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並列世界の矛盾ーパラドクスー
矛盾という言葉を聞いた時に思ったのはぶつかり合えば互いに消えるんじゃねぇの?って事
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「さて、終わってしまえばこんなものか…と言ったところではあるが、今回の事件は一歩間違えば恐ろしいものであった。
あれが、【自分以外は全てこの世界に不要】となっていればどうなっていたことか…。」
「その未来は既にあったんすよ。
だから、俺がこの時代に来てあんたを消そうとしたんす。
そしたらあいつもこの世界に降りてきたってところだったんすかねぇ?
ま、結果オーライっすよ。
最悪の未来は回避されたんすから。
なんにせよ、この世界はあんたの介入で先の見えないめちゃくちゃっぷりっす。
あんたはどうか知らないっすけど、もともと俺には未来視の力もあったんすよ。
正確には未来にいる自分に意識をつないで未来を視るって力なんすけど、檜山くん事件が発生した位から見えなくなったんすよ。
あんたと別れて間もない時はまだ見れたんすけどね…。」
「それはつまり、この世界の未来に君はいないということか?」
「それなら1秒先くらいは見える筈なんすよ。
今の俺には1秒先すら読めない。
つまりそれだけ未来が不確定で曖昧なものになってるっつー事だと思うんすよ。」
「なるほど…。」
「考えうるのはあんたの介入により2つの世界…もしかしたらもっとかもっすけど、世界がくっついてしまってるんじゃないかなってことっす。
今は、都合よく辻褄が合ってるからなんとかなってんだと思うんすよ。
これが、タイムパラドックスどころじゃない世界的な矛盾が起こったらはてさてどうなるか…。」
「私の見解なら、対消滅しているだろうな。
現に我々が共倒れしてないのも奇跡と言える…。
本来なら互いの力や存在がぶつかり合い消えていても不思議ではなかった筈だ。」
「そこ…なんすよねぇ。
麻生礼一郎。あいつ…なにものなんすか?
あいつ、少なくともこの世界では何もなく将来は孤独死するようなどこにでもいる非モテだったんすよ。
あんたが連れてきたアイツは何もかもが異常だ。」
「私が今まで見てきた世界でも元々そうさ。
彼は、とても不幸な人だよ。
彼に関わった周りの人がことごとく死んでいくような世界にずっといた。
まるで、人の死を運命のように引き寄せているのではないかと彼は苦悶し続けた事もあった。
私も、彼に関わったから早死にしたんじゃないかと死後の彼に言われた事もあった。
謝られた事もあったよ。
私はね、何度も繰り返していくうちにそんな彼を見ていられなくなった。
その結果が今というわけだ。」
「そりゃつまり、下手したら茉莉花ちゃんや梨花ちゃん、檜山くんや細河先生が不幸な死に方をしてもおかしくはないと?」
「そうならない為に私が共にいる。
幸運操作もその為に行なっていたものだ。」
「んじゃ、本題。
あいつ、18までに恋人出来なかったら死ぬようにしてたんすよね?その理由は?」
「毎度、愛を知らぬまま死んだあいつの末路や至る先が悲惨で恐ろしいからさ。
だから、愛を教えてやりたかっただけだよ。
ただ、あまりにも簡単にくっつかれてもつまらないからちょっかい出したらこうなってしまったのだよ。」
「なるほどねぇ。あんたも難儀してきたんすね。
俺にはなかった未来だ。
んで、もひとつ。
あいつは何者なんすか?」
「薄々勘付いてきてるんじゃないか?
彼は我々と同じ人間だよ。最初はね。
元々、死んだ人は転生などしない。様々な別世界、別の選択肢を取っていた場合の世界に移動するだけなのだよ。
そしてそれを何度も繰り返して魂の炎が完全に潰えた時に初めて人は世に言うあの世に至ると言うわけだ。
そしてその際に人は人ではないものに変わっていく。
天使はあくまでも職業名だ。
我々も人が言う存在なら神に等しい。
少し話がズレたが、彼は邪神だ。
正確には、死を迎える度にそれはそれは恐ろしい邪神と化していったんだよ…。
檜山くんの邪神など生ぬるいくらいだ。
何度も周りに先に死なれ1人置いてかれるような人生を繰り返し、生きる事を何度も諦め、そして寿命を全うするまで生きたと思えば、その人生を思い返して苦悶に絶望するようなそんな人生だ。
私自身が多くの人生を経て神になったあと、世話になったからと彼の元に降り立ってみた。
そして、彼が数多くの世界で辿った人生もほとんど全て見てきた。
結論から言えば、彼の人生に一度も幸福の2文字はなかった。
あまりにも酷いと思い、私は彼の恩に報いる為にも今回の事態への選択肢を取ったのだ。
今の彼の存在が、世界が決めた流れに対する矛盾というなら私は抗って見せよう。
たとえ我が身が消えようとも、私が彼を一度だけでも幸福に導いてやるさ。
彼は私にそれだけの事をしてくれているのだから。」
「じゃあ本当にこの世界の麻生くんはかなりの特異例と言う事みたいっすね。
俺の未来では逆に麻生くんは生きてはいたんすから…。」
レイヤード(白)は静かに語り始めた。
彼が何故ここまで彼に肩入れする事にしたのかのその一部始終を…。
あれが、【自分以外は全てこの世界に不要】となっていればどうなっていたことか…。」
「その未来は既にあったんすよ。
だから、俺がこの時代に来てあんたを消そうとしたんす。
そしたらあいつもこの世界に降りてきたってところだったんすかねぇ?
ま、結果オーライっすよ。
最悪の未来は回避されたんすから。
なんにせよ、この世界はあんたの介入で先の見えないめちゃくちゃっぷりっす。
あんたはどうか知らないっすけど、もともと俺には未来視の力もあったんすよ。
正確には未来にいる自分に意識をつないで未来を視るって力なんすけど、檜山くん事件が発生した位から見えなくなったんすよ。
あんたと別れて間もない時はまだ見れたんすけどね…。」
「それはつまり、この世界の未来に君はいないということか?」
「それなら1秒先くらいは見える筈なんすよ。
今の俺には1秒先すら読めない。
つまりそれだけ未来が不確定で曖昧なものになってるっつー事だと思うんすよ。」
「なるほど…。」
「考えうるのはあんたの介入により2つの世界…もしかしたらもっとかもっすけど、世界がくっついてしまってるんじゃないかなってことっす。
今は、都合よく辻褄が合ってるからなんとかなってんだと思うんすよ。
これが、タイムパラドックスどころじゃない世界的な矛盾が起こったらはてさてどうなるか…。」
「私の見解なら、対消滅しているだろうな。
現に我々が共倒れしてないのも奇跡と言える…。
本来なら互いの力や存在がぶつかり合い消えていても不思議ではなかった筈だ。」
「そこ…なんすよねぇ。
麻生礼一郎。あいつ…なにものなんすか?
あいつ、少なくともこの世界では何もなく将来は孤独死するようなどこにでもいる非モテだったんすよ。
あんたが連れてきたアイツは何もかもが異常だ。」
「私が今まで見てきた世界でも元々そうさ。
彼は、とても不幸な人だよ。
彼に関わった周りの人がことごとく死んでいくような世界にずっといた。
まるで、人の死を運命のように引き寄せているのではないかと彼は苦悶し続けた事もあった。
私も、彼に関わったから早死にしたんじゃないかと死後の彼に言われた事もあった。
謝られた事もあったよ。
私はね、何度も繰り返していくうちにそんな彼を見ていられなくなった。
その結果が今というわけだ。」
「そりゃつまり、下手したら茉莉花ちゃんや梨花ちゃん、檜山くんや細河先生が不幸な死に方をしてもおかしくはないと?」
「そうならない為に私が共にいる。
幸運操作もその為に行なっていたものだ。」
「んじゃ、本題。
あいつ、18までに恋人出来なかったら死ぬようにしてたんすよね?その理由は?」
「毎度、愛を知らぬまま死んだあいつの末路や至る先が悲惨で恐ろしいからさ。
だから、愛を教えてやりたかっただけだよ。
ただ、あまりにも簡単にくっつかれてもつまらないからちょっかい出したらこうなってしまったのだよ。」
「なるほどねぇ。あんたも難儀してきたんすね。
俺にはなかった未来だ。
んで、もひとつ。
あいつは何者なんすか?」
「薄々勘付いてきてるんじゃないか?
彼は我々と同じ人間だよ。最初はね。
元々、死んだ人は転生などしない。様々な別世界、別の選択肢を取っていた場合の世界に移動するだけなのだよ。
そしてそれを何度も繰り返して魂の炎が完全に潰えた時に初めて人は世に言うあの世に至ると言うわけだ。
そしてその際に人は人ではないものに変わっていく。
天使はあくまでも職業名だ。
我々も人が言う存在なら神に等しい。
少し話がズレたが、彼は邪神だ。
正確には、死を迎える度にそれはそれは恐ろしい邪神と化していったんだよ…。
檜山くんの邪神など生ぬるいくらいだ。
何度も周りに先に死なれ1人置いてかれるような人生を繰り返し、生きる事を何度も諦め、そして寿命を全うするまで生きたと思えば、その人生を思い返して苦悶に絶望するようなそんな人生だ。
私自身が多くの人生を経て神になったあと、世話になったからと彼の元に降り立ってみた。
そして、彼が数多くの世界で辿った人生もほとんど全て見てきた。
結論から言えば、彼の人生に一度も幸福の2文字はなかった。
あまりにも酷いと思い、私は彼の恩に報いる為にも今回の事態への選択肢を取ったのだ。
今の彼の存在が、世界が決めた流れに対する矛盾というなら私は抗って見せよう。
たとえ我が身が消えようとも、私が彼を一度だけでも幸福に導いてやるさ。
彼は私にそれだけの事をしてくれているのだから。」
「じゃあ本当にこの世界の麻生くんはかなりの特異例と言う事みたいっすね。
俺の未来では逆に麻生くんは生きてはいたんすから…。」
レイヤード(白)は静かに語り始めた。
彼が何故ここまで彼に肩入れする事にしたのかのその一部始終を…。
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