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後日談:閣下は元罪人に溺れる(後)
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「……ん」
ふと瞼に眩しさを感じて眉を顰め、ゆっくりと目を開ける。
何度か瞬きをして、ああもう朝なのかと意識が覚醒していく。
(私…そう、昨日)
昨晩ついに彼ー…ジル様と身体を繋げたことを思い出し、起き抜けながら顔に血の気が上がる。
初めてのその行為は大変激しく、未知の快楽に身も世もなく乱れてしまったことが恥ずかしくて堪らない。
(あ、あんなに熱くて、硬くて…)
気持ちいいだなんて、今まで知らなかった。
彼の剛直が自身のあらぬところに入って激しく中を擦り上げるその快楽や感触までをもまざまざと思い出して身悶えしてしまう、と。
「……ディー」
「っジル様!?」
耳元で甘く響く掠れた低音にびくりと肩が跳ねる。
首を捻ると、後ろではジル様が面白そうに目を細めて私を見つめていた。
「~~~!」
完全に彼が同じ褥で寝ていたことを失念していた。
身体を繋げたことはこんなに明確に覚えているのに、まさかその後共に寝ていたことを忘れるだなんて!
「ふ、くく…おはよう、俺の愛しの番殿?」
ちゅ……と額に口付けを落とされて、
人は羞恥で死ねるかもしれないと益体もなく思ってしまった。
「ジル様…あまり、揶揄わないでくださいまし……」
「俺の番は恥ずかしがり屋だな。
が、ディー?ジル様ではなくジル、だ。
何度もそう呼ぶよう教えたろう……昨日の夜に」
「あ……」
………
…………
『んっあっあっあ!ジル様!ジル様ぁ!!』
『様じゃない…ジル、だっ!っほら…呼んで…?』
『ふぁあっ!激しくしちゃやぁ…っ、ジルぅ……っ!!』
『そうだッッもっと呼べ、ディー…もっとだ』
…………
………
しっかりと呼ぶまで中を散々激しく掻き回されたことまで思い出してしまい、
かぁぁぁ……と赤面してしまった。
「……ディー、朝からそんなに可愛い顔をするということは、
誘っているのか……?」
「え?……え、あの、ジル様…?」
「ほらまた。
……どうやらもう一度、しっかりと教え込む必要がありそうだなぁ」
(わわわっっ!?)
ググッとジル様が私にのしかかりかけたその時。
「はいはいおはようございます当主様奥方様ぁ!!
朝です起床時間です朝食の時間ですよーー!!」
「っララ!!?」
バァン!!と派手な音を立てて扉が開かれ、
ララ様がズンズンと寝室内へ乱入したことにより。
私はともすると迎えるはずだった甘く激しい行為から逃れたのだった。
ララ様に何やら小声で問答をしていたジル様は憮然とした面持ちで特大のため息を吐いたが、
私に向き直ると
「というわけで、我らが優秀な女官長殿からのお達しだ。
支度を整えてくるから一緒に朝食を取ろうか、ディー」
「はい!」
「……続きは夜に。いいね…?」
「……はい」
甘く笑う彼に、私も心からの笑顔と返事を贈ったのだった。
これから迎える彼との幸せな未来と、夜の甘い時間に胸を弾ませてーー。
おわり
※ ※ ※
(おまけ~あの時の二人~)
注:ディーに聞こえないよう二人とも小声で会話しております。
~~~~~~
「ララ貴様!…初夜明けだぞ!?もう少しゆとりをもった時間配分をだな…」
「だからこそさね、坊ちゃま。どうせ坊ちゃまのことだ、朝からも際限なくディー様に無体を働くおつもりだったんでしょが!」
「うっ…!だ、だがやっと手に入れたのだ!暫くは我慢がきかなくとも仕方な」
「だぁから男は分かってないのさ!
初めては女性の身体にはかなりの負担さ。
無理をしたらすぐ壊れるよ?
我慢のきかない猿程女に白けられるもんはないさね!
……それともなにか。坊ちゃまは初夜早々ディー様に冷たい目で見られたいのかねぇ?」
「…いや、だ」
「自重、だよ」
「……」
「…返事!」
「………ハイ」
==========================================
キレイなハピエンで読了したい読者様はここまで!
多少胸糞展開ややるせなさを許容できて尚且つ読みたい!という方のみ、
次話をお楽しみに~!
帆田より
ふと瞼に眩しさを感じて眉を顰め、ゆっくりと目を開ける。
何度か瞬きをして、ああもう朝なのかと意識が覚醒していく。
(私…そう、昨日)
昨晩ついに彼ー…ジル様と身体を繋げたことを思い出し、起き抜けながら顔に血の気が上がる。
初めてのその行為は大変激しく、未知の快楽に身も世もなく乱れてしまったことが恥ずかしくて堪らない。
(あ、あんなに熱くて、硬くて…)
気持ちいいだなんて、今まで知らなかった。
彼の剛直が自身のあらぬところに入って激しく中を擦り上げるその快楽や感触までをもまざまざと思い出して身悶えしてしまう、と。
「……ディー」
「っジル様!?」
耳元で甘く響く掠れた低音にびくりと肩が跳ねる。
首を捻ると、後ろではジル様が面白そうに目を細めて私を見つめていた。
「~~~!」
完全に彼が同じ褥で寝ていたことを失念していた。
身体を繋げたことはこんなに明確に覚えているのに、まさかその後共に寝ていたことを忘れるだなんて!
「ふ、くく…おはよう、俺の愛しの番殿?」
ちゅ……と額に口付けを落とされて、
人は羞恥で死ねるかもしれないと益体もなく思ってしまった。
「ジル様…あまり、揶揄わないでくださいまし……」
「俺の番は恥ずかしがり屋だな。
が、ディー?ジル様ではなくジル、だ。
何度もそう呼ぶよう教えたろう……昨日の夜に」
「あ……」
………
…………
『んっあっあっあ!ジル様!ジル様ぁ!!』
『様じゃない…ジル、だっ!っほら…呼んで…?』
『ふぁあっ!激しくしちゃやぁ…っ、ジルぅ……っ!!』
『そうだッッもっと呼べ、ディー…もっとだ』
…………
………
しっかりと呼ぶまで中を散々激しく掻き回されたことまで思い出してしまい、
かぁぁぁ……と赤面してしまった。
「……ディー、朝からそんなに可愛い顔をするということは、
誘っているのか……?」
「え?……え、あの、ジル様…?」
「ほらまた。
……どうやらもう一度、しっかりと教え込む必要がありそうだなぁ」
(わわわっっ!?)
ググッとジル様が私にのしかかりかけたその時。
「はいはいおはようございます当主様奥方様ぁ!!
朝です起床時間です朝食の時間ですよーー!!」
「っララ!!?」
バァン!!と派手な音を立てて扉が開かれ、
ララ様がズンズンと寝室内へ乱入したことにより。
私はともすると迎えるはずだった甘く激しい行為から逃れたのだった。
ララ様に何やら小声で問答をしていたジル様は憮然とした面持ちで特大のため息を吐いたが、
私に向き直ると
「というわけで、我らが優秀な女官長殿からのお達しだ。
支度を整えてくるから一緒に朝食を取ろうか、ディー」
「はい!」
「……続きは夜に。いいね…?」
「……はい」
甘く笑う彼に、私も心からの笑顔と返事を贈ったのだった。
これから迎える彼との幸せな未来と、夜の甘い時間に胸を弾ませてーー。
おわり
※ ※ ※
(おまけ~あの時の二人~)
注:ディーに聞こえないよう二人とも小声で会話しております。
~~~~~~
「ララ貴様!…初夜明けだぞ!?もう少しゆとりをもった時間配分をだな…」
「だからこそさね、坊ちゃま。どうせ坊ちゃまのことだ、朝からも際限なくディー様に無体を働くおつもりだったんでしょが!」
「うっ…!だ、だがやっと手に入れたのだ!暫くは我慢がきかなくとも仕方な」
「だぁから男は分かってないのさ!
初めては女性の身体にはかなりの負担さ。
無理をしたらすぐ壊れるよ?
我慢のきかない猿程女に白けられるもんはないさね!
……それともなにか。坊ちゃまは初夜早々ディー様に冷たい目で見られたいのかねぇ?」
「…いや、だ」
「自重、だよ」
「……」
「…返事!」
「………ハイ」
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キレイなハピエンで読了したい読者様はここまで!
多少胸糞展開ややるせなさを許容できて尚且つ読みたい!という方のみ、
次話をお楽しみに~!
帆田より
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