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出会い〜ツガイ編
36話
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「!?」
朝、目が覚めたら、身体が大きくなっていた。
最初は手足やお腹がスースーするなぁとぼんやりしていただけだったが、
着替えるためにクローゼットに向かう途中にある姿見に映り込んだ自身の姿に呆然としてしまった。
腰ほどまでに長く伸びた髪はいうに及ばず。
背もジレウスには到底及ばないが今までのとは雲泥の165cm程まで伸びているため、
寝巻きの上も下も半袖短パンどころか上に至ってはヘソだしスタイルに。
繁々と自身を見聞したのち、
(着れる服が、ない)
折角ジレウスに買い揃えてもらった衣服、その多くは未だ袖を通してすらいないのに。
これではまた彼にお金を使わせてしまうとしょんぼりしつつ、
相談と同時に服を貸してもらおうと身体にシーツを巻きつけて彼の部屋に向かう。
(あれ?)
ところが何度ノックをしても返事が返ってこない。
耳のいい彼は、例え寝ていても僕がノックをするとすぐに返事を返してくれるのに。
そっとドアを開けて様子を伺うと、中に彼はいなかった。
寝巻きがベッドに脱ぎ捨ててあることから、きっと朝風呂に入っているのだろうと思い直す。
彼は風呂好きなのだ。
悪いと思いつつも勝手に彼のクローゼットを漁って以前貸してもらったことのある大きいシャツを借りて羽織る。
下着やズボンは……悲しいことに未だ大きすぎて諦めた。
だがその際……
「?……うん?」
何やら下腹部ーー、おしっこが出るあそこが酷く熱いことに気付き、首を捻る。
恐る恐る太ももまであるシャツの裾をたくし上げると…
「!?なっなにこれ!!?」
いつもはぷらんとぶら下がっているだけのそれが、
上に向かって起き上がっていて、なんだか先端も赤みを増しているのだ。
身体が大きくなったこと以上の衝撃を受けて咄嗟にそこを握る、と。
「!!っぃたぁ……っ」
握るといってもほんの些細な力しか入れていないのに、突き抜けるような痛みを感じて慌てて手を離した。
「……どうしよぉ」
痛みよりこっち、手を離したのに今度はじんじんし始めたそれに、
頭が混乱する。
もじもじとと足を擦り合わせるが、そのたびに擦れたソレのジンジンが酷くなっていきたまらなくなった僕は、
よろめきながらも階下へと降りた。
脱衣所に向かうとやはり彼の衣服が床に落ちており、シャワーの水音が聞こえる。
暫く悩むも、やはり早々に彼に相談した方が良いと何とか決意して彼の名を呼べば、少し詰まったような、それでもいつも通りの彼の穏やかな声が返ってきたのに酷く安堵を覚えた。
なんとか彼に、自身の身に起こったことを伝えようと懸命に喋る。
「あ、の。おはよう。
あのね?お、驚かないで、聞いて欲しい、んだけど……身体が、ね?
起きたらす、すごく大きくなってて……」
「そ、そうか。
まぁその、なんだ。人間誰しも成長するし、な?
急な成長に驚いたのかもしれんが、コーキは今成長期なんだろう!
気にすること、は」
きっと僕の声が不安げなのに気付いてくれたんだろう、
まだ僕の成長した姿を見ていないのに、僕を落ち着かせようと言葉を紡いでくれる彼の優しさに、躊躇っていたもう一つの事象についてつい続けてポロッと話し始めてしまった。
「それで…そ、その…
なんだか……んが、痛、くて」
「……あ?」
「だ、だからそのッッ!
ー……おちんちんも大っきくなって、痛い、の」
「ッッグゥゥ……!!」
排泄器官に起きた異常事を告げる恥ずかしさについ声を荒げると、
彼が唐突に低く呻き声を上げた。
「っジレウス!?
あの、どうしたの?なんだかすごく苦しそうな呻き声が…もしかしてどこか痛いの!?」
「……問題、ない。
っいや、ないわけじゃない、が…大丈夫だ」
「で、でも!」
「だからコーキ…、絶対ドア開けんな」
「ー…え」
その言葉に、身体が一瞬硬直した。
お前に心配される謂れはない、そう突き放されたように感じてしまった。
目頭が熱くなるが、ここで泣いてもうざいだけだと必死で堪える。
(そうだよ…思いあがっちゃ駄目だ)
彼がいくら優しい人だからって入浴中に変なことを言って困らせるなんて。
僕はただ彼の好意に縋ってここに住むことを許されているにすぎないのだから。
話は彼がお風呂から出てきてからでも出来るのだから。
胸の奥がジクジクと痛みに疼くのを無視してなんとか気持ちを持ち直し、
「……ごめん、ね。
僕なんかに心配、されたくないよね……」
「っ違ッッ!!」
それでも一度擡げた後ろ向きな気持ちが口をついて出てしまい、
彼に謝罪する。
焦ったように彼が返した言葉は耳を素通りし、
しかし心配は心配だと彼に告げる。
どう考えても彼の様子はいつもと違うし、
会話の合間も荒い息遣いが聞こえるのだから。
「でもやっぱりし、心配、だから…
僕、ギルドに行ってミルドさんに、声かけてくる、ね?
ぼ、僕のこれについてもなんかわかるかもしれないし…」
「!?」
僕じゃなくて大人で付き合いも長いはずのミルドさんなら、きっと彼も心置きなく自身の不調について相談できるだろうと。
ついでに僕のこの色んな変化についても知っているかもしれないと、
彼を煩わせたくない一心で言葉を紡ぐ。
と、
「……めだ」
「え?今何か」
掠れるように呟かれた言葉が聞き取れずに聞き返すと、
「っ駄目だ……!!」
低く唸るような強い口調の言葉と共に、
バン!!
強い衝撃とともに、浴室へと繋がるドアが開け放たれた。
※ ※ ※
バン!!と開け放たれたドアーー浴室でこちらを睨むジレウスの険しさに、僕はまたなにか彼を怒らせてしまったのか、と驚きと同時に自身に失望を抱いた。
それだけ彼の様子がいつもと違っていたからだ。
食い殺してやるーー
そう言わんばかりに両眼をギラギラと光らせこちらを見据えるジレウスに、
いつもの暖かで穏やかな気配は微塵もない。
こんなに荒ぶった気配を発している彼は初めてで、
全く身動きが取れない。
それでもやはり、きっと自分が彼の気に障ることをしたか言ってしまったのだろうと、もう一度彼に謝ろうと口を開きかけると、
「……そんな格好で」
「あ、え」
「そんな格好で、何処へ行こうって?
誰と会って、ナニを相談するって?
そんな姿をっ顔を!身体を俺以外に晒すだと…!?
ふざけるな!」
「ひっ……!?」
裸のままズンズンと距離を詰めた彼に知らず壁際まで後ずさると、あっという間に追い詰められ。
荒々しく咆哮するような声とともにバァン!!と顔横の壁を張られてビクッと肩が跳ねる。
怒りを抑え切れないのか、僕を睨みながらふっ…ふっ…と短く浅く息を吐く彼に、
混乱と恐怖から震えることしかできない。
……………
………………
どれほどそうしていただろうか。
数秒しかたっていないようにも思えるし、
何時間もそうしていたようにも感じる。
段々と感覚が麻痺してきた僕の肩に、不意にズシリと重みが加わる。
続いては、は、と先より苦しげな彼の息遣いが、首筋に熱を齎した。
「…悪、い、でかい声、出しちまって…。
お前に怒ってるわけじゃないし、俺のこれは、病気とかそんなんじゃあ、ない」
「ジレ、ウ」
「お前の、身体が、成長したことは、今朝見て気付いては…いた。
いた、が、俺に余裕が無くて、な…」
「!?だ、だからやっぱり具合が!」
「だから!っはぁッ……こ、れは、病気じゃ、ねぇ…。
獣人特有の、発情期ってぇヤツだ」
「はつ、じょう、き?」
「…発情期、だ。
獣は番と子を成すために、交尾をする、それと同じって言やぁ、分かるか」
「…あ」
「俺のはお前に会う前に終えたばかりで、次は、当分先の、は…ぐっ…筈だったんだが…。
っ何故か朝に、なっちまって、なぁ…。
この、ま、ま、だと、っはぁ…っ」
「ジレウス!大丈」
「このままだと、お前を襲っちまう、からっ!だからさっき、開けんなっつったんだよ…。
だ、が、…お前が成長したお前がっおっ勃てたまんま!!ギルドに、外に、行くって、ミルドんとこにいくって聞いたらっ、キレちまって、な…」
「……」
「なぁ、コーキ、頼む…。
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だから、部屋へ戻って…暫く、出てくんな」
「んで、なんで…!?」
「お前が、俺に、保護者以上の感情を持ってないことは、分かってる。
だが、俺、は、お前が、好きで、だから、このままだと…お前を……。
だからっ暫く部屋に」
しまいにはゼイゼイと苦しげに息を荒げながら必死に僕を守ろうと、遠ざけようとするジレウスに。
僕は先ほどまで感じていた恐怖を完全に忘れて、
熱に浮かされたようにのぼせ上がった。
だってーー、彼が僕のことを好きだって、言ったから。
そして彼の会話中お腹に当たった彼の…僕と同じように熱く大きくなったソレが何を意味するかを、彼の話で知り、意味に気付いたから。
僕のがこうなったのは、彼の匂いのするシャツを身につけた時だから。
僕の肩にぐりぐりと額を擦りながらも必死に自分から逃げてくれと懇願する、
この荒々しくも優しい人を僕は。
(ああ……だから僕は大きくなったんだ…)
根拠のないそんな確信とともに気持ちが定まり、
項垂れる彼の首にそっと手を腕を回してギュッと抱きついた。
朝、目が覚めたら、身体が大きくなっていた。
最初は手足やお腹がスースーするなぁとぼんやりしていただけだったが、
着替えるためにクローゼットに向かう途中にある姿見に映り込んだ自身の姿に呆然としてしまった。
腰ほどまでに長く伸びた髪はいうに及ばず。
背もジレウスには到底及ばないが今までのとは雲泥の165cm程まで伸びているため、
寝巻きの上も下も半袖短パンどころか上に至ってはヘソだしスタイルに。
繁々と自身を見聞したのち、
(着れる服が、ない)
折角ジレウスに買い揃えてもらった衣服、その多くは未だ袖を通してすらいないのに。
これではまた彼にお金を使わせてしまうとしょんぼりしつつ、
相談と同時に服を貸してもらおうと身体にシーツを巻きつけて彼の部屋に向かう。
(あれ?)
ところが何度ノックをしても返事が返ってこない。
耳のいい彼は、例え寝ていても僕がノックをするとすぐに返事を返してくれるのに。
そっとドアを開けて様子を伺うと、中に彼はいなかった。
寝巻きがベッドに脱ぎ捨ててあることから、きっと朝風呂に入っているのだろうと思い直す。
彼は風呂好きなのだ。
悪いと思いつつも勝手に彼のクローゼットを漁って以前貸してもらったことのある大きいシャツを借りて羽織る。
下着やズボンは……悲しいことに未だ大きすぎて諦めた。
だがその際……
「?……うん?」
何やら下腹部ーー、おしっこが出るあそこが酷く熱いことに気付き、首を捻る。
恐る恐る太ももまであるシャツの裾をたくし上げると…
「!?なっなにこれ!!?」
いつもはぷらんとぶら下がっているだけのそれが、
上に向かって起き上がっていて、なんだか先端も赤みを増しているのだ。
身体が大きくなったこと以上の衝撃を受けて咄嗟にそこを握る、と。
「!!っぃたぁ……っ」
握るといってもほんの些細な力しか入れていないのに、突き抜けるような痛みを感じて慌てて手を離した。
「……どうしよぉ」
痛みよりこっち、手を離したのに今度はじんじんし始めたそれに、
頭が混乱する。
もじもじとと足を擦り合わせるが、そのたびに擦れたソレのジンジンが酷くなっていきたまらなくなった僕は、
よろめきながらも階下へと降りた。
脱衣所に向かうとやはり彼の衣服が床に落ちており、シャワーの水音が聞こえる。
暫く悩むも、やはり早々に彼に相談した方が良いと何とか決意して彼の名を呼べば、少し詰まったような、それでもいつも通りの彼の穏やかな声が返ってきたのに酷く安堵を覚えた。
なんとか彼に、自身の身に起こったことを伝えようと懸命に喋る。
「あ、の。おはよう。
あのね?お、驚かないで、聞いて欲しい、んだけど……身体が、ね?
起きたらす、すごく大きくなってて……」
「そ、そうか。
まぁその、なんだ。人間誰しも成長するし、な?
急な成長に驚いたのかもしれんが、コーキは今成長期なんだろう!
気にすること、は」
きっと僕の声が不安げなのに気付いてくれたんだろう、
まだ僕の成長した姿を見ていないのに、僕を落ち着かせようと言葉を紡いでくれる彼の優しさに、躊躇っていたもう一つの事象についてつい続けてポロッと話し始めてしまった。
「それで…そ、その…
なんだか……んが、痛、くて」
「……あ?」
「だ、だからそのッッ!
ー……おちんちんも大っきくなって、痛い、の」
「ッッグゥゥ……!!」
排泄器官に起きた異常事を告げる恥ずかしさについ声を荒げると、
彼が唐突に低く呻き声を上げた。
「っジレウス!?
あの、どうしたの?なんだかすごく苦しそうな呻き声が…もしかしてどこか痛いの!?」
「……問題、ない。
っいや、ないわけじゃない、が…大丈夫だ」
「で、でも!」
「だからコーキ…、絶対ドア開けんな」
「ー…え」
その言葉に、身体が一瞬硬直した。
お前に心配される謂れはない、そう突き放されたように感じてしまった。
目頭が熱くなるが、ここで泣いてもうざいだけだと必死で堪える。
(そうだよ…思いあがっちゃ駄目だ)
彼がいくら優しい人だからって入浴中に変なことを言って困らせるなんて。
僕はただ彼の好意に縋ってここに住むことを許されているにすぎないのだから。
話は彼がお風呂から出てきてからでも出来るのだから。
胸の奥がジクジクと痛みに疼くのを無視してなんとか気持ちを持ち直し、
「……ごめん、ね。
僕なんかに心配、されたくないよね……」
「っ違ッッ!!」
それでも一度擡げた後ろ向きな気持ちが口をついて出てしまい、
彼に謝罪する。
焦ったように彼が返した言葉は耳を素通りし、
しかし心配は心配だと彼に告げる。
どう考えても彼の様子はいつもと違うし、
会話の合間も荒い息遣いが聞こえるのだから。
「でもやっぱりし、心配、だから…
僕、ギルドに行ってミルドさんに、声かけてくる、ね?
ぼ、僕のこれについてもなんかわかるかもしれないし…」
「!?」
僕じゃなくて大人で付き合いも長いはずのミルドさんなら、きっと彼も心置きなく自身の不調について相談できるだろうと。
ついでに僕のこの色んな変化についても知っているかもしれないと、
彼を煩わせたくない一心で言葉を紡ぐ。
と、
「……めだ」
「え?今何か」
掠れるように呟かれた言葉が聞き取れずに聞き返すと、
「っ駄目だ……!!」
低く唸るような強い口調の言葉と共に、
バン!!
強い衝撃とともに、浴室へと繋がるドアが開け放たれた。
※ ※ ※
バン!!と開け放たれたドアーー浴室でこちらを睨むジレウスの険しさに、僕はまたなにか彼を怒らせてしまったのか、と驚きと同時に自身に失望を抱いた。
それだけ彼の様子がいつもと違っていたからだ。
食い殺してやるーー
そう言わんばかりに両眼をギラギラと光らせこちらを見据えるジレウスに、
いつもの暖かで穏やかな気配は微塵もない。
こんなに荒ぶった気配を発している彼は初めてで、
全く身動きが取れない。
それでもやはり、きっと自分が彼の気に障ることをしたか言ってしまったのだろうと、もう一度彼に謝ろうと口を開きかけると、
「……そんな格好で」
「あ、え」
「そんな格好で、何処へ行こうって?
誰と会って、ナニを相談するって?
そんな姿をっ顔を!身体を俺以外に晒すだと…!?
ふざけるな!」
「ひっ……!?」
裸のままズンズンと距離を詰めた彼に知らず壁際まで後ずさると、あっという間に追い詰められ。
荒々しく咆哮するような声とともにバァン!!と顔横の壁を張られてビクッと肩が跳ねる。
怒りを抑え切れないのか、僕を睨みながらふっ…ふっ…と短く浅く息を吐く彼に、
混乱と恐怖から震えることしかできない。
……………
………………
どれほどそうしていただろうか。
数秒しかたっていないようにも思えるし、
何時間もそうしていたようにも感じる。
段々と感覚が麻痺してきた僕の肩に、不意にズシリと重みが加わる。
続いては、は、と先より苦しげな彼の息遣いが、首筋に熱を齎した。
「…悪、い、でかい声、出しちまって…。
お前に怒ってるわけじゃないし、俺のこれは、病気とかそんなんじゃあ、ない」
「ジレ、ウ」
「お前の、身体が、成長したことは、今朝見て気付いては…いた。
いた、が、俺に余裕が無くて、な…」
「!?だ、だからやっぱり具合が!」
「だから!っはぁッ……こ、れは、病気じゃ、ねぇ…。
獣人特有の、発情期ってぇヤツだ」
「はつ、じょう、き?」
「…発情期、だ。
獣は番と子を成すために、交尾をする、それと同じって言やぁ、分かるか」
「…あ」
「俺のはお前に会う前に終えたばかりで、次は、当分先の、は…ぐっ…筈だったんだが…。
っ何故か朝に、なっちまって、なぁ…。
この、ま、ま、だと、っはぁ…っ」
「ジレウス!大丈」
「このままだと、お前を襲っちまう、からっ!だからさっき、開けんなっつったんだよ…。
だ、が、…お前が成長したお前がっおっ勃てたまんま!!ギルドに、外に、行くって、ミルドんとこにいくって聞いたらっ、キレちまって、な…」
「……」
「なぁ、コーキ、頼む…。
俺は、お前を、傷つけたく、ねぇ……だからっ。
だから、部屋へ戻って…暫く、出てくんな」
「んで、なんで…!?」
「お前が、俺に、保護者以上の感情を持ってないことは、分かってる。
だが、俺、は、お前が、好きで、だから、このままだと…お前を……。
だからっ暫く部屋に」
しまいにはゼイゼイと苦しげに息を荒げながら必死に僕を守ろうと、遠ざけようとするジレウスに。
僕は先ほどまで感じていた恐怖を完全に忘れて、
熱に浮かされたようにのぼせ上がった。
だってーー、彼が僕のことを好きだって、言ったから。
そして彼の会話中お腹に当たった彼の…僕と同じように熱く大きくなったソレが何を意味するかを、彼の話で知り、意味に気付いたから。
僕のがこうなったのは、彼の匂いのするシャツを身につけた時だから。
僕の肩にぐりぐりと額を擦りながらも必死に自分から逃げてくれと懇願する、
この荒々しくも優しい人を僕は。
(ああ……だから僕は大きくなったんだ…)
根拠のないそんな確信とともに気持ちが定まり、
項垂れる彼の首にそっと手を腕を回してギュッと抱きついた。
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