イケメン天使妄想伝!〜天使の妄想世界で俺の青春やり直し〜

風呂桶之水源餅

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これは天使の恩返し

両親帰還。

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父さんと母さんが急に帰ってきた。
ていうかどっから聞きつけたか知らないが、茉莉花ちゃんとはいつ結婚するの?来年?
式は先にするにしても籍だけは入れておこうか。
もうすでに結婚してるようなものだしいいよね!
などなどうざいことこの上ない。

「ほんと…ほんと…こんな父ですいません…。
あの、一緒にいる間もクソうざかったりご迷惑をかけてたんじゃ…。」
「そんなことあらへんよ~。零さんはほんとえぇ人やからねぇ。
ただ、たまにこうやって変な方向に空回りする事があるのがホンマあかんお人やわぁ~。」

と言って、背中をばっしぃぃいんっと叩いている。

「ていうか、お母様。仮にお兄様と茉莉花が結婚したらわたし達はどうするの?
同じ家で住むには流石に気まずいでしょ…。」
「それは大丈夫よ~。
マンションの一室買ってあるから~。」
「は…?」
「そりゃあ、可愛い息子と娘が新婚生活を始めた時のための家くらい用意してるさ!
でも、パパ的にはまだ梨花ちゃんとは一緒に暮らしたいなぁ…。」
「くねくね身をよじるのはやめろ父さん…。」

内心、俺の父親ってこんな人だったかな…などと思うが、確かに周りを笑わそうといつも必死で笑顔にさせるのが好きな人だったなって記憶はある。
誰からも愛されて、誰しもを愛するまるで天使かなんかみたいな人。

「んでんでぇ~、さっきから顔真っ赤にしてる茉莉花ちゃんはどう?どうする?どう思う?」
「わ、わわわわわわりゃしはまだじゅうごちゃいでしからそのきがはやすぎるとおもいましゅっ」
「あらあら~。もう可愛いわねぇ。照れちゃって。うちに引き取って、娘じゃなく居候で!って言われてた時からもしやとはおもとったけど、やっと思い切ったからお膳立てしたらなあかんなぁ~思うて戻ってきたんにぃ~。」
「そうです!そもそもそれです!
わたしはまだ礼一郎さんに好きとも結婚したいとも言ってないし言ってもらってませんから!!」
「あれー?そうだったっけ…。」

父さんが、日記帳のようなものをパラパラめくっている。
おいお前それに何書き込んでんだこら。

「んー。確かにアレか。フラグはがっつり立ってたけどまだ言ってないのか。
ふむ…。よし、礼一郎!いまいえ!ここでいえ!
おまえ、茉莉花ちゃん大好きだろ?ほら!早く!ジャストオンなう!!」
「やめろ!その雑な煽り方やめろ!!」
「…。礼一郎さまは…わたしのことをどう思っていらっしゃるのですか?」

こんな空気で言うような言葉ではないのは重々承知の上だが…。

「好きだよ。大好き。めっちゃ好き。
ドチャクソかわえぇって思ってる。
結婚?そりゃこんだけ出来た嫁さんが来てくれるっていうなら誰も拒むわけないだろ…。」

ああああああああ。恥ずかし。
告白なんて、この世界以前含め約30年ばかし一度もしたことないんだぞ俺は…。
こんな空気で言う羽目になるとは思わなかった…。

「んでんで~、茉莉花ちゃんはどないなん?
れいちゃんの事好き?めっちゃ好き?めっちゃすっきゃねん??」

母さんが茉莉花ちゃんのほっぺをウリウリ~としながら聞いてきている。

「わたしもめっちゃすっきゃねん!!
けこんしたち!!」

うわ、スッゲェ噛んでる。

「もう弄るのはそのくらいにしてあげなよ2人とも…。えらいことになってきてるよ…。」
「よし!!これで取り敢えず両思い!婚約決定!!おめでとう!!
さぁ、あとは式の日取りだけど…。」

「「だから気が早いよ!?」」

思わず俺と梨花が声を揃えて突っ込む。

「はっはっはっ。あれ?日本の法律っていまどうなってたっけ?18と16で結婚可であってる?」
「あってるよ!!だからまだ一年はあるよ!!」
「あっはっはっはっ。父さん、2人の年齢設定忘れてたよ。弱ったなぁ。まだ一年もあるのかぁ。
もう一年くらいすっ飛ばしても良くない?」

バターンっ!と玄関のドアが激しく開く音がした。
お?レイヤードに美玲にギャル男レイヤードだ。

「聞こえていたぞ麻生父!!
そう軽々と時間をすっ飛ばすのとかはやめてくれたまえ!我々も今、この怒涛の展開に大焦りしているのだ!」
「はっはっはっはっ。こっちのレイちゃんは心配性だなぁもう。
大丈夫大丈夫。そもそも俺の物語にシリアスは似合わないよ。
こっから先は笑いたっぷりで行こうじゃないか~?」
「こっちは笑えねぇっすよ!?アレすか?打ち切り?打ち切り的なアレ??」
「そうですよ!?わたしなんか一回消されかけてますしあなた本当にサラッと何してくれようとしてくれちゃってるんですか本当に!」
「ハハハハハ。みんなは心配性だなぁ。
物語はいつかは終わる。
ただ、観測者が居なくても物語の中のもの達はいつまでも生きてるもんだし、たくさんの観測者の妄想の中でいろんな結末を迎える事もあるんだよ。
パパはそのうちの一つを書き記してきたに過ぎない。
君たちの言葉を借りてね。
いやぁ…しかし一年かぁ。設定マジでミスったなぁ…。」
「もうほんとお前メタ発言やめろっす…。」

…………??

さっきからこいつらは一体なんなんだ…。

「あぁーっと、そうかそうか。主人公同然の扱いの我が息子はまだ事の経緯を知らないんだったな。
んとね。こう言う事。」

父がさっきパラパラページをめくっていた日記帳のようなものを取り出す。

「あ、ちなみにこのページが茉莉花ちゃんの担当したところね。」
「ぎゃぁあぁぁあああぁぁあぁあっ!!?な、なにみせてるんですかぁぁぁぁぁっ!!!やめ!やめてください!!!いやあぁぁぁあっ!!」
「ねぇ、母さん殴っていい?うちの義父ちょっと殴っていい?」
「えぇで♪」
「うぉぉおぉおるぁっしゃぁぁぁあっ!!」

父が派手にフルブローで殴られる綺麗な螺旋を描いて壁に激突する。

「まったくもうー。みんなひどいなぁ。
パパもびっくりだよ~。
ま、取り敢えずそこの3人以外も、みんななんとなくわかってきたかな?」
「にわかには信じ難いけど…。」
「いやまぁ、もう、どっから突っ込めって言うんだよ…。マジで…。」

父の日記帳のタイトルには「イケメン天使妄想伝!」と書かれていた。

そう、この物語の紡ぎ手は御劔麗哉ことレイヤードではなかったのである。

「そう!この世界の物語は、みんなから天使と呼ばれ愛されてきたこのイケメンパパ~ンな麻生 零の描いてきた妄想の世界の物語だったのだ!
と言ってもお父さんほとんどストーリー考えてなかったからほぼほぼレイヤードくんのせいで物語は進んでるんだけどね♪」

レイヤードが顔をしかめる。

「責任転嫁!!!」

最近のお前、ツッコミが冴えてきてるな…。
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