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これは天使の恩返し

逆に考えるんだ。そこに答えはある。

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と言うわけで、我々2人はミレーヌ様を呼び出しカフェで話し合いをしてみるのであった。

「と言うわけです。
私がこの世界に彼を送り込み、その他色々してきた理由とそして、この世界の謎…。
我々だけではもうこれ以上考察のしようがなくなってきて…。」
「ふむふむ、なるほど。
そもそも貴方達、性格以外はまるっきし同じなんだから答えが出るわけないでしょう。相変わらずバカなんですかバカですよねていうかバカだったわね。バァーカ。」
「「なんで今そんなにバカって言われてるの!?」」
「それはねー。アレですよー。私の出番最近なかったしー。
そもそも私、退場フラグ建てられてましたしー。
このまま、あー私消えちゃったーとかなるのかなーとか思ってましたしー。
かと思えば貴方達2人はそこそこ見せ場あるしー。」
「「なんかすいません…。」」
「まあま、とりあえず消えなくてよかったじゃないですか…。」
「そうですね…。いささかご都合主義な気もしましたが、結果的にはオーライです…。
ほんと、何度消されると思ったか…。」
「で、本題に戻りますが貴方はどう思われますか?」
「ふぅむ。
未来未来って貴方達はどう転ぶかも知らない未来に固執しすぎではないですか?
未来なんて如何様にも変わるものなんです。
そのうえ、この世界の未来はそもそも描かれてすらいない。
そんな曖昧な世界なんですよ?
だったら答えなんてもう一つしかないではありませんか。」
「…。と言うと?」
「答えは単純です。過去です。」
「そんな馬鹿なことがあるか…?」
「あるでしょう。今この世界西暦何年だと思ってるんですか?2000年もあれば神代から邪神の1匹2匹送り込めるでしょうよ。」
「なんか言葉の節々にまだ棘があるような…。
ともかく、過去からの刺客か…。
いや、それこそ誰が送り込んで来てるんだって話になりゃしませんか?」
「神代なんて、それこそ邪神なんてたくさん居たではないですか。
神や妖の類が人の世で認識されなくなってきてから数百年…。
その中の何かが唯一この世界で干渉できる神の一部たる我々を消そうとちょっかいかけてきても不思議ではないかもですよ?
世界を滅ぼす邪神が生まれないことが確定した。わーい。となれば、あとは自分達の好き放題にしよう~なんて考えてる奴もいるかもしれませんし、もしかしたら討伐されたりしてきた邪神や悪鬼の行き着いた世界がこの世界の過去かも知れませんし。
未来と違って、確定した過去に存在する者たちは存在していたと言う事実だけでも強固な力を持つものですよ。
我々の方が、この世界に存在していたと言う記述が無く知られてない以上希薄なのです。
例えば、歴史書の神話に描かれているようなクトゥルフ神やこの日本にかつて存在していたと呼ばれる大妖怪の類なら、この未来へ干渉できるかもですね。」
「仮にそうだったとして、未来の檜山くんと同質の力をもつ悪鬼を簡単に生み出せるものだろうか…?私にはそうは思えぬのだが…。」
「生まれていたものを送り込んだと言うのが正解かもしれませんよ。

例えば、こう考えてみましょう。

今、我々の目の前に、やりたくない。手をつけたくない仕事がありました。
ではその仕事は今日の私ではなく未来の私にお任せしよう。

そんな感じで、数百年前から数千年前にいた悪鬼が未来まで持ち越されて来ていたのだとしたら?

ね?そう考えるとあながち無いとは言えないでしょう?」
「なるほどっすねぇ。
そう言う考え方は少し盲点だったっすよ。
それにしたって誰が送り込んだのかって謎は残るっすよねぇ。」
「そこも案外、答えは簡単に見つかるかもしれませんよ。

ヒント1・この世界の神社仏閣の神々はみな外側に本体を置いてこの世界に干渉している。
ヒント2・私たちの知る限りではこの世界に存在している神々は私たち3人である。
ヒント3・そのうち時を渡る能力を持つのはあなた方2人である。
ヒント4・だが、そもそも貴方たち2人は過去へ行ったことも見たことも無い。
ヒント5・ならば、貴方達2人以外に世界や時間を渡れるものが存在している。

現状としての情報はこんなものですか…。
ふむふむ、なるほどなるほど。

となればあとは、この世界に自由に行き来できる上に時を渡れる我々以外の神を見つけ出せば良いのです。
この時間に居ないなら過去に存在している筈。
その痕跡を見つければ良いのですよ。」
「何かあてがあるのですか?」
「災厄之引鉄の出現を望んだであろうと思われ、人間の消滅を望んだ神なら我々の世界にも数多く居ますね。
そのいずれかと言う可能性もありますし、過去に落ち延びた別の何物かと言う可能性もあるかもしれません。
いずれにせよ、この世界の過去を知る者に話を聞くのが得策でしょう。」
「となると、また例の彼かな?」
「えぇ、鈴夜 騰鵺に仕える者の中に何かしらそう言う類のものを知るものがいるかもしれません。
前回の戦いの時は、とてもそんなことを考える余裕はありませんでしたが、彼らも何か一つの考えに至ってるやもです。
そして、その存在がわかればその存在を絶った上であとは麻生礼一郎さんをハッピーエンドへ導くまでです。」
「時間はあまり残されていないと言うのに、またえらく面倒なものに巻き込まれてる感はあるな…。」
「でも、やるしか無いっしょここまで来たら。」
「あちら側から直接来ていただける方が話が早くて助かるのですがね。
普通、失敗したとわかれば次の刺客か親玉が来るのがお約束と言うものでしょう。」
「まぁ確かに過去に渡り敵を討伐することでバタフライエフェクトが起こるよりは、あちらからこちらへ来てもらえた方が楽というものだな…。」
「なんなら次は明確な自我を持ったやつであってほしいとこっすねぇ…。自我のない化け物ほど恐ろしいものはないっすよほんと…。」

そして、我々は再び鈴夜くんにコンタクトを取り、彼に仕える中で最も長生きをしている神霊の天狐より話を聞くことになるのであった。
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