イケメン天使妄想伝!〜天使の妄想世界で俺の青春やり直し〜

風呂桶之水源餅

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イケメン天使妄想伝!

流石に「私は神だ!!」とか言い出す父は痛すぎる。

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前回までのあらすじ。

この物語の神は父だった。

「もう、突っ込むのも疲れてきたよ…。
なんなんだよまったくもう…。」
「ハハハハハ。いやぁ、パパリンもびっくりんしてるんだよこれでも。
自分が長い時を経て手に入れた力や、私が自由に書き換えることも可能なこの世界を作るとんでも魔法のノート。
何もかもがびっくりだよ~。
私が死んでから礼一郎を見守ってる時にアイリーンとか言う神様が現れてね~。
この本をくれたの。
んで、使い方を教えてもらって、レイヤードくんに気づかれないようにこっそりとこの本に通じる子機を託し、物語を紡がせていたわけだ。
いやぁまぁしかし、こんなにも後半で恋愛とかどこ行ったし展開になるのは予想外だったよ~。」
「とばっちりだよ!!」

レイヤードがまたも顔をしかめている。

「私が彼を救うのは想定外ではなく、貴方が決めた流れだと?」
「まぁ、最初から全部じゃないよ。
ただ、君が乗ってくれたから動けたんだ。
君が動かなければこうも物語は進まない。
始まりもしなかったのだから。
なので、この物語は君の物語とも言えるのだ。
まぁパパンは要所要所で思い通りに事が運ぶように、運命操作をしたりはしたけどね。
最初は礼一郎の力の覚醒を促して、君を2人に増やした事だよ。」
「その言い方だと、今後の流れもどうするかはもう決めてる感じっすかね?」
「まぁね。
僕だって、ひとりの紡ぎ手として、それ以上に父として子どもには幸せになって欲しい。
勝手なことをと思うかもだし、恨まれたりしても文句は言えない。
君たちの運命をずっと握っていたのだから。」
「なら、教えてください。
私の…私の礼一郎さまを思う気持ちは…作られたものなのですか?この気持ちは…本物ですか?」
「茉莉花ちゃんはどう思う?」
「本物です…。私は、礼一郎さまが、大好きです…!心の底から愛してます!
でも、今は…」
「大丈夫だよ。この本に人の心を操るような力はないんだから。
その気持ちまでは嘘じゃない。それは本物の感情だよ。
まぁ、誰も礼一郎を好きになってくれないならどうしようかなとかは思ってたけどね。
それは杞憂に終わったよ。
ありがとね茉莉花ちゃん、いやにゃんごにゃんごちゃん?」
「そ、その名前は流石に人の姿で呼ばれるのは酷です…。」
「ちなみに君を選び、人にしたのはレイヤードくんの意志だ。
私の家の家政婦にしたのは僕だけどね。」
「ほんともうツッコミどころが多すぎる…。」
「ハハハハハっ。僕だってそりゃあ妻と子どもと一緒に安全に末長く暮らせる世界を望んでいたのさ。
なにせ、僕たち3人は礼一郎と一緒に暮らせる世界が今までなかったんだからね。
そう、だからこそ不思議なんだよ。
いくら、この本で理想通りに世界を描いているとは言え、なぜ僕たちは死ななければならなかったのか?レイヤードくんに時と世界を渡る力が与えられたのか?礼一郎は人を災厄で滅ぼす邪神にならなければ行けなかったのか?」
「今わかっている解は、かの破界神 ゴッドアイリーンが干渉して世界を変える力を与えた事くらいか…。
破界神と言われてるように、ゴッドアイリーンは数多くの世界を破界し救ってきたと言われている。
ならば、この僕たちの元々の逃れられなかった運命は彼女の敵が生み出したものであったということか…。」
「それが誰で何者なのかは僕たちにはわからないし、今となってはどうでも良いことさ。
この世界が紡ぎ出されたことで彼女の目的は果たされた。
彼女もまた世界を渡る放浪者ってところだったのかな?
普通なら誰も変えられない世界を、どこからか手に入れた力を持って破界するのがまた彼女の役目だったというだけだろう。
ひとまず、僕は理想の世界を手に入れることはできた。
だが、まだ邪神の誕生を防げたわけではない筈だ。
それを防ぐ手段が礼一郎の周りの人間が災厄で死なず、そして愛を知ることと言うのもまだ仮説にしか過ぎないんだよ。
その仮説を導き出したのはレイヤードくんであり、創造神的なものの仕業ではない。」
「つまり、まだ我々の戦いは終わっていないと…?」
「そうなると思うよぼかぁね。
人を滅ぼしたかった悪い神様がうちの息子を利用したって言うのはまず許せないよね。
そして、まだうちの子にはそのトリガーが残されている可能性も否定はできない。
例えば、悪い神様が今から直接やってきて僕らみんなを一斉に殺して回ったりなんかしたら、やはりうちの子はまた邪神になるだろう。
愛する茉莉花ちゃんを奪われてもそうなり得るだろう。
魂が経験した過去の記憶なんて、封印したところで夢と共に思い出したりする事もデジャヴで思い返すことだってあるんだ。
僕だってそうだ。
再び家族を奪われたら、僕の方が邪神になることもあるだろう。
僕の手に入れた【不要なモノを排除する力】はそのような可能性がある。
だからこそ、僕としてはその諸悪の根源にご登場頂きたいんだよね。
僕たちの世界に不要なそいつを僕は排除したい。」
「そいつは同感だ。
だが、この世界にはそいつはいないだろう。
どうおびき出すと言うのかね?」
「さぁて…。どうしようかね?ここまで来たら確実に先のある救われた世界を創り出したい。
今の今まで僕たちの世界は、人類が滅びる未来しか用意されていなかった。
レイヤードくん。君は君の世界の神々から何か聞いてないのかい?」
「人類を救うために世界を書き換えろ。
世界を救いたいなら麻生礼一郎の魂を救え。
お前の力はその為に与えられたものだ。
そう伝えられた。
彼を生み出す運命を創り出した存在については何も聞かされていない。」
「ふむ、なるほど。
悪意があったかどうか含めてまだ謎なんだね。
だが、君が生まれるまでこうも何千回も人類の滅びを放置していたんだ。
しかも挙句の果てに君に丸投げ。
悪意しか感じないよね。
ま、そうなると神様みんな敵ってなっちゃうけど、ただうちの息子を毎度ご丁寧に邪神へなるよう仕向けてそそのかしてた存在は居たと思うんだよ。
最初のきっかけは僕たちの死だ。
その最初のきっかけを起こした存在は誰なのか…。
レイヤードくん、君は知らないかい?
ご丁寧に毎回毎回、私たちの世界でその運命を持ってきた存在が居たはずなんだよ。
そいつが居なければ、ここまで回りくどいことをせずとも僕たちはきっと幸せになれた筈だ。」
「そう、その通りだ。
無論、私も馬鹿ではない。
当然その考えに至り、貴方の過去に干渉しようとした。
だが、かならず邪魔をされたのだ。
私が貴方の過去に行こうとすれば違う時間に飛ばされ、世界を渡ろうとすれば元の世界へそのまま素通りさせられた。
どう干渉しようと干渉することができなかった。」
「なるほどねぇ。それじゃあ、アレか…。ようやく答えが見えてきたわけだね。
考えないわけではなかったが、考えたくはなかったという事じゃないのかい?」
「まぁ、そういう事っすよ。
全ての始まり、人類を全て災厄をもって間引きし粛清しようとした邪神よりも邪神とも言える存在…。
要するに、俺でありアンタっすよ。レイヤード。
理由は明白っすよね。
俺たちもまた人間と言う物に嫌気がさしてたんすから。
それを滅ぼすのに、彼を利用したんすよ。
俺たちレイヤードは。」
「違う…。少なくとも私は違う筈だ!
私は…私はただ麻生を救いたかっただけだ!
私の親友を、助けたかっただけだ!」
「心からそう言えるっすか?
俺たちは時を渡れるし世界も渡れる。
そりゃつまりほんの数秒前の俺たちの数だけ別のレイヤードが生まれていた可能性も0じゃないって事っすよ。
世界と時間がほんの少しズレた場所で悪意を持つ俺たちが居れば、そいつは邪神になるトリガーを秘めていた麻生礼一郎を消されないように動き続けるなんてこともあったかもしれないっすよ。
今ここにいる俺やアンタがそうじゃないとしても、今ここにいない俺やアンタの中にそんな悪いことを考えた俺たちもいたかも知れないっすねぇ。
いや、だからこそアンタがかつて見てきた以前の世界があったんじゃあないっすかね?
んで、その結論が導き出されたいまアンタは俺たちを消そうと思うんすか?麻生父ちゃん?」
「この、物語を紡ぐ為の本でも君たちの心までは動かせない。
物語を紡ぎ出すのは、結局のところ物語の中にいる登場人物だけだ。
僕が紡いでいる物語は邪神が生まれないようにコントロールすることは出来るとは思うが、僕が筆を止めてる間に動く登場人物たちの心までは止められない。
だから、君たちが再び人類の敵になり得るなら、僕はいまここで世界に不要なものとして排除しなければならない。」
「それが一番安全だと思うっすよ。
本気で世界と人類を救いたいなら、俺たちと言う存在を完全に喰らい消滅させるべきだ。
レイヤード、アンタも俺らのもつ最悪の可能性を全て想定してきてなかったわけじゃないっしょ…?潮時っすよ。俺らも消える時が来たんすよ。」
「そうだな…。
今までは我々を消し飛ばせる存在など居なかったからこうなってきたとも言える。
ようやく我々を排除できる存在が現れたのだ。
全てに終止符を打つのは重要だ。」
「てわけで頼んますわ。麻生父ちゃん。
この平和な世界を未来永劫明日へつなぐためにも。俺らを消してくれませんかね?」
「それが君たちの願いなら。仕方ないね。
そしてこれはまた、僕の願いでもあったんだからね。」

あの時、檜山の側にいた悪鬼が現れる。

「あぁ、ちなみにこいつは殺せないよ。
あの時、神々の力を持って消したと思っていたろうがこいつ自身に【自分は今この場に不要なもの】と認識させ一時的に消えてもらっただけだからねぇ。
もともとあの場では消せてないんだよ。
こいつは不要なものと認識させたものなら何でも消せる…。そう、なんでもねぇ。
てな訳で、消えてくれレイヤード諸君。
僕はねぇ…。とても怒っているんだ。
君たちが僕たちや人類を滅ぼすきっかけと知った今、生かしておく理由はないんだよ。」
「我々もだよ。ようやくその時が来た。
世界と人類の為にも頼む。貴方の願いを持って我々を消してくれ。皆の記憶からも消えるなら私たちも未練はない。」
「あぁ、喜んで。」
「待てよ父さん!本気で言ってんのか!?」
「そんな、いまここにいる御劔先輩自身が悪いわけでもないのに…!」
「え、あ、ごめん、中途半端にしか聞いてなかったけど、これいまどう言う流れ?え?あ、こいつ死ぬの?」
「グッバイにゃクソ天使。楽しかったにゃ。あと腹減ったからそろそろカリカリくれにゃ。」

「「感動シーンが台無しだよラスト2人っ!!」」

2人が悪鬼の掌に呑まれていった。
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