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並列世界の矛盾ーパラドクスー
恋のライバルもだけどさ、敵って案外すぐ近くにいる物だよね。
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「……。ねぇ、御劔先輩。
今私の頭にどっと入ってきた記憶。
これって…。」
「そう、君が礼一郎くんと共に歩んできたり歩む筈だった世界の礼一郎くんが死を迎えるまでの君と共にいた時の記憶が大半だと思う。
君が先に死ぬか、彼が先に死んでいたかは世界にもよるがね。比較的、後者の方が多かった筈だ。私の知る限りは…。」
「うん…。そうみたいね。
兄様はこの記憶は…?」
「思い出さない方が良いものばかりだ。
夢も含めて封じてある。」
「………。そう…。
確かに、思い出して欲しくない規模の記憶の方が多いわね。
貴方が力を取り戻したら、私も同じようにお願いして良いかしら?覚えていたくない記憶が多過ぎるわ…。」
「承知した。
さて、どうだろう?
目を閉じたときに私達の魂の色のようなものを感じ取れるかい?」
「うん、ハッキリと。
これで私達が会った細河先生を探すのね?」
「あぁ、その通りだ。意識を傾ければ世界規模でも探せる筈だ。」
「むぅーーん…。本当にいるの…?
ぜんっぜんみつかんないんだけど…。
試しに母様と父様探してみたらすぐ見つかったけど、先生が見つからない…。
こんな事あるの…?」
「…。やはりか…。
最悪のケースを想定していなかったわけではないが…。」
「おい、レイヤード。これって…。」
「あぁ、異界渡だ。
我々の今いるこの世界から何処かへ渡ってしまった恐れがある…。
完全に渡りきれば、この世界には初めから存在しなかったものになってしまう。
さて…、どうしたものかね…。」
「だいぶやばい事になって来てるんじゃないっすか?それってつまりこのまま時間が経てば俺らからの記憶も消えて完全にこっち側に戻せなくなるって事っすよね?」
「あぁ、その通りだ。
力が戻れば、すぐなのだがな…。」
「となると、異界渡りの力を持つ人を探すしかないとかそういう事になるのでしょうか?」
「この力、そう簡単に手に入るものではない。
それこそ、私だからこそ手に入れたような力だ。」
「なるほどなぁ。て事はまさかとは思うが…。」
「まて、その可能性も考えなかったわけではないが考えたくはないぞ。」
「いやでもそうとしか思えないだろう。
別の世界のお前が連れ去ったとかそう言うのじゃないのか?」
「はぁ…。敵はまた私という事か…。
以前は君が覚醒したのもあり事無きを得たが、今回は我々は完全に力を失っているのだ。対抗できるものではないぞ。」
「そう考えるのは流石に自分に酔っちゃってる感あると思うっすよぉ?
まぁ、あんたの世界じゃどうか知らないっすけど少なくとも俺は1人だけ心当たりがあるっすから。」
「ほう?誰だね?そいつは。」
「檜山っすよ。檜山景信。」
「………。はぁ!?バカな!彼にそんな力は!」
「忘れたとは言わせないすよ。
あんたが彼の人生を変えちまったんですよ。
茉莉花ちゃんと出会わせた幸運操作の影響が死ぬまで続くんですよ。
その結果、彼もこの世界に居たくないって言う想いが高まったまま亡くなって、異界渡りの力を持つ悪神になるんすよ。
まぁ、今から何百年は先の話なんで気にしてなかったんすけどねぇ。
これは俺みたいに現代に戻って来ちゃった感じすかね?」
………………。
「彼と話してみるより他あるまい…。」
「あぁ、なるほど…。檜山先輩の魂の近くに紫色でメラメラしてる奴がいるけどこいつかな…?」
「さて、また君のような厄介な敵でないことを願いたいな…。」
「あんた、恨み買いすぎっすよ…。」
果たして敵は本当に檜山先輩なのか…。
皆の不安は募るばかりなのであった。
今私の頭にどっと入ってきた記憶。
これって…。」
「そう、君が礼一郎くんと共に歩んできたり歩む筈だった世界の礼一郎くんが死を迎えるまでの君と共にいた時の記憶が大半だと思う。
君が先に死ぬか、彼が先に死んでいたかは世界にもよるがね。比較的、後者の方が多かった筈だ。私の知る限りは…。」
「うん…。そうみたいね。
兄様はこの記憶は…?」
「思い出さない方が良いものばかりだ。
夢も含めて封じてある。」
「………。そう…。
確かに、思い出して欲しくない規模の記憶の方が多いわね。
貴方が力を取り戻したら、私も同じようにお願いして良いかしら?覚えていたくない記憶が多過ぎるわ…。」
「承知した。
さて、どうだろう?
目を閉じたときに私達の魂の色のようなものを感じ取れるかい?」
「うん、ハッキリと。
これで私達が会った細河先生を探すのね?」
「あぁ、その通りだ。意識を傾ければ世界規模でも探せる筈だ。」
「むぅーーん…。本当にいるの…?
ぜんっぜんみつかんないんだけど…。
試しに母様と父様探してみたらすぐ見つかったけど、先生が見つからない…。
こんな事あるの…?」
「…。やはりか…。
最悪のケースを想定していなかったわけではないが…。」
「おい、レイヤード。これって…。」
「あぁ、異界渡だ。
我々の今いるこの世界から何処かへ渡ってしまった恐れがある…。
完全に渡りきれば、この世界には初めから存在しなかったものになってしまう。
さて…、どうしたものかね…。」
「だいぶやばい事になって来てるんじゃないっすか?それってつまりこのまま時間が経てば俺らからの記憶も消えて完全にこっち側に戻せなくなるって事っすよね?」
「あぁ、その通りだ。
力が戻れば、すぐなのだがな…。」
「となると、異界渡りの力を持つ人を探すしかないとかそういう事になるのでしょうか?」
「この力、そう簡単に手に入るものではない。
それこそ、私だからこそ手に入れたような力だ。」
「なるほどなぁ。て事はまさかとは思うが…。」
「まて、その可能性も考えなかったわけではないが考えたくはないぞ。」
「いやでもそうとしか思えないだろう。
別の世界のお前が連れ去ったとかそう言うのじゃないのか?」
「はぁ…。敵はまた私という事か…。
以前は君が覚醒したのもあり事無きを得たが、今回は我々は完全に力を失っているのだ。対抗できるものではないぞ。」
「そう考えるのは流石に自分に酔っちゃってる感あると思うっすよぉ?
まぁ、あんたの世界じゃどうか知らないっすけど少なくとも俺は1人だけ心当たりがあるっすから。」
「ほう?誰だね?そいつは。」
「檜山っすよ。檜山景信。」
「………。はぁ!?バカな!彼にそんな力は!」
「忘れたとは言わせないすよ。
あんたが彼の人生を変えちまったんですよ。
茉莉花ちゃんと出会わせた幸運操作の影響が死ぬまで続くんですよ。
その結果、彼もこの世界に居たくないって言う想いが高まったまま亡くなって、異界渡りの力を持つ悪神になるんすよ。
まぁ、今から何百年は先の話なんで気にしてなかったんすけどねぇ。
これは俺みたいに現代に戻って来ちゃった感じすかね?」
………………。
「彼と話してみるより他あるまい…。」
「あぁ、なるほど…。檜山先輩の魂の近くに紫色でメラメラしてる奴がいるけどこいつかな…?」
「さて、また君のような厄介な敵でないことを願いたいな…。」
「あんた、恨み買いすぎっすよ…。」
果たして敵は本当に檜山先輩なのか…。
皆の不安は募るばかりなのであった。
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