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君、死にたもうことなかれ。
それは多分私にとっては過去の出来事だが、君にとっては多分明日の出来事だ
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コスプレ入店可の店と言うものはここ最近では、珍しいものではない。
市の意向もありそういうものが増えたのは実に面白いがよもやこのような形で利用する羽目になろうとは思わなかったな…。
私はこのセクスィー女優顔負けの花魁ファッションの猫神と所謂メイド喫茶に入店し、アイスコーヒーとミルクを頼む。
……。ミルクで大丈夫だよな…?猫だし…。
「さて、猫神。
事態が急変した所でお互いの知り得る情報を一度整理しよう。」
「そうだなレイヤード。
流石に事態が恐ろしいことになって来ている気がしているのでな…。」
私はコーヒーにガムシロップとミルクを注ぎ一口飲んでから彼女に改めて向き合う。
「まず、この世界は本来であれば私の作り出した妄想の世界…。
さらに言えば、私が本の形で紡いでいた通りにある程度であれば事が運ぶ筈であった。
また、私が以前に麻生礼一郎と共に存在して居た世界から何人か彼に関わった人間を連れ込み、想像した世界であった筈なのだ。
君もそのうちの1人だ。」
「ふむ、まずそこに関しての私の考察は1つ。と言うより、今まで得られている情報では明らかにそうだった。
ご主人の身の回りで死んで居たものを引き込んだな?
ご主人の両親、茉莉花、梨花、そしてワシ…。
私の知り得る範囲ならワシを除いてこの4人だのう?」
「その通りだ。
なにせ、成仏せず彼の周りを長年うろうろして居たものなのでな。
都合よく私の世界の住人として利用させてもらった。
その上で、各々が満足したらそのまま成仏させて我が世界からフェードアウト…。
ヒロインを攻略する事で1人ずつ満足して成仏していく…。
そのような算段だったのだよ。
彼をこの世界に引き入れた際の18歳までに恋人ができなければ死ぬ…と言う条件は、失敗すれば彼が元の世界に戻ってしまうことの暗喩だ。
無論、死ぬ事などない。
私は私の役割として、彼の周りの魂を天に返すのに手っ取り早く彼を利用しただけさ。
物語を紡ぐと言う形でね。
外側の彼はただ眠っている。
その筈なのだよ。
こちら側の世界は本来なら文字通りの意味でも夢物語と言うわけなのだ。」
「なるほどのう。
して、ワシはこの世界では猫のまま。
梨花と両親は人のまま…。
ではなぜ、茉莉花は人になった?」
「そこに関しては、この世界に存在して居た茉莉花が人であったからだ。
ちなみに元々の世界では名もなき猫であった。
だが、この世界の彼女と同じ魂の器はなぜか人であったのだよ。
だから、この世界に魂を移動させて来た際にその器である茉莉花に魂が移ったのだ。
他のものも同様だ。
その器はこの世界における同じ魂の器であったと言うだけだ。
ゆえに、君に関してはこの世界においては本来は神様ではないと言うことになる。
だが、その力がなぜかこの世界では現界出来ている。
私も同様だ。
夢物語であったこの世界故に、神霊級の霊格があればその力を現界し具現化できる。
だが、しかしだ…。」
「レイヤード。お前はその翼を失いつつあるな?反面、ワシはこのように神としての力を取り戻した。」
「そこも不可解だ。
確かに君は私がこの世界に引き入れた時点では猫神としての力など取り戻しておらず、ただの獣でしかなかった。
そもそも、猫神であると気付いていればわざわざ引き入れんよ…。
面倒だからな。
さて、私が話せる範囲はこの程度か…。
次は君の番だ。なぜ我が真名を知っている?」
「ふむ…。それはのう、お前がこの世界を作ったであろうその1日目にこの世界で出会った女にじゃ。
奴の正体はまだわからぬ。
ただ、奴はワシの声を即座に聞き分けそして直接ではなく心の声で会話して来た。
こいつ!?直接脳内に!?って言う奴じゃな…。」
「誰だ?その女は…?」
「綾里 美玲。ご主人の幼馴染を名乗る女じゃよ。」
「なんだと…?馬鹿な!
彼女はまだ元の世界において存命している!
この世界にいる事自体はおかしいことではない。
だが、知ってる筈はないのだ。
私ですら知らない、君が猫神である事も、ましてや我が真名など…!
いや、まて…そもそもこの世界は時間軸的には私と麻生礼一郎が元いた世界の過去…。
まさか、彼女には我々が元いた世界の…並列世界の未来の記憶があるのか…?」
「そうじゃのう。だからその先は直接本人に聞けば良いのではないか?
のう、綾里美玲。」
猫神の指差す先にひとりの女。
「ふふ、さっきから面白い話をしているなぁと思ってたんだけど、あまりに面白いから聴き入っちゃった。
でもごめんね。私まだバイト中だからあと30分は時間潰しておいてもらえるかな?」
「あと30分だと…?おい、ふざけるな…。
30分も待てるか…!
ここのメイド喫茶はテーブルチャージor1時間ワンオーダー制だろうが!」
「テーブルチャージ料はちゃんと払ってくださいね♪」
「くそ…!策士か貴様…!!バイトの鏡だな!」
30分後。
泣く泣く私はテーブルチャージ料を兼ねたワンオーダーとしてのケーキセットを頼み、今度は綾里美玲を交えての談義を始めることにしたのである。
さて…聞かせてもらおうか。
君が知るこの世界の秘密を。
市の意向もありそういうものが増えたのは実に面白いがよもやこのような形で利用する羽目になろうとは思わなかったな…。
私はこのセクスィー女優顔負けの花魁ファッションの猫神と所謂メイド喫茶に入店し、アイスコーヒーとミルクを頼む。
……。ミルクで大丈夫だよな…?猫だし…。
「さて、猫神。
事態が急変した所でお互いの知り得る情報を一度整理しよう。」
「そうだなレイヤード。
流石に事態が恐ろしいことになって来ている気がしているのでな…。」
私はコーヒーにガムシロップとミルクを注ぎ一口飲んでから彼女に改めて向き合う。
「まず、この世界は本来であれば私の作り出した妄想の世界…。
さらに言えば、私が本の形で紡いでいた通りにある程度であれば事が運ぶ筈であった。
また、私が以前に麻生礼一郎と共に存在して居た世界から何人か彼に関わった人間を連れ込み、想像した世界であった筈なのだ。
君もそのうちの1人だ。」
「ふむ、まずそこに関しての私の考察は1つ。と言うより、今まで得られている情報では明らかにそうだった。
ご主人の身の回りで死んで居たものを引き込んだな?
ご主人の両親、茉莉花、梨花、そしてワシ…。
私の知り得る範囲ならワシを除いてこの4人だのう?」
「その通りだ。
なにせ、成仏せず彼の周りを長年うろうろして居たものなのでな。
都合よく私の世界の住人として利用させてもらった。
その上で、各々が満足したらそのまま成仏させて我が世界からフェードアウト…。
ヒロインを攻略する事で1人ずつ満足して成仏していく…。
そのような算段だったのだよ。
彼をこの世界に引き入れた際の18歳までに恋人ができなければ死ぬ…と言う条件は、失敗すれば彼が元の世界に戻ってしまうことの暗喩だ。
無論、死ぬ事などない。
私は私の役割として、彼の周りの魂を天に返すのに手っ取り早く彼を利用しただけさ。
物語を紡ぐと言う形でね。
外側の彼はただ眠っている。
その筈なのだよ。
こちら側の世界は本来なら文字通りの意味でも夢物語と言うわけなのだ。」
「なるほどのう。
して、ワシはこの世界では猫のまま。
梨花と両親は人のまま…。
ではなぜ、茉莉花は人になった?」
「そこに関しては、この世界に存在して居た茉莉花が人であったからだ。
ちなみに元々の世界では名もなき猫であった。
だが、この世界の彼女と同じ魂の器はなぜか人であったのだよ。
だから、この世界に魂を移動させて来た際にその器である茉莉花に魂が移ったのだ。
他のものも同様だ。
その器はこの世界における同じ魂の器であったと言うだけだ。
ゆえに、君に関してはこの世界においては本来は神様ではないと言うことになる。
だが、その力がなぜかこの世界では現界出来ている。
私も同様だ。
夢物語であったこの世界故に、神霊級の霊格があればその力を現界し具現化できる。
だが、しかしだ…。」
「レイヤード。お前はその翼を失いつつあるな?反面、ワシはこのように神としての力を取り戻した。」
「そこも不可解だ。
確かに君は私がこの世界に引き入れた時点では猫神としての力など取り戻しておらず、ただの獣でしかなかった。
そもそも、猫神であると気付いていればわざわざ引き入れんよ…。
面倒だからな。
さて、私が話せる範囲はこの程度か…。
次は君の番だ。なぜ我が真名を知っている?」
「ふむ…。それはのう、お前がこの世界を作ったであろうその1日目にこの世界で出会った女にじゃ。
奴の正体はまだわからぬ。
ただ、奴はワシの声を即座に聞き分けそして直接ではなく心の声で会話して来た。
こいつ!?直接脳内に!?って言う奴じゃな…。」
「誰だ?その女は…?」
「綾里 美玲。ご主人の幼馴染を名乗る女じゃよ。」
「なんだと…?馬鹿な!
彼女はまだ元の世界において存命している!
この世界にいる事自体はおかしいことではない。
だが、知ってる筈はないのだ。
私ですら知らない、君が猫神である事も、ましてや我が真名など…!
いや、まて…そもそもこの世界は時間軸的には私と麻生礼一郎が元いた世界の過去…。
まさか、彼女には我々が元いた世界の…並列世界の未来の記憶があるのか…?」
「そうじゃのう。だからその先は直接本人に聞けば良いのではないか?
のう、綾里美玲。」
猫神の指差す先にひとりの女。
「ふふ、さっきから面白い話をしているなぁと思ってたんだけど、あまりに面白いから聴き入っちゃった。
でもごめんね。私まだバイト中だからあと30分は時間潰しておいてもらえるかな?」
「あと30分だと…?おい、ふざけるな…。
30分も待てるか…!
ここのメイド喫茶はテーブルチャージor1時間ワンオーダー制だろうが!」
「テーブルチャージ料はちゃんと払ってくださいね♪」
「くそ…!策士か貴様…!!バイトの鏡だな!」
30分後。
泣く泣く私はテーブルチャージ料を兼ねたワンオーダーとしてのケーキセットを頼み、今度は綾里美玲を交えての談義を始めることにしたのである。
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君が知るこの世界の秘密を。
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