいと思うのは俺だけか…?」
「あながち間違いじゃないかも知れんな…。
あと…、一応聞くがもう怒ったり悲しんだりしてないのか…?」
「んーまぁ…。悔しいのはまだ悔しいけど…。
俺はご主人様にとっての可愛い癒し役担当って事で割り切ることにした。
あとおっさん殴ったらスッキリしたしな♪ありがとなおっさん!」

ちなみにとうのおっさんは妹ちゃんに治癒魔法の施術を受けていた。

「おう…。良いってことよ…。あとおっさんはやめなさい。オジさんと呼びなさい。」

お前は大阪に居るおっさんと呼ぶとキレる関西人か…。
まぁノリがいいおっさんで助かる。

「それにしてもお兄さん。これだけさまざまなバリエーションの美女と美少女に囲まれてるのに、なんでまだ誰にも手を出していないんですか?」
「君は君でまた何を聞いてきてるのかね。」

クロが俺にそんな爆弾発言をそいやと投げてくる。

「なんでも何も…、こう戦い続きなのもあったし…、そもそも俺がいつまた知らないうちに元の世界へ強制帰還されるかもわからない中、これ以上先に進んで良いものかってな…。」
「あぁ?お前さん、そんな事で悩んで、これだけお前に惚れてる女目の前にして、誰一人として種付してねぇってのか!?」
「おっさん言い方。」

おっさんを軽くどつく。

「いっでぇ!おいまだ治癒終わってないんだからツッコミはやさしくしろよ!」
「やかましいわ。まぁ、ひとまず仕方ないだろ。
ほかにも色々と思いとどまる理由もあるけど…。
一番は自分がまた突然消えた時に、残されることになるみんなの事考えると…さ。」
「まるで一回消えたことあるかのような言い方だな?」
「あるんだよ。1回目は重度の魔力欠乏症によりこの世界に留まれなくなって気がついたら元の世界の自分の部屋に…。
その時は俺もみんなに関する記憶を失ってて、他のみんなも同じく失っていってしまっていた。
今はこの世界の沢山の人に認知されてるし、そのリスクは減ってきてるけど、これも仮説の域を出ていない。
認知されていても以前の異世界人が消えたように、俺も消えないと言う保証はない…。」

バットオジさんはうーんと唸って考え出す。
そして、俺の目を見ながら諭すように語り出す。

「そうだな…。これはなオジさんの昔話なんだけどよ。まぁ、参考までに聞いておいてくれ。
オジさんもな。若い頃は同じような考えだった。
冒険者なんてのはいつ死ぬかもわからねぇ。
冒険者通しならまだしも、酒屋の町娘のお前が惚れちゃいけねぇよなんてよく言ってきたもんだ。
それでも、その町娘は何度断ろうが俺と結婚してぇなんて言ってきやがる…。
まぁ俺も満更じゃなかったんだ。良い女だったしな。
今思えば、俺はバカだったなって思うぜ。
あんなべっぴんさんにそう簡単に告られるなんざ、人生で早々ある事でもねぇのによ…。」
「その町娘はどうなったんだ…?」
「今でも忘れねぇよ。ずっと後悔してる。
その町娘に見送られていつも通りダンジョンに出かけたんだ。
バカなことによ…。俺は普段肌身離さず持ってた自慢の剣を、酒屋に置いて来ちまってたんだ。
それを事もあろうに、その町娘は俺を追いかけて…ダンジョンの中に入って来たんだ…!」

おっさんが拳を強く握りながら、悔しそうに続きを語ろうとする。

「ダンジョンへの挑戦が完全なライセンス制に変わったきっかけになったあの事件か…。
そうか…、君が当事者だったんだね…。」

魔女さんも切ない顔でその話を聞いている。

「あぁ、その通りだ。俺も武器がないことに気付いて引き返して行ってな。お互いに運が悪かったんだろうかな…。すれ違っちまったみてぇでよ…。
俺が剣を取りに、ゆったりと酒屋に行ったらお前さんを追って飛び出していったなんて聞かされて…。
なんで誰も止めなかったって怒鳴って、俺も急いでダンジョンへ戻って…。
隈なく探した挙句見つけた時にゃ…。
まぁ…あまり思い出したくねぇから…察してくれ。
とりあえずだ。俺が言いてぇことはひとつだ。
お互いに後悔しない選択をちゃんとしろってことだ。
余計なことは考えねぇ方が良い時もあるんだよ。
お前が惚れてんならそれで良いじゃねぇか。娶ってやってもよ。
惚れられてんなら、その気持ちに答えるなりスッパリ諦めさせるなりすべきだ。
どっちつかずってのは一番よくねぇぞ?
まぁ…ひとまず、そんなことがあってから俺は恋愛っつーのにはもう手を出さねぇことにした。
二度とこんな気持ちを味わいたかぁねぇしな。」

おっさんは一通り語り終えると、胸のロケットを見る。

「女々しいもんだろ?今も忘れねぇようにって、こん中に小さい肖像画入れて持ち歩いてんだよ。
ほんと…、良い女だった…。」

切ない顔で肖像画のロケットを見るおっさん。
その顔はとても物悲しい顔をしていた。

「え…。お母さんの…肖像画…?」

ドール屋さんのお姉さんの一言に場がビシッと固まる。

「気持ち悪い…。」

さらにその一言におっさんがビシッと固まる…。

「…………。ごめん、一応オチを聞いておいて良いかな…?今の話の流れって、ダンジョン奥で死んでた的な感じの語り方だったよな……?」
「……。寝取られたんだよ…。要するに…。」
「寝とるも何も…。愛想を尽かされたんじゃないですか…。お母さん、よく語ってましたよ…。貴方だったんですね…。」

本当にそれはもう汚物にでも触れるような、軽蔑の眼差しを込めた酷い顔でおっさんを見るドール屋さん。

「母の名誉の為にも、真実を語っておきますね…。
ダンジョン内にこちらのクズの剣を持って、護衛も付けず入っていったのは真実です。
当然ながら戦い方も知らない一人の女がダンジョン内に入ろうものならメスに飢えたモンスターは当然襲い掛かってきます。
ですがそこにまぁ、私の父が通りかかりあっさりとモンスターたちの群れを蹴散らしたんです。
一方、そこのクズはお母さんを囲うように現れた沢山のモンスターを恐れて逃げ出しました。
それを機に愛想を尽かされて、私の母はこんなクズではなく今の父親を選び、私が生まれました。
そういう事です。あとクズ。気持ち悪いんでそのロケット捨ててくださいクズ。」

もうやめてあげて!!クズ、じゃなかった、おっさんのメンタルはもう限界よ!!

「なんだ…。ただのクズか…。ご主人様…、こんなクズになっちゃダメだぞ?」
「涙流しながら聞いてて損しましたよ…。いやぁ…偉そうに語ってた割にはクズですね…。僕も軽蔑しますよ…。」
「要するに、他の男に取られる前にちゃんとやることやっとけって話?うわぁ…マジモンのクズじゃん…。引くわぁ…。うちの賢者は少なくとも、種だけ撒いたら後はどうでも良いみたいな男じゃないっての…。」

みなの一言がそれはもう、ハンマーのごとくおっさんのメンタルを叩き潰していく。
もうその辺にしてあげなさい…。

「まぁ…。事の顛末と最終的なオチはともかくだが…。
とりあえずクズ…じゃなかった、オジさんの言いたい事はわかったよ。
そうだな…。余計なことや後の事を今考えても仕方ない…よな。」

盗賊ちゃんにしっかりと向き合う。

「盗賊ちゃん…、俺と結婚してくれ。もう色々と考えるのはいい加減やめる。それは逃げみたいなもんだし…。
まぁ…。まだ、なんというか齢13の子にプロポーズするってのも色々と引っかかるものはあるが…。
本気で惚れてる事には変わりない。
こんな流れとこんな場でプロポーズするのもどうかとは思ったが、こんな流れでもなけりゃ俺は多分決心をつけられなかったろうからな。
ろくに本格的なお付き合いもしてないし、まだ1ヶ月と少しの付き合いしかないが…、好きの気持ちは本気だ。
受けてくれるか?」
「当たり前だろ?正直、あと何年待てばいいんだろうってずっと思ってたよ。もちろん喜んで。
これからはご主人様じゃなくて旦那様…だな。」

皆の空気がまたも固まる。

「おっと…おめでたい話なのに思わず思考が止まってしまったよ。ドール屋のお嬢さん数時間で失恋してしまったが、気は確かかい?」
「まだ…です…!まだ愛人と言う立ち位置が…!!」
「彼はそう言うの嫌いな性格だから難しいかもだね~。
そう言う性格じゃなかったら、本当に今頃私たち全員が彼の子を身籠っていたかもだけど。
ひとまず、君は住み込み家政婦として新しい人生を楽しみたまえ。
まぁ、私も願わくばこの世界では許される二人目三人目の妻として選ばれたいものだけどね。」

打ちひしがれていたおっさんがようやくハッ!と我に帰る。

「よし、ドール屋のお嬢さん…。俺と結婚してくれ。」
「嫌ですよ…気持ち悪い…。ご主人様と同じくらいに心も含めて良い男になってから出直して頂きます?」

ドール屋さんは遠慮がない。

「ふふっ、ひとまずこれで漸く…ですね。
式はいつにされますか?どこであげましょうか?
国を挙げてお祝いしなければですね!そうだ!その日は今後祝日としましょう!」
「わっわっ!オレもそこまで盛り上げられると流石に照れるぞ!」
「そう言えば、貴女と結婚すると言う事は…私は大賢者様の親戚になる事になりますね。」

腹違いの妹の旦那…。まぁそう言う事にはなるか…。
色々と複雑である。

「まぁ、とりあえずだ。おめでとう。君は今日から大賢者の奥様だね。」

盗賊ちゃん…改め俺の嫁が嬉しそうに…。

「うんっ…!」

と呟いた。
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