その辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。

風呂桶之水源餅

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ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。

第56話 地に堕ちた天使は悪逆に染まる

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今度は真っ白で何もない空間か…。
光で何も見えないとかじゃなく…。
どうせまた、未来の俺が居るんだろう?
何か教えてくれるなら早く出てきてほしいものだが…。

「残念!貴方の前に現れたのは私でした!」
「君は…?誰だい?なんとなく…よく知ってる気がする…。」
「そうさ?私は幼少の頃より君の側に居て、君をずっとずっと見守ってきた存在。
君の守護龍だからね。
夢の中でなら何度か会ってお話ししたこともあるよ?貴方はあまり覚えてないかもだけど。」

そう言うと光の中から綺麗な黒髪に赤い瞳の巫女服の少女が現れる。

「ね?見たことあるでしょ?」
「うん…。あるね。確かに何度か夢の中では話した覚えがある…。
そして、いつも夢に出る時は大切なことを教えてくれる時だよね?」

サラリと黒髪を振り乱しながら振り返る少女。

「そうだよ。覚えていてくれて嬉しいなっ。
私はね、あなたの未来も過去も、これから起こることも起きた事も、たくさん存在するあなたの運命の分岐先までぜーんぶ知ってるの。
未来のあなたがあなたの前に現れて、警告やアドバイスをした事も全部。
次元龍の力、それが一番の鍵になる。
この世界において龍はそれだけ特別なの。
でもあなたはそれを一人で使ったから失敗した。
失敗し続けた。
人の体と魂だけでは次元龍の力は完全には使えないし使いこなせない。
だから、その時が来たら私の名前を呼んで。
私は黝(くろ)き龍の神。
その名をあなたは知っているはずよ。」

そう言うと、徐々に視界は薄暗くなっていき、次第に意識が覚醒する。

「ごめん、結構寝込んじゃったかな?」

むくりと起き上がり辺りを見渡すが皆もわりとスヤスヤしていた。

「大丈夫だよ。時間にして40分ほどかな?
多少は気を休められたかい?」
「うん、まぁそれなりには…かな。」

魔女さんは何か本を読んでいたようだ。
いつも腰に携えていた本か。
魔道書か何かだと思っていたけど、何が書いてあるんだろう?

「ん?この本が気になるのかい?
推察の通り魔道書だよ。
私が編み出し、記した大魔法の数々がここに記されている。
勿論、私以外は使えないように複雑高度な暗号化が成されているがね。
魔道書は長過ぎる呪文詠唱を省略したり、術者の力を増幅させたりといろんな意味合いがある。
今していたのはこの本に書き込んだ魔術スペルの誤字脱字のチェックさ。
そう言うのがあると、呪文が狂ったり魔術が発動しないこともあるからね。
君との闘いではこの本は使わなかったけどね。
普段はこっちの小さいの使ってるから。」

と言うと胸の谷間からポケットサイズの本を取り出す。

「逆に、こういった魔道書なしで頭の中でスペルを構築し、高速で発動させる魔法使いちゃんはなかなかの逸材だよ。
彼女は今後、確実に私を超えていくだろう。
いずれは私を引き継ぐ存在にもなりえると思うよ。
さて、そろそろ目的地に着く頃かな。
みんな、目を覚ましなさい。」

魔女さんがぽふぽふとみんなを揺すり起こしていく。

「おい!マスター!遠くに集落が見えてきたぜ!」
「わかった。じゃあそろそろ降りて、そこから先は徒歩で行こうか。流石に集落へ馬鹿でかい狐の魔物が迫ってきたらビビるか攻撃されるかになりかねないしね…。」

俺たちは全員荷車を降り、ケロちゃんには子狐モードに変身してもらい肩に乗せた。

「お疲れ様ケロちゃん。
あまり、心地よくはないかもだけどゆっくり休んでてね。」
「おう!必要な時はいつでも声かけてくれよ?
んじゃ、一休みすりゅ…。」

ケロちゃんは俺の肩の上ですぴすぴと寝息を立て出した。

「さて、行こうか。」

そしてみんなで遺跡周辺の集落へと歩き出す。

今のところ此処に来るまでに特別変わった様子もなかった。
何かに襲われることもなく、実に静かにスムーズにここまで到着することが出来た。

「そういえば、ここの集落の人たちは基本的に他の国との交流は無いんだよね?」
「そうだね。何かしら大きな自体があったりすると互いに使者が遣わされることはあるけどね。」
「…。今のこの俺たちのパーティは大事に該当してないかな…?」
「言われてみれば…。すっかり意識する事を忘れていたよ…。
ひとまず、族長に色々話をしておかないとだね。
姫が皇女殿下に即位されたことや君のこと、魔族の国であった北の大地と中央皇国が国交を結んだ事と、魔王様が君の配下になった事など…。
………。尋常じゃないレベルで大事だらけだなぁ…。一気に気が重くなって来たよ…。
たしかに今までも私が使者として出向くことはあったけど…色々とあり過ぎてすっかり忘れてたね…。
今後も何かあると面倒だから、いい加減ここにも水手紙を設置させよう…。」

魔女さんがめんどくさそうな顔になってしまった。
遅かれ早かれ来なきゃだったからいいけどーっと軽くふてくされている。

なお普通ならここに来るには、東の国から船に乗り込み1日。そこから大鳥の車で何時間も走らなきゃいけないらしい。
俺たちはとんでもないスピードでここまで一気に走り抜けてきたから約4時間。
時間的にも関空から沖縄とか行くくらいの距離になるのかな?

何はともあれ、無事に集落まで歩き着いた。

「はぁ…。正直わたしここの族長苦手なんだよ…。
歳も歳だから言ってることなかなか理解してくれないしね…。
若い方の次期族長に話そうかなぁ…。」
「あー。それすごいわかる。年寄り相手に仕事するのってほんと疲れるよなぁ。」

この集落も街の作りとしては他の国によく似ていた。
メインストリートを通り町の中央に族長の家、その向こうに遺跡としての神殿がある感じらしい。

族長の家に向かって歩いていると、周りの家々から住民が顔を出してくる。

「おおお!魔女さんだ!魔女さんがおいでになったぞ!しかも今回は従者がいっぱいだ!!」
「何かあったに違いないぞ!今日は何の報告だ!?
付いて行こう!」

と言う声と共に俺たちが族長の家に向かえば向かう程、家々から住人が出てきて俺たちの列に加わっていく。

そう、さながらインド映画のごとく…。

このまま踊り出すんじゃないかと言うレベルでどんどん人が増えていってるんだが…。

「あー、気にしなくて良いよ…。いつもこんなんだから。
あと踊り出すんじゃないかと言うのは正解だ。
前回も皇族の死を伝えた時に悲しみの踊りを踊り出したし、皇女殿下が生まれた時とかも楽しそうに踊り出したよ…。
まぁ、ある意味じゃこの土地の風物詩だね。
さて、族長様の家に到着だ。」

魔女さんが戸をノックしようとするとついてきた住人たちが一斉に静かになる。

「いつも突然すみません。魔女です。
色々とご報告やお願いがあって参りました。」

そしてまた周りがざわめき出す。

しばらくすると、戸の向こう側から族長とおもしき人が顔を見せてきた。

「おや?若い方か。
いつもの年寄りの族長はどうしたんだい?
また寝込んでるとかかな?」
「実は…、我らが仙台の族長…私の祖父は先日亡くなりました。
こちらこそご報告が出来ず済みません。」
「そうか…と言うことは、いまは天上界の方にいると言う事だね。」
「その通りです。
身体が限界を迎えたので、そろそろ天に帰ると言ってつい先日、肉体としては死を迎え、天に帰りました。
あぁ、そうだ。魔女さんが来たら遺跡へ案内するようにも言伝っております。
次に魔女さんが来る時は、きっと天上界へ行かなければならない理由ができた時に違いないと聞いていましたので。
……。お連れの方々を見るに色々とあったご様子で…。
もしや、話されたのですか?貴方の呪いの事も。」

ひとまず立ち話もなんだからと、俺たちは族長の家の中に案内される。

「さて、色々と聞かせていただいても構いませんか?お連れの方達の件も含めて。」

そして、魔女さんの口から俺と言う異世界人が現れた事。
俺と共にいるみんなの事や与えられた階級、そして北の大地と中央皇国との国交や、魔王様が何故か俺の配下に入ってしまったことなどなどをじっくりと話す。

「はぁ…。これはなかなかにとんでもない話のオンパレードですね…。
そして貴方達がここに来た理由は、魔女さんに呪いをかけて天上界へ逃走した男を探し出し、解呪させること…ですか。
なるほど…。
つかぬ事をお伺いしますが、貴方達…いや、魔女さんはその男を、肉体でしか知らないのですよね?」
「そう言うことになるのかな?
肉体としての彼を殺した後は、魂が天に帰ったこと以外は何もわからないし…。」

族長が思案しながらゆっくりと、そして言いにくそうに口を開く。

「ならば…、その男…。いえ、その肉体の方と言った方が良いでしょうか。
狂い出す前後で何かおかしな点はありましたか?
そう、それこそ文字通り人が変わったような…。」
「言われてみると…たしかにあの人は出会った当初はあんな性格はしていなかった。
気がつくと、人が変わったように私を愛するようになっていて…。
………!まさか…!」
「えぇ、その肉体にあった元の魂は、その男に間違いなく魂を消滅させられている。
そして、空いた亡骸に彼は憑依し、その肉体にある男の記憶を使い男になりすましていたのでしょう。
何故この考えに至ったのかは語るまでもないでしょうが、我々は恐らく、その男を知っています。
天上界での大罪人である彼を….。
呪いの研究に明け暮れ、誰にも気付かれることなく沢山の天使や地上の人々を猟奇的な呪いで殺し続けた大罪人。
その恐ろしさに天使長が翼をもぎ、地上のゴブリンの亡骸にその魂を押し込めたと私たちは聞いていました。
まさかとは…ずっと思っていたのですが…。
話を聞いてるうちに、以前から疑問に思っていたんですよ…。
その男は死霊魔術や呪いを極めていたと聞いていたので…。」

魔女さんが顔面蒼白になってその話を聞いていた。

「ゴブリン…。たしかに彼がおかしくなり出したのは、ゴブリンに襲われて怪我を負って帰ってきた後だと他の冒険者から聞いていた…。
ただ、それ以前から彼は私を慕い、好きだと毎日のように言っていたから正直周り含めて入れ替わってるとは思っていなかったんだ…。それこそ頭を強く打たれておかしくなったんだろうってね…。
だが…まさかこんなことが…。」
「そして、あなた方の国に病という名の呪いを蔓延させ多くの命を奪った…。
骨が脆く砕けやすくなり、内臓が腐り、激痛と共に苦しみ悶えて死んでいく病…。
その病は、多くの魔術師や医者が遺体の解剖や研究を重ねるも一切の治療を望めなかった。
その理由は明白。
表向きは流行病として処理されていますが、かの者がばら撒いた呪いだったのですから…。
その証拠に彼の死とともに病の流行は終わった…。
発症した者が助かることは、ありませんでしたが…。
そうでしたよね?」
「あぁ…。そうだ。
これは私が背負うべき大きな罪だ…。」
「あなたの国の遺族たちが知れば…、貴方への批判などは免れないでしょうね…。」

だが、それでも魔女さんは異世界人の来訪を待ち続けた…。
多くの人々に恨まれることになろうとも己を貫き続けて…。

「その為に今、俺がいる。俺がその男を探し出しそして…倒す。」
「それでも、彼女の犯した罪全てが消えるわけではないでしょう?」
「その分は俺が背負うさ。彼女が待ち焦がれ、そして恋した異世界人として。」
「ふふ、素晴らしい愛ですね。ですが、言葉ではどうとでも言えても実際はとてつもなく重たい物だという事を、貴方には理解して頂いてほしいと思います。
彼女が、自分のせいだと全て知った時にどれほどの絶望と苦しみを味わい、あの城に籠ることになったかを…。」

そう言うと、族長さんは俺の額に手を触れてくる。

「貴方に本当に彼女の罪を背負う覚悟があるなら、目を逸らさずに見てください。
見せて良いですか?魔女さん?」
「あぁ。彼が望むなら…。」
「勿論だ。頼む。」
「わかりました。」

そして族長がもう片方の手を魔女さんの額にかざす。

すると、その時の魔女さんの映像が大量に目の前にありありと映し出される。
前国王夫妻と思われる人が目の前で死んでいく姿。
真実を知ってしまい殺される事になった研究者たちの死に際の恨みの言葉。
彼女を思い激励の言葉をかけながら、身体が腐り落ちていく冒険者の最後…。
魔女さんがその男の首を魔法で撃ち抜く瞬間…。
父と母の死を見届ける皇女殿下の悲しい横顔…。
何度も自害しようとするも踏み切れずにいた魔女さんの姿とその時の感情。
皇女殿下に真実を話し、叱責され恨みの言葉を投げられた後に、その罪を償うためにも異世界人に出会い、そして恋をしなさいと言われ自分を強く持とうと誓ったその瞬間も…。

「これでおしまいです。
どうですか?改めて問いましょう。貴方にこれだけの罪と覚悟を背負えますか?」
「あぁ。当然だ。逆に、魔女さん一人にだけ背負わせるものか…。」

そう言い終わるや否や、魔女さんに抱きしめられてキスをされた。
いきなりは俺も焦る。

「ありがとう…。さすが私が待ち焦がれ、そして恋した人だ…。」

強く強く抱きしめられた。そして、魔女さんは俺の腕の中で涙を流していた。
ようやく重荷が下ろせたのだろうか…。
いや、そんなことはないか…。

彼女はまだ重たい荷物を背負っている…。
俺がそれを下ろさせるんだ。

そのクソ野郎との因縁に俺がケリをつけてみせる。

「おーおー、どうするのだぁ?正妻。入り込む余地がなさそうだぞぉ~?んん~?」
「うっさい!煽んなバカ魔王!」
「なにお!誰がバカだ!もっぺん言うてみぃ!」

そしてマオちゃんと盗賊ちゃんのプチ喧嘩が始まった
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