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2 開幕①
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王家・カルス家が第二子にして第一王子、ダインバルドは
自らの傍にお気に入りの伯爵令嬢・イルミベルを侍らせてニヤニヤと目前の女をを凝視する。
目の前にて弱々しく首を横に振る女はセルシア・エルヴィン。
4歳の頃よりの自身の婚約者だった女だ。
紅蓮の髪に蜂蜜色の大きな瞳。
幼き頃はそれこそその人形めいた整った顔立ちに一目で惹かれた、
それは否定しない。
だからこそ王妃たる母にねだり、婚約者として据えた。
否、第一王子たる自分が据えてやったというべきだろうなここは。
何せ私の婚約者ということは未来の王の妃なのだから。
だが成長するほどに人形めいた端正さは増し、同時に賢しさもいや増し。
学園在学中常に首席。
私を下に置き続けたのは身の程知らずという以外に言葉がない。
イルミベルのように可愛らしく媚びてくるならまだ可愛げもあろうが、
侯爵家当主と長男が留守にしている際何度も屋敷へと単身向かい、
寵を与えてやろうと身体を求めても拒絶し続け部屋にもあげようとしなかった。
私はこの国の王族、それも第一王子だというのに!!
やはり母親がいない女というのはこれだから。
女としての悦びを将来の夫となる私から与えられる機会を自ら拒否するなどなんたる傲慢。
男に求められたなら全身全霊で尽くすのが女の在り方だというのを母親から教えられることなく育つとこうも厚かましい存在に成長するのかと、何度苛立ったことか。
しかしそれも今日で終わりだとほくそ笑む。
たった今小賢しいセルシアに、婚約破棄を突き付けたのだから。
理由?
そんなものなんでもいい。
差し当たっては私の側近らに色目を使って誘惑を繰り返し、
それを咎めたイルミベルに暴力を振るったとした。
側近らは勿論、イルミベルへの暴力や学園で他貴族家の者らに暴言を吐いていたなどの証言・目撃者の買収と確保は既に済んでいる。
いくら頭が回っても、所詮は教材知識を脳に詰めているだけの女だ。
それが事実であろうがなかろうが、
世の中、金と権力でどうとでもなるのだということをわかっていない。
自分はそんなことはやっていないと未だに首を振り続けているのがなんとも滑稽だ。
そんな様子を見て、次いでそれらの罪により貴族として不適格と貴族籍の剥奪も言い渡してやった。
その瞳が恐怖に引き攣るのがなんとも心地よい。
が、それでもなお、その場でみっともなく泣き崩れることもなく、
否定を続けるセルシアに僅かに苛立ちが再び込み上げてきた。
そろそろ父上や母上達も入場してくる頃合い。
さっさとこの女を退場させて、イルミベルと舞踏会を楽しみたい。
これだけの舞台で婚約破棄と貴族籍剥奪を宣告されたのだ。
何も知らない貴族どもとて愚かなる自身の行いによって失墜した傷物女など、
例え容姿が整っていようが救いの手など伸ばすまい?
と、セルシアに向けて近づいてくる二人の存在に気付く。
その二人の様子を目にしてニタリと更に笑いが込み上げる。
ゆったりとした、まるで急ぐことのない歩み。
娘が公衆の面前で断罪されているというのに口元には余裕の笑み。
目には怒りとも殺意とも取れる意志を宿して真っ直ぐ娘へと向かっている。
そんな二人を見て、これは追加で面白い喜劇が見られそうだと確信を抱いた。
自らの傍にお気に入りの伯爵令嬢・イルミベルを侍らせてニヤニヤと目前の女をを凝視する。
目の前にて弱々しく首を横に振る女はセルシア・エルヴィン。
4歳の頃よりの自身の婚約者だった女だ。
紅蓮の髪に蜂蜜色の大きな瞳。
幼き頃はそれこそその人形めいた整った顔立ちに一目で惹かれた、
それは否定しない。
だからこそ王妃たる母にねだり、婚約者として据えた。
否、第一王子たる自分が据えてやったというべきだろうなここは。
何せ私の婚約者ということは未来の王の妃なのだから。
だが成長するほどに人形めいた端正さは増し、同時に賢しさもいや増し。
学園在学中常に首席。
私を下に置き続けたのは身の程知らずという以外に言葉がない。
イルミベルのように可愛らしく媚びてくるならまだ可愛げもあろうが、
侯爵家当主と長男が留守にしている際何度も屋敷へと単身向かい、
寵を与えてやろうと身体を求めても拒絶し続け部屋にもあげようとしなかった。
私はこの国の王族、それも第一王子だというのに!!
やはり母親がいない女というのはこれだから。
女としての悦びを将来の夫となる私から与えられる機会を自ら拒否するなどなんたる傲慢。
男に求められたなら全身全霊で尽くすのが女の在り方だというのを母親から教えられることなく育つとこうも厚かましい存在に成長するのかと、何度苛立ったことか。
しかしそれも今日で終わりだとほくそ笑む。
たった今小賢しいセルシアに、婚約破棄を突き付けたのだから。
理由?
そんなものなんでもいい。
差し当たっては私の側近らに色目を使って誘惑を繰り返し、
それを咎めたイルミベルに暴力を振るったとした。
側近らは勿論、イルミベルへの暴力や学園で他貴族家の者らに暴言を吐いていたなどの証言・目撃者の買収と確保は既に済んでいる。
いくら頭が回っても、所詮は教材知識を脳に詰めているだけの女だ。
それが事実であろうがなかろうが、
世の中、金と権力でどうとでもなるのだということをわかっていない。
自分はそんなことはやっていないと未だに首を振り続けているのがなんとも滑稽だ。
そんな様子を見て、次いでそれらの罪により貴族として不適格と貴族籍の剥奪も言い渡してやった。
その瞳が恐怖に引き攣るのがなんとも心地よい。
が、それでもなお、その場でみっともなく泣き崩れることもなく、
否定を続けるセルシアに僅かに苛立ちが再び込み上げてきた。
そろそろ父上や母上達も入場してくる頃合い。
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何も知らない貴族どもとて愚かなる自身の行いによって失墜した傷物女など、
例え容姿が整っていようが救いの手など伸ばすまい?
と、セルシアに向けて近づいてくる二人の存在に気付く。
その二人の様子を目にしてニタリと更に笑いが込み上げる。
ゆったりとした、まるで急ぐことのない歩み。
娘が公衆の面前で断罪されているというのに口元には余裕の笑み。
目には怒りとも殺意とも取れる意志を宿して真っ直ぐ娘へと向かっている。
そんな二人を見て、これは追加で面白い喜劇が見られそうだと確信を抱いた。
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