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並列世界の矛盾ーパラドクスー
ネットの友達で10年以上交流のある人って本当に貴重。
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我々はいつも通り麻生くんの自宅で合流していた。
そこで嶺二に檜山くんについてのあれやこれを聞いてみる。
「んー、そっすねぇ…。
俺が知る悪神と化した後の彼は【この世界に相応しくないものを排除する。】って言う願いから【異界送り】の力を手に入れてしまった感じっすね。
んで、兄さん方が見たのは鬼面を被った魔物のような存在だったと…。
うーん…。少なくとも俺の知る悪神と化した檜山くんこと【シェイド】と呼ばれた悪神は鬼面なんか被ってなかったんですけどね。
もしかしたら、その存在が後々檜山くんを乗っ取って悪神化しちまうとかなんすかねぇ?」
「なんすかねぇ?と言われても私の知る世界の彼にはそんな未来は一度たりともなかったのだよ…。
この世界は完全に私がかつて認知したことのない世界だ…。
かと言ってどうも君が見てきた未来ともズレている…。
私や彼の干渉により知らずのうちに別の世界になってる可能性の方が大きいようだな。」
「だと思いますよ。
そもそも、俺が見てきた未来に鈴夜 騰鵺なんつー変わった人間も見たことがない。
これについてはそっちの見てきた世界の存在っしょ?
あんたが干渉したことで世界が混ざり始めてるとかじゃないんすかぁ?なにやらかしてくれちゃってんすかぁもうー。」
「私もそこについてはなにも言えんよ。
確たる証拠もないが、少なくともこの世界にいる彼は私の知る世界の彼だ。
また、彼はいかなる世界においてもその存在がブレる事のない所謂特異点のような存在であった。
さて、改めて彼から遣わされた神々と精霊の諸君。
自体は先程話した通りだ。よろしく頼もう。」
私は鈴夜より遣わされた、大剣の持ち手に錫杖が付いたものを持つ黒い翼に黒髪長髪の男の天狗、緑色の髪の女の精霊、赤いドレスを纏った炎の精霊に声をかける。
「話は粗方理解した。
ひとまず、今回はその悪霊をただ払えば良いと言うだけの話ではなさそうだな。
もし、その悪霊が人を異界に送ってるならそう言った人たちを連れ戻してから討伐しないと、こちらの世界から知らずのうちに存在が消されてしまうことになる…。
なんとまぁ、蓋を開けばとんでもない依頼をかけて来たものだな…。ミレーヌさんよ…。」
綾里がせかせかと携帯に文字を打ち出す。
ミレーヌ様の言葉は今は彼女が口から発するか、携帯に打ち込むかで伝えてきている。
『どうやら、本当に私たちのかつて存在していた世界と同一の方々達のようですね。
貴方がたならたとえ世界を渡ろうと仕える主人は同一…。私の知る貴方達であると思っていました。
それに加え、記憶においては過去も未来も知っている様子ですね。』
「あぁ、その通りだ。だからこそ俺たちも驚いたよ。気がついたら俺たちの知る世界と何かズレた感覚のするこの世界。
そして、そこにおいて俺たちが未来で出会うはずの天使ミレーヌがこの時間に存在してるんだから。
まさしくどんな冗談だよ…と。
しかも、とうの主人は世界が変わった事すら認知できていない。
恐らくは、他にも別世界からこちらに知らないうちに移動してる人間がいるかもしれないな。」
『どうでしょう?貴方がたの力を借りる事で、こちら側から異界に渡ってしまったものを連れ戻せるとは思いますか?』
「結論から言おう。
魂のみならいくらでも可能だ。
だが、肉体ごととなると俺たちの存在する次元と軸がズレてる以上触れることができない。
正直なところ、その先生とやらの肉体をまず探し出してもらい、もし魂がどこかへ移動してしまってるならその魂を連れ戻すという形でしか俺たちの力は貸せないと思うぞ。」
『なるほど…。
となると、やはり私たちが力を取り戻さねば…。』
ポンっと何かを思いついたように手を叩く緑色の髪の精霊。
「あぁ、なるほど…。
君らの力が異界に送られてしまっているなら取り戻せるかも知れないな。
それもいわば君たちの魂の一部のようなものだからな。
やってみるか…。」
「とりあえず何かあったら嫌だし広い場所かつ外へ行こう…。
仮に力が戻った瞬間暴発して全員まとめて異世界入りなど今時トラック運転手もびっくりな異世界入りになりかねんからな…。」
「それは確かに…。では、なんかこうそう言う場所に案内してくれ。」
というわけで、我々はいつもの山に向かうのであった。
そこで嶺二に檜山くんについてのあれやこれを聞いてみる。
「んー、そっすねぇ…。
俺が知る悪神と化した後の彼は【この世界に相応しくないものを排除する。】って言う願いから【異界送り】の力を手に入れてしまった感じっすね。
んで、兄さん方が見たのは鬼面を被った魔物のような存在だったと…。
うーん…。少なくとも俺の知る悪神と化した檜山くんこと【シェイド】と呼ばれた悪神は鬼面なんか被ってなかったんですけどね。
もしかしたら、その存在が後々檜山くんを乗っ取って悪神化しちまうとかなんすかねぇ?」
「なんすかねぇ?と言われても私の知る世界の彼にはそんな未来は一度たりともなかったのだよ…。
この世界は完全に私がかつて認知したことのない世界だ…。
かと言ってどうも君が見てきた未来ともズレている…。
私や彼の干渉により知らずのうちに別の世界になってる可能性の方が大きいようだな。」
「だと思いますよ。
そもそも、俺が見てきた未来に鈴夜 騰鵺なんつー変わった人間も見たことがない。
これについてはそっちの見てきた世界の存在っしょ?
あんたが干渉したことで世界が混ざり始めてるとかじゃないんすかぁ?なにやらかしてくれちゃってんすかぁもうー。」
「私もそこについてはなにも言えんよ。
確たる証拠もないが、少なくともこの世界にいる彼は私の知る世界の彼だ。
また、彼はいかなる世界においてもその存在がブレる事のない所謂特異点のような存在であった。
さて、改めて彼から遣わされた神々と精霊の諸君。
自体は先程話した通りだ。よろしく頼もう。」
私は鈴夜より遣わされた、大剣の持ち手に錫杖が付いたものを持つ黒い翼に黒髪長髪の男の天狗、緑色の髪の女の精霊、赤いドレスを纏った炎の精霊に声をかける。
「話は粗方理解した。
ひとまず、今回はその悪霊をただ払えば良いと言うだけの話ではなさそうだな。
もし、その悪霊が人を異界に送ってるならそう言った人たちを連れ戻してから討伐しないと、こちらの世界から知らずのうちに存在が消されてしまうことになる…。
なんとまぁ、蓋を開けばとんでもない依頼をかけて来たものだな…。ミレーヌさんよ…。」
綾里がせかせかと携帯に文字を打ち出す。
ミレーヌ様の言葉は今は彼女が口から発するか、携帯に打ち込むかで伝えてきている。
『どうやら、本当に私たちのかつて存在していた世界と同一の方々達のようですね。
貴方がたならたとえ世界を渡ろうと仕える主人は同一…。私の知る貴方達であると思っていました。
それに加え、記憶においては過去も未来も知っている様子ですね。』
「あぁ、その通りだ。だからこそ俺たちも驚いたよ。気がついたら俺たちの知る世界と何かズレた感覚のするこの世界。
そして、そこにおいて俺たちが未来で出会うはずの天使ミレーヌがこの時間に存在してるんだから。
まさしくどんな冗談だよ…と。
しかも、とうの主人は世界が変わった事すら認知できていない。
恐らくは、他にも別世界からこちらに知らないうちに移動してる人間がいるかもしれないな。」
『どうでしょう?貴方がたの力を借りる事で、こちら側から異界に渡ってしまったものを連れ戻せるとは思いますか?』
「結論から言おう。
魂のみならいくらでも可能だ。
だが、肉体ごととなると俺たちの存在する次元と軸がズレてる以上触れることができない。
正直なところ、その先生とやらの肉体をまず探し出してもらい、もし魂がどこかへ移動してしまってるならその魂を連れ戻すという形でしか俺たちの力は貸せないと思うぞ。」
『なるほど…。
となると、やはり私たちが力を取り戻さねば…。』
ポンっと何かを思いついたように手を叩く緑色の髪の精霊。
「あぁ、なるほど…。
君らの力が異界に送られてしまっているなら取り戻せるかも知れないな。
それもいわば君たちの魂の一部のようなものだからな。
やってみるか…。」
「とりあえず何かあったら嫌だし広い場所かつ外へ行こう…。
仮に力が戻った瞬間暴発して全員まとめて異世界入りなど今時トラック運転手もびっくりな異世界入りになりかねんからな…。」
「それは確かに…。では、なんかこうそう言う場所に案内してくれ。」
というわけで、我々はいつもの山に向かうのであった。
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