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出会い〜ツガイ編

24話  ジレウス視点

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(Side:ジレウス)



「っコーキ!!?」


俺が告げた、彼に降りかかるかも知れない危険の可能性をまで聞いたコーキは、ふらりと身体を揺らし、床に向けて倒れてかけた。
慌てて抱きとめ呼びかけたが、意識がない。

「……いきなり全部理解して受け止めろってのは酷だったか…」

おそらく自分の話を聞いて最悪な状況の光景を想像してしまったのだろう。
ただでさえ小さなコーキは、恐怖に顔を蒼褪めさせたまま、
更に小さく身体を縮めて俺の腕の中で震えていた。
意識がないからには無意識なのは確定だが、
その無意識をしてここまで恐怖に震えるとは……。

(やはり話すべきじゃ、なかったのか……?)

本当は、彼自身の能力の希少性と危険を十分に自覚してもらった上で、
彼の過去について聞く心算だった。
コーキは自分が何をおいても守る、その決意に変わりはない。
だが、彼自身もちゃんと己のことを理解していなければ、
その希有な能力故に守りきる自信がなかったのも事実だ。

(魔物や獣相手だけなら楽なんだが……)

引退したとはいえ、魔物なのであれば例えドラゴンが襲ってこようとも守りきる自信はいくらでもある。
だが人間は別だ。
生きるために人様を襲う魔物や獣と違い、
人間彼らの多くが自らの欲に駆られて同じ人間に害を為す。
策を弄し、時に同情を買い、時に群れ、騙して奪う。
例え奪うのが金品であれ命であれ、己の欲するものであれば何であれ。

ギルドマスター代理になってから、いや冒険者をやっていた時からそれは変わらない。

そんな有象無象からコーキの身を守る。
はっきり言ってかなり難易度が高い。


ーーだから自覚をと促したのだが…流石に勇み足だったかもしれない。
腕の中の温もりをギュッと抱いて、やるせない気持ちになってしまう。


「………くない…」

「?」

「死に、たくな…」

「!!」

(コーキ…)


彼には、心に闇がある。
もしくは心の傷といって差し支えのないものが、ある。
ジレウスはそう確信していた。

以前寝言で必死に親に縋る言葉を繰り返していたコーキ。
そしてステータスにあったという、“無念なる転生人”の称号。
それが意味するところはーー


一度コーキが、死を迎えたこと

そして彼自身、それを『自覚』している


以前聞かせてもらったそれらが、想像以上に彼の精神を苛んでいる。
己が傷つくことへの、極端な恐怖。
いよいよもってその事実に確信を深めることになり、
又、そんな彼を酷く怯えさせてしまったことに。
ジレウスはその場で吐きたいほどの不快感を、
上手く説明できなかった自分にこそ感じて目をきつく閉じた。

ギルドで鑑定を行った時に針に異常なほど怯えたコーキを、
目蓋の裏に思い浮かべながら。

急ぎ、彼をベッドへと運んで横たえた。



結局コーキは翌日の晩まで深々と眠り続けた。


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※ちょっと暗い展開が続いております(泣)
もう暫くご辛抱下さいませ~!
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