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後日談:令嬢のその後
しおりを挟む本編に掲載しようか迷った末に後日談に修正した
ソリュー・ジノリのざまぁ(胸糞)回です。
NGな方は回避願います。
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(side:ソリュー)
ガラガラと、ガタついた車輪が回る。
歪みの強い車輪が走るのは、おそらく同じく舗装の甘い凸凹とした道。
おそらくとしかいえないのは、私が身を置いているのがこの歪んだ車輪を足に持つ馬車であり、本来存在する窓には板が打ち付けられて外を眺めることが叶わないから。
ーー例え見ることができたとしても、同時に罵声や石を浴びさせられるだろうが。
「なんで……なんで私が、こんな目に……っ」
こうして恨みつらみを独り言として呟くしか、今の私に自由はない。
…………
……………
公爵邸で捕らえられて騎士団員達に乱暴に城の牢へと連行・放り込まれ。
1ヶ月ほど味の殆どしないスープとパンを与えられ続けたことにひたすら文句を言いつつも食して命を繋ぎ。
そうして迎えた貴族裁判にて、私は有罪判決を受けた。
罪状は、高位貴族家への過度な干渉行動・発言をした不敬罪。
他家の客人に対する暴言・暴力に及んだ暴行罪。
虚言を真実であるかのように周囲に言を流布し、他家を貶めた侮辱罪。
自身より格上の貴族家当主をありもしない罪を論って自身と婚姻を迫るなどした脅迫罪。
勿論反論したわ!
私が如何に公爵様に相応しいか、
そうでなくとも侯爵家の長子として後継となるのが当然だとか!
あの女がどれほど公爵家に相応しからぬ身の上か!!
みんな、あの女に騙されていると。
あの女は確かに魔封じの手足枷をつけられた罪人なのだと!
今も自分が罪人だとバレたくないからこの場にいないのだと!
しかし。
弟からは私がどれほど横暴な振る舞いをしていたかを証言台でつらつらと語られ。
お父様からは次期を任せる器にあらずと他貴族達と陛下の御前で宣言され。
公爵閣下には客人ー、己の運命の番を害されかけたことを直接証言された。
聴衆からは何と愚かな!貴族の恥だと罵られ、
何故皆理解してくれないのだと苛立つ内に有罪が確定して、
私は異例のファティマ鉱山送りとなった。
貴族名簿より名を抹消された平民の犯罪奴隷として、
鉱山で働く男どもの慰み者として!
泣いて叫んだわ
何故私がとか、無実だと周囲に叫んだけれど、誰も取り合ってはくれなかった。
裁判の終了が宣言されて騎士らに引き摺られながら裁判場を後にする際、
丁度閣下のすぐ横を通った。
閣下は無表情だったが、ちらりとこちらを流し見て
「侯爵家長子として身の程を弁えた振る舞いを身に付けていれば
身を滅ぼさずに済んだものを、つくづく愚かな…。
死ぬまでに自分の罪が理解できるといいな……?」
裁判の場でさえ全く反省する態度を示さないお前には、きっと無理だろうがーー
氷よりなお冷たい声色が耳に届いたのを最後に、
私は裁判場を引き摺り出された。
……………
…………
そうして今は鉱山行きの、馬車の中。
身に纏うは、裾がほつれた薄汚れた布切れでできたダボダボの上下服。
「誰か助けて…お父様、閣下…私はジノリ侯爵家後継、よ…」
ひたすら、ただひたすらに呟く私の手足には。
あれだけ馬鹿にしたあの女が着けてた筈の、魔封じの手足枷。
凸凹道に身体は跳ねて。
目的の地へと辿り着くまで、
枷の鎖がじゃらじゃらと不快な音を鳴らし続けたーー
※ ※ ※
凡そ5年後ー、
元ジノリ侯爵家長子、平民犯罪奴隷・ソリュー、死亡。
検死によると、口腔内すべての歯は抜かれており、下腹部への裂傷多数。
腹が大きく膨らんだままの死であった。
杜撰な堕胎を何度となく経ての妊娠だったせいか、
腹の中の赤子はまともな形をしておらず、
彼女が死ぬ数日前には既に命は散っていたと医師の記録に記された。
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