追放令嬢は森で黒猫(?)を拾う

帆田 久

文字の大きさ
上 下
54 / 54

その44 戦いの火蓋が……切られnai

しおりを挟む


レイブン伯爵家当主、ジルバ・レイブン


腕一つでS級冒険者にまで上り詰め、
伯爵家の令嬢と身分差を武功を上げることによって覆して当主にまで駆け上がった男。
覇気一つで幾百の凡兵の意識を刈り取り、
拳一つで帝国の敵を撃滅してきたコラルド帝国の『拳神』

そんな化け物が、正にその所以である凄まじい覇気と殺気でもって目の前にデン!と鎮座していたなら普通の人間ならばどうするか?
逃げるの一択に決まっている。
まぁ本当に対峙したのが普通の只人であれば逃げるなんて発想を抱くまもなく意識を失っているだろうが。

しかしながら生憎。

スレイレーン王国王弟、アルフレッド・スレイレーン

正にその状況に置かれながら身分からも帝国訪問の目的からも、
その場で気絶も逃亡も許されないのである。

この、ある種の神と称される男を納得或いは屈服させることができなければ、
自身の愛した女は手に入らないのだからーー。

さぁ、死合いの刻だ!

愛する者を取り戻すのか!?
愛する者を勝ち取るのか!?

覇気と覇気、拳と拳をぶつけ合い相手を下し、
その手に愛する者を抱くのは果たしてどちらなのか!

夜闇に7つの星が輝き8つ目の星が頭上に輝し者は地に伏す以外になし。

今、戦いの火蓋が切られーー……

「「「どんな語り部(というか誰)だよ!!?」」」


「………リリムやめてくれ。気が昂るどころか削がれる」


切迫した空気と伯爵家当主の覇気をぶち壊したのは対峙したアルフレッドでも護衛でもなく、
意外にも当主の妻だった。

覇気を散らされた当主とスレイレーン王国組からそう突っ込まれて視線を向けられた彼女はー


「あら?盛り上がると思ったのに」


さも意外そうに頬に手を当てながら、悪意のかけらも感じさせずに上品に笑んでみせた。




かくしてーー。

コラルド帝国目前で緊迫した状況から思わぬ形で抜け出すことに成功した王国一行は、
にこにこと微笑む翠髪の美女とむすりと不機嫌に顔を歪ませた拳神を伴って
呆然と、実に静かな入国を果たしたのだった。

なお、げんなりとした様子で馬車内へと戻ってきた王弟が、

「ほぇ?」

と実に気の抜けた声を上げて翠髪の少女が首を傾げる愛らしさに
ほんわり癒されたのはちょっとした余談である。


============================================

お気付きの方もおられるかもですが、
緊迫回のハズが北◯ネタに走ってしまった……。
しかも一部◯天の方だったわぁ~~。
ケン◯ロウとラ◯ウの立場が逆なような…きっと気のせいですね!
……シリアスじゃなくてすみません。

※因みにこの世界に北◯の概念はありません。物語も存在しません!
ない、ハズ。
しおりを挟む
感想 98

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(98件)

まてりょつく

続きをいつまでもお待ちしております☆

解除
まてりょつく

待ってました🎉更新楽しみに楽しみにおまちしてます!!!☜涙目🥹溺愛隠さない王弟様ワイルドで、男らしくてほんとイケメン!!!!!(◎_◎;)2人のラブラブもたくさん楽しみにしています!まずは家族との対決の行方が気になりすぎて眠れません!最強ママ様がいらっしゃるので勝利するのはわかってますが笑

解除
猫3号
2021.12.21 猫3号

㊗再開!
主人公二人で森を突っ切れば、二三日で着くよね? 護衛とか必要? 時間掛けてゆっくり行ったらリリーさん怒らないかな?

2021.12.22 帆田 久

ぐふふ。

それはまぁ当然……あれ?
こ、これ以上はネタバレしてしまう!
ほ、本編の更新をお待ちくださいませ☆(汗);
あと㊗︎いただきました!ありがとうございます(๑˃̵ᴗ˂̵)

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~

紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。 ※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。 ※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。 ※なろうにも掲載しています。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

〖完結〗幼馴染みの王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。

藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。 何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。 同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。 もうやめる。 カイン様との婚約は解消する。 でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。 愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません! 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。

愛など初めからありませんが。

ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。 お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。 「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」 「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」 「……何を言っている?」 仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに? ✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

【完結済】自由に生きたいあなたの愛を期待するのはもうやめました

鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
 伯爵令嬢クラウディア・マクラウドは長年の婚約者であるダミアン・ウィルコックス伯爵令息のことを大切に想っていた。結婚したら彼と二人で愛のある家庭を築きたいと夢見ていた。  ところが新婚初夜、ダミアンは言った。 「俺たちはまるっきり愛のない政略結婚をしたわけだ。まぁ仕方ない。あとは割り切って互いに自由に生きようじゃないか。」  そう言って愛人らとともに自由に過ごしはじめたダミアン。激しくショックを受けるクラウディアだったが、それでもひたむきにダミアンに尽くし、少しずつでも自分に振り向いて欲しいと願っていた。  しかしそんなクラウディアの思いをことごとく裏切り、鼻で笑うダミアン。  心が折れそうなクラウディアはそんな時、王国騎士団の騎士となった友人アーネスト・グレアム侯爵令息と再会する。  初恋の相手であるクラウディアの不幸せそうな様子を見て、どうにかダミアンから奪ってでも自分の手で幸せにしたいと考えるアーネスト。  そんなアーネストと次第に親密になり自分から心が離れていくクラウディアの様子を見て、急に焦り始めたダミアンは───── (※※夫が酷い男なので序盤の数話は暗い話ですが、アーネストが出てきてからはわりとラブコメ風です。)(※※この物語の世界は作者独自の設定です。)

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜

川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。 前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。 恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。 だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。 そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。 「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」 レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。 実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。 女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。 過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。 二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。