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これは天使の恩返し
同僚の麻生は私にとって最高の親友だった。
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私が人として生きていた時の覚えてる限り最古の人生。
そこで私が心から親友と呼べた人間こそ彼だった。
何気ない高校生活を経て大学を卒業したものの就職難に喘いでいた私。
そんな私に彼は声をかけて来たのだ。
貯金も底をつき、就活中だからとアルバイトすら雇ってもらえず、住むところも追い出され人生に悲観し始めていた私にとっては彼こそまさに天使だったよ。
私の取り柄などこの麗しき容姿くらいのものだったからね。
「さりげなく自分アピールするなっす。」
当時は、某モバイルゲームサイトが全盛期の頃だ。
私はそこでネット上での彼と知り合う。
彼はその当時はただの高卒会社員だ。
特別ブラックなどでもない至ってよくあるレベルの会社に在籍していた。
人事の権限も別にない。
だが、誰もが知っていた。
彼は誰にでも優しく、困ってるやつはほっとかないお人好しだと。
そんな彼だと知っているからか、彼から私の話を持ちかけれた彼の上司は、すぐに快く受け入れ住む所も用意してくれたのだ。
「普通、騙されてるとか悪いやつだと思うっすよね。」
それだけ彼の信用も厚かったってことさ。
あとは私がイケメンだからだ。
「同じ顔なんで。」
まぁひとまず、私と彼の最初の馴れ初めはこんなものだよ。
「そんだけでこれだけの事をしてるわけじゃないっしょ?」
無論だ。他にも多くの恩がある。
そのうちの1つがこの人生を救われた事さ。
「でも、死ぬんすよね?彼より先に。」
そうだ。まるでそれが定めかの如くね。
まず私が関わった後に最初に亡くなったのが、私をひき入れることを快諾した上司だ。
死因は前代未聞の列車脱線事故だ。
「ああ…。あの…。
こっちじゃ2、3年前の話っすね。
そっちだと…、8年は先だったわけっすか。」
そう言うことになるのかな?
起こる出来事の時間にもズレがあるようだね。
ひとまず…最初に亡くなったのが上司だ。
当然妻子持ちだったから、遺族は途方に暮れた。
無論、慰謝料などで当分は食っていけるだろうが何事も限度はある。
彼は、そんな上司の子どもたちの父親代わりになろうとした。
クリスマスや誕生日はおもちゃなどのプレゼントを、休日は旅行をプレゼントしたりとかね。
ただ、世の中クソみたいな人間も多い。
そう言う善人が出てくると、それをよしと思わない奴も出てくると言うわけだ。
彼を善人のお人好しではなく、何か裏がある。
あいつはきっと恩を売って数年後に何かしようとしてるんだとか言う派閥がいつのまにか生まれた。
元々上司にも愛されていたからな。
なおの事そう思う奴も居たんだろう。
そんな時だよ。
偶然ではあったのだが、その派閥グループのみで社員旅行に行くことになったわけだ。
会社の全従業員からしたらほんの一部だ。
問題はその一部に対して起こった事件の方だ。
これが、彼が後に周りに死神と呼ばれる所以の始まりとなったんだ。
「引っ張りますねぇ。
要するにそいつらが全員死んだってところすか?」
その通り。
一部ではない。
全員だ。
全員死んだのだ。
死んだ原因は旅行に行く途中の旅客機がテロに利用された事によるものだ。
これも、この世界では過去に起こったものになっているね。
「たまたまにしても、怖いもんあるっすね…。
たくさんの人が死ぬような事件や事故に彼が関わった人間が巻き込まれていた…と。」
それからは酷かったよ。
これは、彼が直接関わってないだけで彼が死の運命を運んで来てるのでは?なんて言われだしたんだ。
上司はそもそも彼に恨みを買っていないし、この一部派閥も彼は別に言わせておけば良いよくらいにしか思ってなかったというのにね。
ただ彼は、善人でお人好しでいろんな人に愛され尊敬されていたような人だ。
私も彼を尊敬していた。
そして、そこからまた数年の時が流れた。
私も人並みに恋愛して、結婚し、子どもが生まれた。
その後に事件が起こる。
「この流れだと…アンタの死…ですかね?」
そう、その通りだ。
そこからが一番酷かった。
彼は私の死を境に、死ぬまで死神と呼ばれ続けるようになったのだ。
そこで私が心から親友と呼べた人間こそ彼だった。
何気ない高校生活を経て大学を卒業したものの就職難に喘いでいた私。
そんな私に彼は声をかけて来たのだ。
貯金も底をつき、就活中だからとアルバイトすら雇ってもらえず、住むところも追い出され人生に悲観し始めていた私にとっては彼こそまさに天使だったよ。
私の取り柄などこの麗しき容姿くらいのものだったからね。
「さりげなく自分アピールするなっす。」
当時は、某モバイルゲームサイトが全盛期の頃だ。
私はそこでネット上での彼と知り合う。
彼はその当時はただの高卒会社員だ。
特別ブラックなどでもない至ってよくあるレベルの会社に在籍していた。
人事の権限も別にない。
だが、誰もが知っていた。
彼は誰にでも優しく、困ってるやつはほっとかないお人好しだと。
そんな彼だと知っているからか、彼から私の話を持ちかけれた彼の上司は、すぐに快く受け入れ住む所も用意してくれたのだ。
「普通、騙されてるとか悪いやつだと思うっすよね。」
それだけ彼の信用も厚かったってことさ。
あとは私がイケメンだからだ。
「同じ顔なんで。」
まぁひとまず、私と彼の最初の馴れ初めはこんなものだよ。
「そんだけでこれだけの事をしてるわけじゃないっしょ?」
無論だ。他にも多くの恩がある。
そのうちの1つがこの人生を救われた事さ。
「でも、死ぬんすよね?彼より先に。」
そうだ。まるでそれが定めかの如くね。
まず私が関わった後に最初に亡くなったのが、私をひき入れることを快諾した上司だ。
死因は前代未聞の列車脱線事故だ。
「ああ…。あの…。
こっちじゃ2、3年前の話っすね。
そっちだと…、8年は先だったわけっすか。」
そう言うことになるのかな?
起こる出来事の時間にもズレがあるようだね。
ひとまず…最初に亡くなったのが上司だ。
当然妻子持ちだったから、遺族は途方に暮れた。
無論、慰謝料などで当分は食っていけるだろうが何事も限度はある。
彼は、そんな上司の子どもたちの父親代わりになろうとした。
クリスマスや誕生日はおもちゃなどのプレゼントを、休日は旅行をプレゼントしたりとかね。
ただ、世の中クソみたいな人間も多い。
そう言う善人が出てくると、それをよしと思わない奴も出てくると言うわけだ。
彼を善人のお人好しではなく、何か裏がある。
あいつはきっと恩を売って数年後に何かしようとしてるんだとか言う派閥がいつのまにか生まれた。
元々上司にも愛されていたからな。
なおの事そう思う奴も居たんだろう。
そんな時だよ。
偶然ではあったのだが、その派閥グループのみで社員旅行に行くことになったわけだ。
会社の全従業員からしたらほんの一部だ。
問題はその一部に対して起こった事件の方だ。
これが、彼が後に周りに死神と呼ばれる所以の始まりとなったんだ。
「引っ張りますねぇ。
要するにそいつらが全員死んだってところすか?」
その通り。
一部ではない。
全員だ。
全員死んだのだ。
死んだ原因は旅行に行く途中の旅客機がテロに利用された事によるものだ。
これも、この世界では過去に起こったものになっているね。
「たまたまにしても、怖いもんあるっすね…。
たくさんの人が死ぬような事件や事故に彼が関わった人間が巻き込まれていた…と。」
それからは酷かったよ。
これは、彼が直接関わってないだけで彼が死の運命を運んで来てるのでは?なんて言われだしたんだ。
上司はそもそも彼に恨みを買っていないし、この一部派閥も彼は別に言わせておけば良いよくらいにしか思ってなかったというのにね。
ただ彼は、善人でお人好しでいろんな人に愛され尊敬されていたような人だ。
私も彼を尊敬していた。
そして、そこからまた数年の時が流れた。
私も人並みに恋愛して、結婚し、子どもが生まれた。
その後に事件が起こる。
「この流れだと…アンタの死…ですかね?」
そう、その通りだ。
そこからが一番酷かった。
彼は私の死を境に、死ぬまで死神と呼ばれ続けるようになったのだ。
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